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88:体験学習!?
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ロゼとセバスは別室に移り、ロゼが行った裏切者のボルマ達の行方と、その場で制裁を行った事について。
セバスからは、侵入者であるソラについてと、彼からもたらされた情報の交換を互いに済ませ、今後についての相談と打合せを済ませると、一時間程でソラを待たせている部屋に戻ってきた。
ソラはその間、新に注がれた熱いお茶を啜り、配下経由でエルンの長老達に相談と、町の様子などの簡単な報告を受けながら今後の方針を仮決定していた。と、言うのも折角、エルンの町への人材確保がタダで、手に入りそうなこの状況をみすみす逃す手は無いと考え、仕事をする事にしたのだ。決して手ぶらで帰宅…とかが気まずい訳では無い……。
ロゼ達が部屋に入室して先ず視界に入ったのは、先程の横長のソファーに座りお茶を啜るソラでも、寝息を立てているモーリスでは無く、ソラの背後に控える、見知らぬ猫耳メイドであった!!
「「んなッ……?」誰ッ!!」
「驚かせてしまい申し訳ございません。わたくし、ソラ家のメイド長をしておりますメルと申します。どうぞお見知り置き下さい。」
メルは、スッと優雅に御辞儀をするとソラ家のメイドと名乗り、二人分のお茶と、何時の間に用意したのか、お茶請けのお菓子をテーブルに準備すると、どうぞと座るように促し、自分はまたソラの斜め後ろに控えるように移動した。ソラはソラで、二人の反応に申し訳なさそうにしつつも、目を反らした……。
そして、最初に声を発したのは、セバスだ、
「ソラ殿…これはどう言う事なのですかな?先ず、どおやって……この女性を此処に?まさか、最初から貴方達は二人だったと言うことですか?」
「違いますよ……セバスさん、これは…その……」
「セバス…様で宜しかったでしょうか?マスターの仰った事は事実で御座います。私は、先程マスターに依頼して、ヤハブ大森林のエルンの町から此方に召喚して頂きましたので、最初の時には、此方には居ませんでした。」
「エルンから?しかし…召喚とはいったい…其は…その様な事が本当に可能なのですか?」
「まぁ…出来ますよ?今の所は《配下だけ》ですが…まぁ座ってください、御二人とも」
ソラはさっきから立ちすくしたままの、ロゼとセバスを向かい合う形で、座って下さいと、再度促し。
その間、メルはモーリスに睡眠効果の魔法を掛け直すと、片手で首根っこを掴み上げ、別室へと運んでいった…その様子を見てロゼとセバスは呆気にとられて此方を見たが、ソラは再び目を反らしてスルーした。
やがて、メルが部屋に戻ってきたので、話を再開させる事にしたが、大分ソラの信用度が下がってしまった様で、二人とも何から話せば良いか迷っている様子だ。
ソラとしては、これ以上に知りたい事は無く、人材確保はどうしてもと、言う程でもない……にもかかわらず何故メルが此処に居るのかと言う事だが……ソラをサポートする(面倒事を引き受ける)為である。
メルは(自発的に)24時間年中無休でソラに関する全てを監視…サポートしているのだが……その為、最近ではある程度、ソラの行動を先読みして準備を行ったりする事が度々ある、例え其が無駄に終わり一切日の目を見ないとしてもだ、今回ソラが聞かされたのは、先程のセバスとの会話での情報を受けて、一足早くエルンに帰還したメルとスレイブが、村の長老達に話の内容を伝へ、予測される事柄について、一通り案を出し合わせて、即事返答可能な状態にしている…との事だ。
そして現在、スレイブが村に待機しており、状況が変化、何か要請でもあれは、彼女が長老達に伝えるそうだ。
因に、ソラにも話していない事だが、一連の準備は、ソラが追跡を始めた時から予測され、早い段階でメルとスレイブは早期帰還の準備に取りかかっており、その穴埋めとしてディアンの率いるキャラバンには、カレンとエルトナ、更に妹達迄も経験の為(安全が約束された旅だが…)と言う事で、最寄りの宿場町から入れ替わる様に合流し、ついでであった妹らは意外にも、新に村の住人として加わる者達と、旅を通して交流し直ぐに仲良くなり、親睦を深める事に貢献していて、現在も順調にヤハブ大森林に向かっているのであった。
配下によるお膳立ては済み、後はソラのやらかした、この状況をメルに丸投げして帰宅する丈なのだが……流石に挨拶も無く帰るのも、今後の関係がどうなるか分からない為、取り敢えず二人を待っていたソラは、
〔マスター、彼等は話にのって来るでしょうか?〕
(まぁ……多分な、話は彼ら次第と言った所か?)
