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45.*ヒーローと敵役 ~side 九頭谷一也~
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不二が放課後、俺のクラスに来た。不二といい感じの奴がいるらしく、関わるなと言われているので少し戸惑ったが、まあこいつに力ではかなわないことはわかっているので、仕方なく声をかける。
「おう、ヒーロー。どーした」
「先輩、ちょっといいですか」
と深刻そうな顔で言う。こえーよ。呼び出しを食らってしまった。しかし、不二は俺を呼び出したはいいものの、全くノープランだったようで、「えっと、どっか2人きりになれるところありますか」と聞いてくる。そういうことは先に考えとけよ・・・。
「じゃ、屋上行くかー」
もし、不二が俺に何かしら暴力やら仕掛けてきたとしても、屋上ならほかの人の目に触れないだろう。自ら助けの来ない危険な提案をしてしまう自分も馬鹿だなと思うが、まあ、いっか。
屋上の重たい扉を開けると風が吹いていた。でも、日差しを遮るものがないので、寒くもない。
俺は、いつも授業をさぼるときのように、屋上の床に腰を下ろした。
「・・・僕はヒーローなんかじゃないです」と不二が立ったまま言い出した。
「感情に任せて、影山さんを傷つけようとした」
えっ。そうなの?!初耳なんだけど。何それっ!こわっ!
と、俺だけ仲間外れだった事実と不二の発言に軽くショックを受けていると、不二が隣にしゃがみ、グイッと俺の肩をつかんで不二の方向へと体を向けさせた。
「今度、僕が暴走しかけたら、先輩が止めてください」
と言い出した。なんというお願いをしだすんだ、こいつは・・・。
「・・・俺に止められると思う?」
”無理ですね、先輩弱いから”という反応を期待したが、不二は「強くなってください」という。
じっと不二の顔を見ると、いつになく真剣で、俺が頷くまで待つという覚悟を感じさせた。こんなに強い奴が、こんな俺みたいな弱い人間に真剣に頼み込んでいる。
まあ、頷くしかねえよな。不二が友子ちゃんを想う熱い気持ちに圧倒されつつ、ガシガシっと頭を撫でた。
「ははは!まかせろ!真剣だな~~」
不二はびっくりして、一瞬体を固めたがほっとした表情をした。
「だから、近くにいろよ」
こんな弱い俺でも、お前らが守れるというのなら。近くにいてくれないと、何が起こっているのかも知ることができない。俺はこの後輩たちに守ってもらったのに、何もできなかったなんて結構悔しい。それに、ここ最近、脇役としての平穏を死守した生活を送ったが不二と友子ちゃんがいない日々は、味気なかった。わがままになったな、と自分でも思う。
「・・・先輩は、欲しい言葉をくれますね」
と不二が意外なことを言う。
「・・・うん?何?欲しかったんだ?」
「う」
不二がしばらく黙った。はは、照れてんのか?可愛いヤツだな。
「・・・欲しかったですよ」
さらに意外と素直に言うもんだから、俺は思わずまじまじと不二の顔を眺めてしまった。少し目を伏せて目線を逸らしている。ええ、ほんと何があったんだよ・・・。
俺が、黙って不二をじっと驚いた顔で見ているのに気づいて、不二がむっとする。
不二も無言のまま俺の肩を押してゆっくりと屋上のコンクリートに押し倒して乗っかってきた。え、や、殺られる?そんな今の腹立つ流れだった?
俺の顔の横に手をついて、顔を近づけてくる。そっと、唇を重ねる。おいおい、想定していなかった流れだよ。この前の唇を奪ったお返し的な?
