魔王に呪いでフェンリルにされたので狼生を謳歌する考えです

さおり(緑楊彰浩)

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第27話

27-2

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 喜んでいた人は、次の勇者の誕生がうれしかったのだろう。候補者の中にも喜んでいた人がいたけれど、その人は勇者になりたくなかったのかもしれない。
 勇者になれば、魔王を倒すという任務ができる。
 勇者候補に選ばれた場合、『勇者の儀』を拒否することはできない。勇者になりたくないと思っていても、剣を抜いたら勇者になってしまう。
 もしかすると、過去にも勇者になりたくなかった勇者がいたかもしれない。それでも勇者になったら、魔王を倒すために旅に出なくてはいけないのだ。
 旅に出てしまえば、もう帰ってくることができないかもしれない。過去の勇者がそうだったのだから、それが嫌な人もいただろう。
 だから俺が剣を抜いたことに喜んでいたのだ。
 ライアンと会話をすることはなかった。先に教会を出てどこに行ったのかも知らない。
 けれど彼は一人で魔王城近くまで来たのだ。仲間になってから他の人と途中まで来たのかと尋ねたのだけれど、彼は自分だけの力でそこまでたどり着いたのだ。
 もしもライアンが光魔法を使えたり、今後使えるようになったとしたら、俺よりも勇者にふさわしい存在だっただろう。
 断片的な夢は、教会の中から外に変わった。
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