踏切。

風枝ちよ

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第2章

猿の物語

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少し進むと、

ウッキー!

猿か。
猿ね、はいはい。
……。
…………。
………………。
猿?!
霊長目に属する人類以外の動物?
またまたなんで?
犬の次は猿?
どういうチョイス?
猿も違和感があるけど、その正体はわからない。
うんまぁこいつも吉備団子あげて仲間にするのかな。
きっとそうだろうな。
じゃあ善は急げ、と俺は吉備団子を取り出す。

「お待ちなさい。その穢らわしい生命体に貴重な吉備団子を渡すのではありません」

……犬?
どうしたんだいきなり。
なんで反抗してみた。

「は?なんでそげん腹減っとーと?さすがメス犬やね」

猿も対抗するんじゃない。
なんで火花散ってるんだ。
何が起きたんだ。
犬ってメスだったんだ。
猿も喋れるんだ。

「猿なんてバナナ片手にその辺でウホウホ言っておけばいいではないですか」
「犬なんてうんぬんかんぬん」
「ごちゃごちゃ」
「ほにゃほにゃ」

やかましいわお前ら!
とにかく猿に吉備団子をあげる。

「せんきゅーそーまっち!」

うん、無理して英語使わなくていいからね。



テッテレー
猿   が   なかま   に   なった   !



「やっぱ猿の方が偉かろ!」
「どこがですか?犬の方が偉いに決まってますよ」
「犬より猿の方が頭いいやん?」
「そうですか?犬の方が人間の命令をよく聞いてません?」
「猿だって猿回しとかあるやん!」
「犬の方が日常的に命令聞いてますよ」
「くっ……」
「もう降参ですか?こんな無謀な勝負を挑んだことを後悔しなさい」
「まだ降参じゃないけん!犬はそこらへんですぐトイレするけんバリ汚れるやん?」
「それはマーキングというものですよ。犬だから仕方ないのです」
「犬やけんって許されるもんでもないやろ!町汚しまくっとーやん」
「っ……」
「あれ?もう降参なん?こげん無謀な勝負挑んだこと後悔し!この言葉そっくり返しちゃーよ」
「待ちなさい。まだ降参ではありませんよ」
「まだ続けると?ダルすぎ」
「そもそも猿はですね……」
「いや犬だって……」



俺は進む。
犬と猿は、博多弁と標準語でずっと口喧嘩をしている。
終わりは見えてこない。


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