この童貞(多分)は、この前が初めてのキスで(多分)数回ぐらいしかキスをしたことがない(多分)はずなのに、ぬるっと舌を自然に入れてきてちょっとビビった。頭いいやつって、こういうのも習得早えーのかよ・・・。
俺も対して不二とのキスに抵抗もないので、不二の舌が口の中を蹂躙するのに応戦する。嫌がらせになんかなんねーよ?という意思表示。
「先輩」
はあ、っとお互いの舌を抜いた。さすがにちょっと酸欠だ。呼吸が荒くなる。不二も同じようにクラクラとしている様子だった。しかし、もっと続けたいと思ってしまった自分気づき、あきれる。
「付き合ってください」
俺の唾液か不二自身の唾液かわからない液体が口から滴るのを指で拭いながら不二が言ったのだった。
「おう、ヒーロー。どーした」
「先輩、ちょっといいですか」
と深刻そうな顔で言う。こえーよ。呼び出しを食らってしまった。しかし、不二は俺を呼び出したはいいものの、全くノープランだったようで、「えっと、どっか2人きりになれるところありますか」と聞いてくる。そういうことは先に考えとけよ・・・。
「じゃ、屋上行くかー」
もし、不二が俺に何かしら暴力やら仕掛けてきたとしても、屋上ならほかの人の目に触れないだろう。自ら助けの来ない危険な提案をしてしまう自分も馬鹿だなと思うが、まあ、いっか。
屋上の重たい扉を開けると風が吹いていた。でも、日差しを遮るものがないので、寒くもない。
俺は、いつも授業をさぼるときのように、屋上の床に腰を下ろした。
「・・・僕はヒーローなんかじゃないです」と不二が立ったまま言い出した。
「感情に任せて、影山さんを傷つけようとした」
えっ。そうなの?!初耳なんだけど。何それっ!こわっ!
と、俺だけ仲間外れだった事実と不二の発言に軽くショックを受けていると、不二が隣にしゃがみ、グイッと俺の肩をつかんで不二の方向へと体を向けさせた。
「今度、僕が暴走しかけたら、先輩が止めてください」
と言い出した。なんというお願いをしだすんだ、こいつは・・・。
「・・・俺に止められると思う?」
”無理ですね、先輩弱いから”という反応を期待したが、不二は「強くなってください」という。
じっと不二の顔を見ると、いつになく真剣で、俺が頷くまで待つという覚悟を感じさせた。こんなに強い奴が、こんな俺みたいな弱い人間に真剣に頼み込んでいる。
まあ、頷くしかねえよな。不二が友子ちゃんを想う熱い気持ちに圧倒されつつ、ガシガシっと頭を撫でた。
「ははは!まかせろ!真剣だな~~」
不二はびっくりして、一瞬体を固めたがほっとした表情をした。
「だから、近くにいろよ」
こんな弱い俺でも、お前らが守れるというのなら。近くにいてくれないと、何が起こっているのかも知ることができない。俺はこの後輩たちに守ってもらったのに、何もできなかったなんて結構悔しい。それに、ここ最近、脇役としての平穏を死守した生活を送ったが不二と友子ちゃんがいない日々は、味気なかった。わがままになったな、と自分でも思う。
「・・・先輩は、欲しい言葉をくれますね」
と不二が意外なことを言う。
「・・・うん?何?欲しかったんだ?」
「う」
不二がしばらく黙った。はは、照れてんのか?可愛いヤツだな。
「・・・欲しかったですよ」
さらに意外と素直に言うもんだから、俺は思わずまじまじと不二の顔を眺めてしまった。少し目を伏せて目線を逸らしている。ええ、ほんと何があったんだよ・・・。
俺が、黙って不二をじっと驚いた顔で見ているのに気づいて、不二がむっとする。
不二も無言のまま俺の肩を押してゆっくりと屋上のコンクリートに押し倒して乗っかってきた。え、や、殺られる?そんな今の腹立つ流れだった?
俺の顔の横に手をついて、顔を近づけてくる。そっと、唇を重ねる。おいおい、想定していなかった流れだよ。この前の唇を奪ったお返し的な?
この童貞(多分)は、この前が初めてのキスで(多分)数回ぐらいしかキスをしたことがない(多分)はずなのに、ぬるっと舌を自然に入れてきてちょっとビビった。頭いいやつって、こういうのも習得早えーのかよ・・・。
俺も対して不二とのキスに抵抗もないので、不二の舌が口の中を蹂躙するのに応戦する。嫌がらせになんかなんねーよ?という意思表示。
「先輩」
はあ、っとお互いの舌を抜いた。さすがにちょっと酸欠だ。呼吸が荒くなる。不二も同じようにクラクラとしている様子だった。しかし、もっと続けたいと思ってしまった自分気づき、あきれる。
「付き合ってください」
俺の唾液か不二自身の唾液かわからない液体が口から滴るのを指で拭いながら不二が言ったのだった。
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