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51.*友人Aの妄想は止まらない ~side 保健医~

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『え・・・』
あ、の、メス、何を言ってやがる。

『な、なんで・・・・・・』
男子生徒の困惑した声が入ってくる。オレも困惑だよ。

『たぶん、あれだよ、教室の壁の破損を口実に呼び出してさ・・・と、トクベツ指導があるんだよ!!!』
ごくりと女子生徒が唾をのむ声が聞こえる。個人的な指導、とは言ったけれども。

白峰しらみね先生は不二ふじ君の両手を、包帯で縛った状態で保健室のベッドに押し倒すの。そして、指示棒で不二君の胸部の突起をくりくり刺激しながら「お前には、トクベツ指導が必要だな。」とか言って。保健医のくせに、なんで指示棒持ってんだよ!必要ないだろ!!っていうツッコミを不二君は心の中でするんだけどね。不二君は「や、やめてください、先生・・・!」て抵抗しながらも、やっぱり繊細な刺激を感じちゃってて・・・。どんどん呼吸が荒く・・・。ついに・・・あああ、どうしよう!!絶対させないんだから!!あの淫乱教師いいぃ!!!!』

『・・・影山かげやまさんて、結構変態さんだね』と不二が冷静に言ったので、オレも一人で大きくうなずく。
『う゛・・・スミマセン』
『・・・大丈夫だよ、僕強いし。襲われたところで、別に』
『・・・でも、気を付けてね』
『うん』

そこで掃除が終わったのだろう。2人は教室から出て行ったようだった。
オレは、自分のことを強いと言った不二のことが気になってきたので、調べることにした。

教員もほとんど帰った夜、1年2組の担任の机の引き出しを開けて不二に関する成績や保管されている名簿から家族構成、今までの生活記録などを見つけて写真を撮った。

成績は、まあ、上の下ぐらい。特に目立ったことはない。体育の体力測定のデータも見てみたが、とりわけ握力が強いなど怪力を示すようなデータは出てこなかった。
まあ、学校での測定値など適当に手を抜くとか改ざんなんて容易だろうから、あまりあてにはならない。

ただ、小学校頃からの引継ぎの資料は少し変わったことが書かれていた。

「注意事項:周囲の子を怖がらせることがあります。ものをよく破損します。」

そのような記述は、小学校高学年以降、中学校、高校でも見られなかった。

・・・。大きくなるにつれて、異常性をもつ人間ほど、敏感にその他大勢に埋もれることを覚えていく。巧みに隠すことができるようになる。不二もあり得ない話ではないと思う。

ああ、調べてみたいなぁ。欲しいなぁ。
その力、気になるなあ。

「不二って男子生徒、捕まえて調べてーな」そうつぶやいた。

「・・・珍しいな。・・・面倒ごとは嫌なんだけどね。・・・今回ばかりは協力しよう」
どこからともなく、黒い服を着た同年代の男が現れる。奴は守下もりした。オレの手下だ。いっつも文句言ってばかりの人間だが今日はえらくご機嫌だな。

「筋肉弛緩剤、用意しようか。」
「頼む」

守下がノリノリで提案してくるので、オレは、不二を捕まえることにした。
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