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27.ピンチとヒーローはセットと信じたい
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ふかふかのベッドで目を覚ました。頭がぼーっとする。何の香りだろうか、甘いような独特の香りが部屋には充満している。
ふいに、ベッドが軽く沈んで、私の体も傾いた。
沈んだ方向を見ると、九頭谷先輩がベッドに乗ってきていた。あ、なんだ元気そう。ほっとする。
ぼーっと眺めいていると、九頭谷先輩が私の体に覆いかぶさるようにして顔の横に両手をついた。
そうだ。先輩には言わなければならないことがある。
「先輩。だめですよ」
「ふふ、でも、これが一番手っ取り早いからね。女子を落とすのには」
何を言い出すのだろう。よくわからないが、私は先輩の言葉を無視して先輩の首に手をまわして軽く体重をかけてふっと起き上がった。
「先輩は、弱いんだから」
先輩の体に少し力が入るのがわかる。むっとしているようである。相変わらず、弱いという単語が嫌いだな、先輩は。でも、弱いことは自覚した方がいい。
ぎゅっと腕に力を込めて、先輩の顔を胸に抱いた。
「ロン毛野郎と1人で戦うのは不可能ですから」
先輩は黙ってしまった。
「頼りないでしょうけど。もっと、頼ってください。」
先輩は、もしかするといつものようにこれぐらい平気だと思っていたのかもしれない。
あの時、先輩が1人で大勢に殴られているのを見て、私は心臓が苦しくなった。私が殴られたわけでもないのに、信じられないぐらい腹が立った。
先輩は、何も言わなかった。静かに、私の肩を押したのでバランスを崩して、もう一度ベッドへと横になる。そして私の制服のボタンに手を掛けた。1つ1つと開いていく。
何をしているのだろうか。
「誰と勘違いしているのか知らないけど。・・・まあ、大方あいつだろうけど。煽ったのは君だからね」
私はぼーっと、先輩の顔を眺めていた。灰色の長い髪の毛が頬をかすめてくすぐったい。
ん・・・灰色の髪・・・?
その時、「キャアアアア」「誰か!!」なんて外が騒がしくなって、バアンと勢いよく、扉が開く音がした。
びくりと顔を向ける。
不二君が、重厚そうな扉を足で蹴り開けたところだった。
「・・・・・・」
不二君がじとっと私を見つめる。
あっ、先輩を取ろうとしていたわけではっ!!
「影山さん、服着て。」
・・・・・・・・・!!!!完全に制服のボタンが外れて、胸から腹部までが露わになっていることに気づく。
慌ててボタンを閉める。
っていうか、目の前にいるのロン毛先輩だしっ。
ロン毛先輩に押し倒されている格好になっていた。
???!私は何をっ!勘違いして・・・!!
「一体どっから入ってきたんだ!不法侵入ですよ!!!」
と眼鏡執事が不二君へと叫ぶ。ロン毛先輩も、起き上がってあっけにとられている。
護衛の人たちだろうか、屈強な男たちが部屋になだれ込んできて不二君へと殴りかかろうとしている。
不二君!危ないっ!
九頭谷先輩に続いて不二君も傷つけられるなんて耐えられな――
と思ったが、不二君はいとも簡単に殴りかかろうとしてくる男に1発KOで応戦していた。
あ、強ーい。
「どっから・・?正面から来ましたけど」
と応戦しながら眼鏡執事の質問に律儀に不二君は答える。
どさっと、護衛の男たちの最後の1人が倒れた。
「何か、文句でも」
息も切らさず落ち着いたトーンで、不二君は言い切った。
映画のアクションシーンのような光景が目の前で繰り広げられていることに見入ってしまう。
すると、ベッドの先輩は近くにあったガラス製のライトを棚にぶつけて割った。隣で割れたライトにびっくりして逃げそびれた私を先輩は抱えてガラスのその破片を拾い私の首に突き付けてきた。
あっ。私が足手まといになってしまっている。俊敏に動けない自分を情けなく思った。
「それ以上近づいたらこの女を」と先輩が言った瞬間、不二君がその辺に倒れている護衛の人の靴を拾ってロン毛先輩に勢いよく投げた。
靴は見事に先輩の顎にぶつかり、先輩はベッドへと倒れた。私は同時に先輩の手から解放され不二君へと駆け寄った。
「不二君っ!!!やるう!!」
嬉しさのあまり、勢いで不二君に抱擁してしまった。不二君は無言だった。
「さすがすぎるよ~~!!」と慌てて離れてごまかす。
「あの、影山さん」と不二君が何か言いかけたが、はっと九頭谷先輩がどうしているのかと心配になった。
「九頭谷先輩はっ!!」
「保健室にいるよ」
「もうすぐ、下校時間じゃん!急ごう!!」
と、不二君を引っ張って先輩の豪邸を後にした。