〔いえ……むしろ全てマスター次第だと思いますが……〕
(メルさん…其は言わないで…。と、先ずは…)
「ロゼさん、セバスさん、そちらの用事は済んだみたいなんで、結界も解除したと言う訳で俺はそろそろ帰らせて頂きたいのですが。」
「あっ…いや、どう言う事ですソラ殿!?」
「貴さまっ……いや、…き、貴殿には、今さら帰られては困るのだが…」
「ん?まだ何か有るので?」
ソラの質問には、セバスが一つ咳払いして、問いかけた、
「コホン……ソラ殿は、先程の私の話を聞いて直、我々を見捨てると、そう言うお考えなのですか?」
「イヤイヤ、セバスさん、見捨てるも何も俺は興味本意で付いて来た丈ですので…"あなた方"に対しては、何かしようとは始めから特には思ってはいません。結界の件は、只旦に敵意が無いと証明するのに手っ取り早いと思ったので、協力したに過ぎませんし。」
(ちょっと意地悪し過ぎかな?)
〔いいえ、其は違いますマスター。マスターは少し優しすぎる…と、申しますか…他人を信じすぎます。〕
(そうなのかな~)
〔確かに、彼等は困窮しています。しかし、だからと言って、全て真実を語っているとは限らないと思われます。マスターを利用だけして…場合によっては裏切り危害を与えてくる可能性も捨てきれません。〕
(考え過ぎでないかい?確かに、ソコまで思い至って無かった事は認めるけども…)
「…まさか此処で?なぜ今帰るなどと…どうする副団長?」
ソラの《帰る》発言を全く想定していなかった様で、ロゼは明らかに動揺しており、今までの団長としての演技…口調等が維持できずに、これが彼女の素である為か、指揮官としての高圧的な喋り方ができなくなっている、ソラとしては此方の方が物腰が柔らかくて好感が持てるので、勿体ないと思ったくらいだ。
「貴殿は…ど…どうしてもお帰りになると?」
「まぁ…これ以上は特に用事もないし…其に、此方の情報まで話したんだしねぇ…」
「私達はてっきりこのまま協力してくれるものだとばかり……なぁ…フェンブル副団長……ソラ殿にはこのまま協力をして貰いたいのだが…駄目なのか?」
ロゼは、ソラに対して棘のあった態度を完全に忘れてしまった様で、若干……懇願するような態度で、座ったまま身をのり出して、ソラを引き留めようと彼女なりの言葉をかけるがその気になってはくれない。ソラは暫く問答を続けると、打合せ通りに其に対して、仕方無いなと、言った態度で一言呟いた、
「仕方無いな~まぁ…俺は冒険者だし…条件次第では話を聞かない訳でもない……かな?」
(メル…これで良いんだよな?)
〔はいマスター。エルンの町の長老達の話し合いの結果、無条件な支援では無く、条件や報酬等を明確にした《依頼》としてならば応じる、との事です。もし……〕
ソラの呟きに、ロゼは助言を求める様な仕草で、セバスに頼ろうと視線を送ったりしているが、肝心のセバスと言うと、ロゼを無視して、珍しく表情を曇らせたまま何も言わない、時折顎髭を撫でながら腕を組んで黙り混んでしまい、何やら彼なりに思案をしてはいる様だ。もしかすると、この場は団長であるロゼに任せる気なのだろうか?しかし、本人はと言うと、かなり追い詰められている様子で、業を煮やしたロゼは、思わず体裁をわきまえず、セバスに対して提案を求めた。
「フェン…セバス副団長も、何か…引き留める良い案はないのですか?このままでは折角のチャンスが……」
しかしながら、セバスは未だ沈黙を続けている。結局、非常に残念な事だがロゼには、ソラを引き留める良い案が思い当たらなかったのか、ひたすらあぁでもない、こうでもないと、口走っているが……中々正解に辿り着かない。
(そんなに難しい事は言った覚え無いんだけどな……ロゼさん頑張って…団長がそれで良いのか~?素が駄々漏れですよ…多分テンパって深く考え過ぎな感じだな……俺も人の事言えないけど、普段の俺もこんな感じなのか?イヤイヤ俺は一般人だから仕方無いはず……だよね?)
