何故か未来の地球を救うことになったけど、そこに俺の意志はない

序章

どこか遠くで近くの星の話

1999年。
北朝鮮??朝鮮民主主義人民共和国??が何度も核実験を繰り返す度に、アメリカ??the United States of America??が制裁を加えていたが、何度制裁を加えても核実験をやめない。
遂にアメリカは大陸間弾道ミサイルを撃ち込んだ。
そのミサイルは平壌からそれほど遠くない山に当たった。
北朝鮮は正当防衛を主張し、アメリカへ向けてミサイルを撃った。
ミサイルは失敗し日本の領海に墜落。
すぐにアメリカと北朝鮮のミサイルの応酬が始まった。
しかし北朝鮮のミサイルは日本海に墜落するばかり。
日本も武装を強化した。
また、中国??中華人民共和国??は北朝鮮の味方につき、周辺の国々に侵攻。
北朝鮮と中国は世界を敵に回した。
戦火は全世界に拡大し、第三次世界大戦へと突入した。

2017年。
北朝鮮は核実験を繰り返し、その精度と威力は桁違いのものになっていた。
そして、北朝鮮はその核爆弾を使う。
アメリカへ向けて。
だがしかし、その核爆弾はアメリカには落ちなかった。
どこの国にも落ちなかった。
地球上のどこにも落ちなかった。
北朝鮮から打ち上げられた核爆弾は、地球周回軌道を廻り、アメリカへと落ちる予定だったのだが、スペースデブリによって燃料の容器に穴が開き、アメリカへ行くまでに燃料が尽きてしまった。
核爆弾は自身のスピードを消すことなく、また軌道修正もできず、地球周回軌道を離れていった。
核爆弾は金星に近付く。
時限式だった核爆弾は、そこで大爆発を起こした。
過去に類を見ない巨大な爆発だった。
そのエネルギーは、時空を捻じ曲げた。
違う世界へのゲートを開いてしまったのだ。

パラレルワールド。
多次元宇宙。
並行世界。
こんな言葉を聞いたことがあるだろう。
宇宙が並行して存在するという考え方だ。
宇宙を布に例えて、縦糸を１つの宇宙、横糸を時間とみなす。
縦糸が無数にあるように、宇宙も無数にある。
北朝鮮の爆発は、隣の縦糸への道を繋いでしまったのだ。

開いたゲートから見えるのは、地球によく似た青い星。
北朝鮮は、自分たちがゲートを開いたという理由でその星の所有権を一方的に宣言し、ミサイルを撃ち込んだ。
それを皮切りに、ほぼすべての国がミサイルを撃ち込み始めた。