何故か未来の地球を救うことになったけど、そこに俺の意志はない

風枝ちよ

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第5章

赤外線の道を突破する話

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『ゃじのるま止』

ゃじのるま止?
何語?
どーやって発音すんの?

『止まるのじゃ』

あ、後ろからになったのか。
ってなるかーい!
どんな口してんだよ。
で、止まるのね、はいなんでしょう。

『その先の道は赤外線が張り巡らされておる。少しでも触れたら電流が流れるぞ』

……怖っ。

「でもこの透明人間の効果ないんすか?」
『機械には通じぬ』
「え、じゃあ監視カメラとかは……」
『映っておるじゃろうな』

…終わった。
軽く死ぬ俺。
もう立ち直れなさそう。



「で、どうやって通り抜けるんすか?」
『今からわしが7秒間赤外線を無効化してやろう』

チートすぎだろ。
なんでもありじゃねえか。

『100メートルしかないから余裕じゃろ?』

無理だろ。
世界記録軽く超えてるわ。

『ならばバク宙7回でちょうど通り抜けれるのじゃが』

もっと無理だわ。

『ならば最後の手段を使うしかないのう』
「なんすか?」
『1本ずつ避けていくのじゃ』

一番現実的だけどきつくね?

『仕方なかろう』

仕方ないのか。



『頭1ミリ下げるのじゃ。あ、違う違うそこはあと3ミリ右手を上に。8ミリ前進。76ミリジャンプ。危ないぞ、体勢を崩すな』

ミリ単位での指示。
いや、細かいのはありがたいんだよ?
ありがたいんだけどなあ。
きついっすよ。



あの偉げな人たち(ナンバー28)はどうやって抜けたんだ?

『身分を証明する機械を持っておるんじゃ。そこから電波が出ておってな、その電波を感知すると罠が作動しなくなる仕組みじゃな』
「その機械持ってないんすか?」
『持っておる』

あぁ、やっぱりそうか……
まあこのおじいさんと言えどもできないこともあるんだろう。
……って、ええ?!
持っておる?

「持っておるんですか?」

言葉遣いが変になってしまった。

『持っておるぞ』
「なら貸してくださいよ」
『わしとしたことがうっかり忘れてしまったのじゃ。すまんのう』

それさえあれば無双で無敵だったのに。



歩く。
全裸で。
もう慣れの境地に達してきた。
なにも感じなくなってきた。
家に戻った時が怖い。


……やらかしそう。
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