もっとちゃんと壊れてよ。

風枝ちよ

文字の大きさ
1 / 1

もっとちゃんと壊れてよ。

しおりを挟む
なんで?
なんで君はそんなに「普通」なの?
なんで「普通」をしてるの?
壊れないの?
壊されないの?

君は全然「普通」なのに。
私だけが壊れていく気がする、怖いの。
おかしいんじゃないかって怖くなるの。
私だけがおかしいんじゃないかって。
君は壊れないの?
君の心は壊れたりしないの?
ヒビすらないの?
なんでそんなに「普通」なのよ。
なんで「普通」でいられるのよ。
「普通」をしてられるのよ。
私だけ割れて壊れて莫迦みたいじゃない。

君も壊れようよ。
一緒に壊れようよ。
ね。
ふたりだったら怖くないでしょ?
もう私は壊れちゃってるんだから。
何も怖くないでしょ?
ほら。
一緒に堕ちようよ。
たのしいよ?

でも壊れちゃうのは私の心だけなのかな。
私だけ壊れていくのかな。
ボロボロになって露と消えてしまうのかな?
そして君だけが嗤っているんだろうな。

どうしたら壊れるのかな。
好きって気持ちだけじゃ駄目なのかな。
恋って凶器だと思わない?
心に突き刺さって血が溢れてこない?
ねえ。
君は私に恋してないのかな。
愛はないのかな。
好きじゃないのかな?



もっとちゃんと壊れてよ。



壊そうよ。壊そうよ。壊そうよ。
壊れるくらい好きになろうよ。
壊れてしまおうよ。
壊しちゃおうよ。
身体ごと壊れちゃえばいいんだ。

ね。

壊れましょう?

壊れたほうが楽だよ。
壊れたほうが楽しいよ。
壊れたほうがしあわせだよ。
壊れようよ。
壊してよ。
壊れてよ。

壊れた破片同士でさ。
愛し合いましょう?
恋しましょう?
好きになりましょう?
こわしましょう?

愛なんて歪んでるほうが美しいじゃない?
完璧の中に美はないのだから。
儚いものを美しいと思わない?
儚いから美しいんじゃないの?

ガラスのハート?
君は私といる時に言ったけど本当なの?
どうせ防弾ガラスでも使ってるんでしょ?
私の心なんて触れるだけで割れてしまうのに。

そうやって私だけ壊れていくんだろうな。
君は私が壊れていくのも気付かない。
壊れてるのに何も言わない。
なんで?
もっと触ってよ。
最近どうしたの、でも何でもいいから話してよ。
壊れるくらい愛してるんだよ?
私は。私だけは。

もしぎゅってしたら君は潰れてしまうかな?
そうしたら壊れてくれるかな。
そんなことないだろうけど。
いつだって壊れていくのは私だ。
壊されるのは私だ。
私は私で勝手に壊れていくんだ。
それでいいのかな。
一緒に壊れたいな。

ね。
もっとちゃんと壊れてよ。
破壊してよ。倒壊してよ。崩壊してよ。
壊れてよ。

もっとちゃんと壊れてよ。

壊れるくらい恋をしてよ。好きになってよ。
ね。
壊しましょう?



こわれましょう?
しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

いちばん好きな人…

麻実
恋愛
夫の裏切りを知った妻は 自分もまた・・・。

一途な恋

凛子
恋愛
貴方だけ見つめてる……

行き場を失った恋の終わらせ方

当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」  自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。  避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。    しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……  恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。 ※他のサイトにも重複投稿しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

婚約破棄を伝えられて居るのは帝国の皇女様ですが…国は大丈夫でしょうか【完結】

恋愛
卒業式の最中、王子が隣国皇帝陛下の娘で有る皇女に婚約破棄を突き付けると言う、前代未聞の所業が行われ阿鼻叫喚の事態に陥り、卒業式どころでは無くなる事から物語は始まる。 果たして王子の国は無事に国を維持できるのか?

悪意には悪意で

12時のトキノカネ
恋愛
私の不幸はあの女の所為?今まで穏やかだった日常。それを壊す自称ヒロイン女。そしてそのいかれた女に悪役令嬢に指定されたミリ。ありがちな悪役令嬢ものです。 私を悪意を持って貶めようとするならば、私もあなたに同じ悪意を向けましょう。 ぶち切れ気味の公爵令嬢の一幕です。

なくなって気付く愛

戒月冷音
恋愛
生まれて死ぬまで…意味があるのかしら?

あなたへの恋心を消し去りました

恋愛
 私には両親に決められた素敵な婚約者がいる。  私は彼のことが大好き。少し顔を見るだけで幸せな気持ちになる。  だけど、彼には私の気持ちが重いみたい。  今、彼には憧れの人がいる。その人は大人びた雰囲気をもつ二つ上の先輩。  彼は心は自由でいたい言っていた。  その女性と話す時、私には見せない楽しそうな笑顔を向ける貴方を見て、胸が張り裂けそうになる。  友人たちは言う。お互いに干渉しない割り切った夫婦のほうが気が楽だって……。  だから私は彼が自由になれるように、魔女にこの激しい気持ちを封印してもらったの。 ※このお話はハッピーエンドではありません。 ※短いお話でサクサクと進めたいと思います。

処理中です...