〔確りして下さいマスター……仕方無いので、そろそろ此方から依頼として持ち掛けますか?〕
そうこうしている間に、メルから次の段階に進める様にと、念話にて助言が有った時であった、徐に立ち上がったセバスが、やっとその口を開いた、
「ヤレヤレ……ロゼ団長…私がアレだけ目を掛けて差し上げたのに何です?この醜態は…ソラ殿も呆れていますよ?まぁ……御飾りとしては及第点を差し上げたい所ですが…残念です。貴女にはやはり荷が重かった様ですね…流石にこのまま、彼を帰すのは不味いですので…此処からは私に任せて下さいますか?」
「えっ!?フェンブル…さん?」
「はぁ…………」
セバスはそうロゼに告げると一瞬、ロゼに向かって冷たく鋭い視線で睨み付けると、直ぐに興味なさげに視線を外し、溜め息を吐き出した。そして、セバスは何事も無かった様に背筋を伸ばしソラに向き直ると、ゆっくりと話し出した、其は今までの温厚そうで、落ち着いた紳士の姿では無く、明らかに雰囲気が違い、今まで表に出していなかったであろう、彼の本来の有るべき姿……そうバンパイアらしい威圧感の様なものを放っている。その様子には、ロゼ迄も呆気にとられ…いや、恐怖心すら感じた様で、血の気が引いた様に青冷めて固まっている。
「ソラ殿、貴方には自覚が無い様ですが…自分の立場を誤解なさって居ませんか?」
(ん?アレ?セバスさん……)
「いや、誤解も何も…貴方が客人としてもてなすと……」
セバスはソラの返答に鼻で笑うと、
「フッ!!…ククククッ…呑気なものですねぇ貴方って人は……其は、先程までの状況でしょう?まったく……此方の用件は無事に終了したのですよ?でしたら、我々にこれ以上、貴方を客人としてもてなす必要が何処に有るのですか?」
「言われてみれば……確かに。」
「はぁ…御理解頂けたようで何よりです……しかし、解せませんね…何ですか?その余裕そうな態度は?」
「いゃ~まぁ…配下も呼び寄せた訳だし、問題ないかなと……」
「フッ!!その小娘の事を言っているので?まぁ、獣人でしたっけ?多少筋力が高そうだと、お見受けしましたが…ククククッ…その程度で安心なされるとは……まったく呆れますね~」
セバスは笑いが堪えられなくなったのか、いや、堪える気など既に無い様子で、饒舌になったセバスは更に続ける……ソラは肩越しにチラリとメルの様子を伺うが、特に変わった様子は無い……平常運転で何時ものメルだ。
「しかし、まぁ……流石冒険者、と言う事でしょうか?私の魔眼に、その若さで気付き対処までなさった様ですので、一応、誉めて差し上げましょう。ククククッ…しっかし貴方は分かっていない様で残念な事ですが……まぁ貴方が無知なのか、はたまた呑気な丈なのか…はぁ………本当、申し訳無い。ソラさん……先程は誉めましたが、その若さです、仕方の無い事なのでしょう…《知らない》と言う事は実に哀れな事です…」
「えェェェーセバスさん、ちょっ~それ以上はダメですって……」
ソラが思わず大きな声を上げてしまったが、セバスは、ソラがやっと現状を理解して慌てたと思い、更に饒舌が加速してしまった……
「クッフフフフ、今更もう遅いのですよ…貴方は上位者であるこの私を此処までコケにして煽ったのですから…私を魔眼を使える丈の老人と思ったのでしょうが、其がそもそもの間違いなのですよ。」
(この人、言い切りおったで…マジ《本気》か!!……メル先生、何かコメントは?)
〔私共(配下)としては、流石にこの様な展開迄は予想していませんでした…精々…図々しい身勝手な願いを押し付けてくる程度かと……〕
(ですよね~)
〔そんな事より、マスターは此を期に学習なさって下さい。そもそも、彼等は元々あの大森林にいた訳でも無い、只の他国民です。〕
(いや、だって…彼等と同じ様に迫害されてる獣人や亜人じゃないか?同胞だろ?何で仲良く協力できないんだ?)
〔マスター…それ本気で仰っていますね…〕
(当たり前じゃないか!!)