他にも執事やメイドさんたちが豪邸内をドタドタと全力疾走する私たちを見てぎょっとしていたが「お邪魔しましたー!!」と言って走って出てきた。
ふいに、ベッドが軽く沈んで、私の体も傾いた。
沈んだ方向を見ると、九頭谷先輩がベッドに乗ってきていた。あ、なんだ元気そう。ほっとする。
ぼーっと眺めいていると、九頭谷先輩が私の体に覆いかぶさるようにして顔の横に両手をついた。
そうだ。先輩には言わなければならないことがある。
「先輩。だめですよ」
「ふふ、でも、これが一番手っ取り早いからね。女子を落とすのには」
何を言い出すのだろう。よくわからないが、私は先輩の言葉を無視して先輩の首に手をまわして軽く体重をかけてふっと起き上がった。
「先輩は、弱いんだから」
先輩の体に少し力が入るのがわかる。むっとしているようである。相変わらず、弱いという単語が嫌いだな、先輩は。でも、弱いことは自覚した方がいい。
ぎゅっと腕に力を込めて、先輩の顔を胸に抱いた。
「ロン毛野郎と1人で戦うのは不可能ですから」
先輩は黙ってしまった。
「頼りないでしょうけど。もっと、頼ってください。」
先輩は、もしかするといつものようにこれぐらい平気だと思っていたのかもしれない。
あの時、先輩が1人で大勢に殴られているのを見て、私は心臓が苦しくなった。私が殴られたわけでもないのに、信じられないぐらい腹が立った。
先輩は、何も言わなかった。静かに、私の肩を押したのでバランスを崩して、もう一度ベッドへと横になる。そして私の制服のボタンに手を掛けた。1つ1つと開いていく。
何をしているのだろうか。
「誰と勘違いしているのか知らないけど。・・・まあ、大方あいつだろうけど。煽ったのは君だからね」
私はぼーっと、先輩の顔を眺めていた。灰色の長い髪の毛が頬をかすめてくすぐったい。
ん・・・灰色の髪・・・?
その時、「キャアアアア」「誰か!!」なんて外が騒がしくなって、バアンと勢いよく、扉が開く音がした。
びくりと顔を向ける。
不二君が、重厚そうな扉を足で蹴り開けたところだった。
「・・・・・・」
不二君がじとっと私を見つめる。
あっ、先輩を取ろうとしていたわけではっ!!
「影山さん、服着て。」
・・・・・・・・・!!!!完全に制服のボタンが外れて、胸から腹部までが露わになっていることに気づく。
慌ててボタンを閉める。
っていうか、目の前にいるのロン毛先輩だしっ。
ロン毛先輩に押し倒されている格好になっていた。
???!私は何をっ!勘違いして・・・!!
「一体どっから入ってきたんだ!不法侵入ですよ!!!」
と眼鏡執事が不二君へと叫ぶ。ロン毛先輩も、起き上がってあっけにとられている。
護衛の人たちだろうか、屈強な男たちが部屋になだれ込んできて不二君へと殴りかかろうとしている。
不二君!危ないっ!
九頭谷先輩に続いて不二君も傷つけられるなんて耐えられな――
と思ったが、不二君はいとも簡単に殴りかかろうとしてくる男に1発KOで応戦していた。
あ、強ーい。
「どっから・・?正面から来ましたけど」
と応戦しながら眼鏡執事の質問に律儀に不二君は答える。
どさっと、護衛の男たちの最後の1人が倒れた。
「何か、文句でも」
息も切らさず落ち着いたトーンで、不二君は言い切った。
映画のアクションシーンのような光景が目の前で繰り広げられていることに見入ってしまう。
すると、ベッドの先輩は近くにあったガラス製のライトを棚にぶつけて割った。隣で割れたライトにびっくりして逃げそびれた私を先輩は抱えてガラスのその破片を拾い私の首に突き付けてきた。
あっ。私が足手まといになってしまっている。俊敏に動けない自分を情けなく思った。
「それ以上近づいたらこの女を」と先輩が言った瞬間、不二君がその辺に倒れている護衛の人の靴を拾ってロン毛先輩に勢いよく投げた。
靴は見事に先輩の顎にぶつかり、先輩はベッドへと倒れた。私は同時に先輩の手から解放され不二君へと駆け寄った。
「不二君っ!!!やるう!!」
嬉しさのあまり、勢いで不二君に抱擁してしまった。不二君は無言だった。
「さすがすぎるよ~~!!」と慌てて離れてごまかす。
「あの、影山さん」と不二君が何か言いかけたが、はっと九頭谷先輩がどうしているのかと心配になった。
「九頭谷先輩はっ!!」
「保健室にいるよ」
「もうすぐ、下校時間じゃん!急ごう!!」
と、不二君を引っ張って先輩の豪邸を後にした。
他にも執事やメイドさんたちが豪邸内をドタドタと全力疾走する私たちを見てぎょっとしていたが「お邪魔しましたー!!」と言って走って出てきた。
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