異世界転移したら神様に拾われちゃった。

第３章

少年剣士

「む、何奴！」
どこからともなく声が聞こえた。声の聞こえる方を振り返ると、少し長めの髪を後ろで束ねている少年がいた。
和服のような服に、星と月と蝶の意匠が施されたマントを羽織っている。
「もしかしてお前らが主様を……？許すまじ！」
「……？主様？誰だそりゃ？」
「はぁ！？とぼけるんじゃねぇ！お前らがやったんだろ！？」
「いや、だから違うっす……」
「よくもやったな！おのれぇー！」
少年は剣を引き抜いた。
「くっ！仕方ない。ここは剣を交える他無さそうですね……。」
レイがあきれた表情でそういった。
「この彗星刀の錆びになれ！」
少年はそう叫んだ瞬間、駆け出した。レイの背後をとろうとしたようだが、それは失敗した。
「くっ！」
レイは麒麟だから、早さでは負け知らずなのだ。逆に青年の背後をとった。
「降参しますか？」
「ぐっ……まあ、お前らが犯人じゃないことは何となくわかった。もう戦う意味はなさそうだ。」
「それはよかった。」
そんなとき、レティシアが戻ってきた。
「お待たせー……って、誰？この子。」
「さっきであって、戦った方です。」
「？？？」
「何かよくわからないけど、出会い頭に襲われた。」
「え！？」
「いや、あの……ご無礼をお詫びいたします………。ハイ。」
なぜか少年の態度が小さくなった。
「あの……神様………ですよね……？」
「え、あ、うん。どうも……。」
「うちの神様が洗脳されてしまいまして……助けていただきたく存じます……」
「えー、でもさっき、出会い頭に襲ってきたわけっすよね？どーしよっかなぁ～」
「すみません！お願いします！」
「ジョーダンっすよ。真に受けないで。レティシアさんはどうしますか？」
レティシア少し考え、
「もちろんいいわ！でも、その前に名前を教えて！」
「もちろんです。俺はアルゴン。『星の賢者』ステラ・エトワール様に使える剣士です。」
そう言うと、アルゴンは恭しく礼をした。