〔では何故、人族には同じ事を仰らないのですか?彼等も同じ種族の同胞では無いのですか?〕
(其は、国とかが違うから……)
〔正解ですマスター。全くマスターの仰る通りなのです。しかしマスター…よく考えて下さい、其は獣人も亜人にも全く同じ事が言えるのです。マスターは何故か彼等を一括りに物事を考えていらっしゃいますが…当然、彼等にも、国や暮らす地域によっては、各々の宗教や考え方、政治や民族、食文化すら違うのです。と言う事はです……彼らも人族と同様、お互いに争う可能性も十分に有り得ると言う事なのです。〕
(あっ!?……成る程…確かに俺は、始めから自分の先入観で決め付けてしまっていたのか……。自分では考えているつもりの様で、全くその事に気付いていなかったんだな…有り難うメル…やっとお前達が言う事が、理解できてきた気がするよ!!)
〔分かって頂けた様で幸いですマスター、其でしたら、犠牲となる"この方"もうかばれると思います。〕
(あっ…やっぱり、この人犠牲になるんだ……)
〔勿論で御座いますマスター、この方も仰ったでは無いですか、"知らない"と、言う事は哀れな事だと…彼はそれを身を持って示してくだっているのです。世界は優しい事ばかりでは在りません。マスターの様に寛大な方ばかりでは無いのですから。知らなかったからと許されるのは、ごく一部の(ソラ関連の)子達以外は例外など先ずありえません。我々は彼の行いに誠意をもって御応えしたいと思っております。〕
(確かに…哀れ…セバスさん!!貴方の事は多分?一生…忘れない……と…思う。)
ソラとメルがその様なやり取りをしている間にも、セバスは勝ち誇ったように、ソラ達を見下して語り続けていた…
「お気付きの通り、貴方の結界をこの私の魔眼が見抜いたのは事実ですよ?だからと言って貴方が幾ら自分の配下を呼び出し、囮として使おうとも、其を私が容易くほふる事が出来るのですから、時間稼ぎにもなりません!!御分かりですか冒・険・者・殿?クックク……さぁ…大人しく我々に協力して頂けますか?そして、私を大森林に導きなさい。」
最後まで読んで下さり、有り難う御座います。次回も宜しければ、暇潰ししていって下さい。宜しくお願いします。
セバスからは、侵入者であるソラについてと、彼からもたらされた情報の交換を互いに済ませ、今後についての相談と打合せを済ませると、一時間程でソラを待たせている部屋に戻ってきた。
ソラはその間、新に注がれた熱いお茶を啜り、配下経由でエルンの長老達に相談と、町の様子などの簡単な報告を受けながら今後の方針を仮決定していた。と、言うのも折角、エルンの町への人材確保がタダで、手に入りそうなこの状況をみすみす逃す手は無いと考え、仕事をする事にしたのだ。決して手ぶらで帰宅…とかが気まずい訳では無い……。
ロゼ達が部屋に入室して先ず視界に入ったのは、先程の横長のソファーに座りお茶を啜るソラでも、寝息を立てているモーリスでは無く、ソラの背後に控える、見知らぬ猫耳メイドであった!!
「「んなッ……?」誰ッ!!」
「驚かせてしまい申し訳ございません。わたくし、ソラ家のメイド長をしておりますメルと申します。どうぞお見知り置き下さい。」
メルは、スッと優雅に御辞儀をするとソラ家のメイドと名乗り、二人分のお茶と、何時の間に用意したのか、お茶請けのお菓子をテーブルに準備すると、どうぞと座るように促し、自分はまたソラの斜め後ろに控えるように移動した。ソラはソラで、二人の反応に申し訳なさそうにしつつも、目を反らした……。
そして、最初に声を発したのは、セバスだ、
「ソラ殿…これはどう言う事なのですかな?先ず、どおやって……この女性を此処に?まさか、最初から貴方達は二人だったと言うことですか?」
「違いますよ……セバスさん、これは…その……」
「セバス…様で宜しかったでしょうか?マスターの仰った事は事実で御座います。私は、先程マスターに依頼して、ヤハブ大森林のエルンの町から此方に召喚して頂きましたので、最初の時には、此方には居ませんでした。」
「エルンから?しかし…召喚とはいったい…其は…その様な事が本当に可能なのですか?」
「まぁ…出来ますよ?今の所は《配下だけ》ですが…まぁ座ってください、御二人とも」
ソラはさっきから立ちすくしたままの、ロゼとセバスを向かい合う形で、座って下さいと、再度促し。
その間、メルはモーリスに睡眠効果の魔法を掛け直すと、片手で首根っこを掴み上げ、別室へと運んでいった…その様子を見てロゼとセバスは呆気にとられて此方を見たが、ソラは再び目を反らしてスルーした。
