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第34話
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それに魔物である俺だけではなく、人間である彼女が匂いに気づけるのだ。それは近づいてきているのだろう。
「ここから離れよう」
匂いが植物でないのなら、魔物の可能性が高くなる。
ここは川があるだけで、木々に囲まれている。植物の影響が魔物であれば、この場所は危険だ。
足早に歩き出したシルフィスを追いかける。揺れていない木々の間を通り、先ほど歩いていた道へと向かう。
幸い揺れている木々は先ほど来た道のため、アランの村から離れることはない。
ただ、このまま何事もなくたどり着くことはできないだろう。それはシルフィスも分かっているはずだ。だから木々に囲まれている狭い場所ではなく、広い場所を探しているのだろう。
呟くように「広い場所はないの?」と言っている。人間では聞き取れないほどの声量だ。
風がないのに、離れた背後で木々が揺れた。先ほどよりも甘い匂いが強くなっている。このままだと追いつかれるのは確実だ。
「ウォン‼」
走れと言いたいが、言葉を話すことはできない。だから低く吠えた。
それだけで何が言いたいのか分かったようだ。
「ここから離れよう」
匂いが植物でないのなら、魔物の可能性が高くなる。
ここは川があるだけで、木々に囲まれている。植物の影響が魔物であれば、この場所は危険だ。
足早に歩き出したシルフィスを追いかける。揺れていない木々の間を通り、先ほど歩いていた道へと向かう。
幸い揺れている木々は先ほど来た道のため、アランの村から離れることはない。
ただ、このまま何事もなくたどり着くことはできないだろう。それはシルフィスも分かっているはずだ。だから木々に囲まれている狭い場所ではなく、広い場所を探しているのだろう。
呟くように「広い場所はないの?」と言っている。人間では聞き取れないほどの声量だ。
風がないのに、離れた背後で木々が揺れた。先ほどよりも甘い匂いが強くなっている。このままだと追いつかれるのは確実だ。
「ウォン‼」
走れと言いたいが、言葉を話すことはできない。だから低く吠えた。
それだけで何が言いたいのか分かったようだ。
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