やがて、メルが部屋に戻ってきたので、話を再開させる事にしたが、大分ソラの信用度が下がってしまった様で、二人とも何から話せば良いか迷っている様子だ。
ソラとしては、これ以上に知りたい事は無く、人材確保はどうしてもと、言う程でもない……にもかかわらず何故メルが此処に居るのかと言う事だが……ソラをサポートする(面倒事を引き受ける)為である。
メルは(自発的に)24時間年中無休でソラに関する全てを監視…サポートしているのだが……その為、最近ではある程度、ソラの行動を先読みして準備を行ったりする事が度々ある、例え其が無駄に終わり一切日の目を見ないとしてもだ、今回ソラが聞かされたのは、先程のセバスとの会話での情報を受けて、一足早くエルンに帰還したメルとスレイブが、村の長老達に話の内容を伝へ、予測される事柄について、一通り案を出し合わせて、即事返答可能な状態にしている…との事だ。
そして現在、スレイブが村に待機しており、状況が変化、何か要請でもあれは、彼女が長老達に伝えるそうだ。
因に、ソラにも話していない事だが、一連の準備は、ソラが追跡を始めた時から予測され、早い段階でメルとスレイブは早期帰還の準備に取りかかっており、その穴埋めとしてディアンの率いるキャラバンには、カレンとエルトナ、更に妹達迄も経験の為(安全が約束された旅だが…)と言う事で、最寄りの宿場町から入れ替わる様に合流し、ついでであった妹らは意外にも、新に村の住人として加わる者達と、旅を通して交流し直ぐに仲良くなり、親睦を深める事に貢献していて、現在も順調にヤハブ大森林に向かっているのであった。
配下によるお膳立ては済み、後はソラのやらかした、この状況をメルに丸投げして帰宅する丈なのだが……流石に挨拶も無く帰るのも、今後の関係がどうなるか分からない為、取り敢えず二人を待っていたソラは、
〔マスター、彼等は話にのって来るでしょうか?〕
(まぁ……多分な、話は彼ら次第と言った所か?)
〔いえ……むしろ全てマスター次第だと思いますが……〕
(メルさん…其は言わないで…。と、先ずは…)
「ロゼさん、セバスさん、そちらの用事は済んだみたいなんで、結界も解除したと言う訳で俺はそろそろ帰らせて頂きたいのですが。」
「あっ…いや、どう言う事ですソラ殿!?」
「貴さまっ……いや、…き、貴殿には、今さら帰られては困るのだが…」
「ん?まだ何か有るので?」
ソラの質問には、セバスが一つ咳払いして、問いかけた、
「コホン……ソラ殿は、先程の私の話を聞いて直、我々を見捨てると、そう言うお考えなのですか?」
「イヤイヤ、セバスさん、見捨てるも何も俺は興味本意で付いて来た丈ですので…"あなた方"に対しては、何かしようとは始めから特には思ってはいません。結界の件は、只旦に敵意が無いと証明するのに手っ取り早いと思ったので、協力したに過ぎませんし。」
(ちょっと意地悪し過ぎかな?)
〔いいえ、其は違いますマスター。マスターは少し優しすぎる…と、申しますか…他人を信じすぎます。〕
(そうなのかな~)
〔確かに、彼等は困窮しています。しかし、だからと言って、全て真実を語っているとは限らないと思われます。マスターを利用だけして…場合によっては裏切り危害を与えてくる可能性も捨てきれません。〕
(考え過ぎでないかい?確かに、ソコまで思い至って無かった事は認めるけども…)
「…まさか此処で?なぜ今帰るなどと…どうする副団長?」
ソラの《帰る》発言を全く想定していなかった様で、ロゼは明らかに動揺しており、今までの団長としての演技…口調等が維持できずに、これが彼女の素である為か、指揮官としての高圧的な喋り方ができなくなっている、ソラとしては此方の方が物腰が柔らかくて好感が持てるので、勿体ないと思ったくらいだ。
「貴殿は…ど…どうしてもお帰りになると?」
「まぁ…これ以上は特に用事もないし…其に、此方の情報まで話したんだしねぇ…」
「私達はてっきりこのまま協力してくれるものだとばかり……なぁ…フェンブル副団長……ソラ殿にはこのまま協力をして貰いたいのだが…駄目なのか?」
ロゼは、ソラに対して棘のあった態度を完全に忘れてしまった様で、若干……懇願するような態度で、座ったまま身をのり出して、ソラを引き留めようと彼女なりの言葉をかけるがその気になってはくれない。ソラは暫く問答を続けると、打合せ通りに其に対して、仕方無いなと、言った態度で一言呟いた、
「仕方無いな~まぁ…俺は冒険者だし…条件次第では話を聞かない訳でもない……かな?」
(メル…これで良いんだよな?)
〔はいマスター。エルンの町の長老達の話し合いの結果、無条件な支援では無く、条件や報酬等を明確にした《依頼》としてならば応じる、との事です。もし……〕
ソラの呟きに、ロゼは助言を求める様な仕草で、セバスに頼ろうと視線を送ったりしているが、肝心のセバスと言うと、ロゼを無視して、珍しく表情を曇らせたまま何も言わない、時折顎髭を撫でながら腕を組んで黙り混んでしまい、何やら彼なりに思案をしてはいる様だ。もしかすると、この場は団長であるロゼに任せる気なのだろうか?しかし、本人はと言うと、かなり追い詰められている様子で、業を煮やしたロゼは、思わず体裁をわきまえず、セバスに対して提案を求めた。
「フェン…セバス副団長も、何か…引き留める良い案はないのですか?このままでは折角のチャンスが……」
しかしながら、セバスは未だ沈黙を続けている。結局、非常に残念な事だがロゼには、ソラを引き留める良い案が思い当たらなかったのか、ひたすらあぁでもない、こうでもないと、口走っているが……中々正解に辿り着かない。
(そんなに難しい事は言った覚え無いんだけどな……ロゼさん頑張って…団長がそれで良いのか~?素が駄々漏れですよ…多分テンパって深く考え過ぎな感じだな……俺も人の事言えないけど、普段の俺もこんな感じなのか?イヤイヤ俺は一般人だから仕方無いはず……だよね?)
〔確りして下さいマスター……仕方無いので、そろそろ此方から依頼として持ち掛けますか?〕
そうこうしている間に、メルから次の段階に進める様にと、念話にて助言が有った時であった、徐に立ち上がったセバスが、やっとその口を開いた、
「ヤレヤレ……ロゼ団長…私がアレだけ目を掛けて差し上げたのに何です?この醜態は…ソラ殿も呆れていますよ?まぁ……御飾りとしては及第点を差し上げたい所ですが…残念です。貴女にはやはり荷が重かった様ですね…流石にこのまま、彼を帰すのは不味いですので…此処からは私に任せて下さいますか?」
「えっ!?フェンブル…さん?」
「はぁ…………」
セバスはそうロゼに告げると一瞬、ロゼに向かって冷たく鋭い視線で睨み付けると、直ぐに興味なさげに視線を外し、溜め息を吐き出した。そして、セバスは何事も無かった様に背筋を伸ばしソラに向き直ると、ゆっくりと話し出した、其は今までの温厚そうで、落ち着いた紳士の姿では無く、明らかに雰囲気が違い、今まで表に出していなかったであろう、彼の本来の有るべき姿……そうバンパイアらしい威圧感の様なものを放っている。その様子には、ロゼ迄も呆気にとられ…いや、恐怖心すら感じた様で、血の気が引いた様に青冷めて固まっている。
「ソラ殿、貴方には自覚が無い様ですが…自分の立場を誤解なさって居ませんか?」
(ん?アレ?セバスさん……)
「いや、誤解も何も…貴方が客人としてもてなすと……」
セバスはソラの返答に鼻で笑うと、
「フッ!!…ククククッ…呑気なものですねぇ貴方って人は……其は、先程までの状況でしょう?まったく……此方の用件は無事に終了したのですよ?でしたら、我々にこれ以上、貴方を客人としてもてなす必要が何処に有るのですか?」
「言われてみれば……確かに。」
「はぁ…御理解頂けたようで何よりです……しかし、解せませんね…何ですか?その余裕そうな態度は?」
「いゃ~まぁ…配下も呼び寄せた訳だし、問題ないかなと……」
「フッ!!その小娘の事を言っているので?まぁ、獣人でしたっけ?多少筋力が高そうだと、お見受けしましたが…ククククッ…その程度で安心なされるとは……まったく呆れますね~」
セバスは笑いが堪えられなくなったのか、いや、堪える気など既に無い様子で、饒舌になったセバスは更に続ける……ソラは肩越しにチラリとメルの様子を伺うが、特に変わった様子は無い……平常運転で何時ものメルだ。
「しかし、まぁ……流石冒険者、と言う事でしょうか?私の魔眼に、その若さで気付き対処までなさった様ですので、一応、誉めて差し上げましょう。ククククッ…しっかし貴方は分かっていない様で残念な事ですが……まぁ貴方が無知なのか、はたまた呑気な丈なのか…はぁ………本当、申し訳無い。ソラさん……先程は誉めましたが、その若さです、仕方の無い事なのでしょう…《知らない》と言う事は実に哀れな事です…」
「えェェェーセバスさん、ちょっ~それ以上はダメですって……」
ソラが思わず大きな声を上げてしまったが、セバスは、ソラがやっと現状を理解して慌てたと思い、更に饒舌が加速してしまった……
「クッフフフフ、今更もう遅いのですよ…貴方は上位者であるこの私を此処までコケにして煽ったのですから…私を魔眼を使える丈の老人と思ったのでしょうが、其がそもそもの間違いなのですよ。」
(この人、言い切りおったで…マジ《本気》か!!……メル先生、何かコメントは?)
〔私共(配下)としては、流石にこの様な展開迄は予想していませんでした…精々…図々しい身勝手な願いを押し付けてくる程度かと……〕
(ですよね~)
〔そんな事より、マスターは此を期に学習なさって下さい。そもそも、彼等は元々あの大森林にいた訳でも無い、只の他国民です。〕
(いや、だって…彼等と同じ様に迫害されてる獣人や亜人じゃないか?同胞だろ?何で仲良く協力できないんだ?)
〔マスター…それ本気で仰っていますね…〕
(当たり前じゃないか!!)
〔では何故、人族には同じ事を仰らないのですか?彼等も同じ種族の同胞では無いのですか?〕
(其は、国とかが違うから……)
〔正解ですマスター。全くマスターの仰る通りなのです。しかしマスター…よく考えて下さい、其は獣人も亜人にも全く同じ事が言えるのです。マスターは何故か彼等を一括りに物事を考えていらっしゃいますが…当然、彼等にも、国や暮らす地域によっては、各々の宗教や考え方、政治や民族、食文化すら違うのです。と言う事はです……彼らも人族と同様、お互いに争う可能性も十分に有り得ると言う事なのです。〕
(あっ!?……成る程…確かに俺は、始めから自分の先入観で決め付けてしまっていたのか……。自分では考えているつもりの様で、全くその事に気付いていなかったんだな…有り難うメル…やっとお前達が言う事が、理解できてきた気がするよ!!)
〔分かって頂けた様で幸いですマスター、其でしたら、犠牲となる"この方"もうかばれると思います。〕
(あっ…やっぱり、この人犠牲になるんだ……)
〔勿論で御座いますマスター、この方も仰ったでは無いですか、"知らない"と、言う事は哀れな事だと…彼はそれを身を持って示してくだっているのです。世界は優しい事ばかりでは在りません。マスターの様に寛大な方ばかりでは無いのですから。知らなかったからと許されるのは、ごく一部の(ソラ関連の)子達以外は例外など先ずありえません。我々は彼の行いに誠意をもって御応えしたいと思っております。〕
(確かに…哀れ…セバスさん!!貴方の事は多分?一生…忘れない……と…思う。)
ソラとメルがその様なやり取りをしている間にも、セバスは勝ち誇ったように、ソラ達を見下して語り続けていた…
「お気付きの通り、貴方の結界をこの私の魔眼が見抜いたのは事実ですよ?だからと言って貴方が幾ら自分の配下を呼び出し、囮として使おうとも、其を私が容易くほふる事が出来るのですから、時間稼ぎにもなりません!!御分かりですか冒・険・者・殿?クックク……さぁ…大人しく我々に協力して頂けますか?そして、私を大森林に導きなさい。」
最後まで読んで下さり、有り難う御座います。次回も宜しければ、暇潰ししていって下さい。宜しくお願いします。
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長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!
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神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。
神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。
書籍8巻11月24日発売します。
漫画版2巻まで発売中。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
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気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
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[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
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職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
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カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
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最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
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※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
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※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
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【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
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