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50.校内暴力は見過ごせない ~side 保健医~
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放課後、生徒たちは帰宅したり、部活をしたり思い思いに過ごしている。肩までかかる髪の毛を後ろに束ね直し、オレは校内の巡回をしていた。そういえば、1年2組に化け物みたいな生徒がいるとかなんとか、噂で聞いたな。と思い出し、1年2組の教室を訪れた。
そして、噂を証明するような物証を見つけてしまった。1年2組の教室の教室の壁を見ながら、「普通、こんな壊れ方するか?」思わずつぶやいた。そのコンクリートの壁は手形にへこんでおりそれを中心にヒビが入っている。まるで、壁が柔らかい素材でできていたかのような傷の入り方。手で押さえてもビクともしない壁に手形を残せるとは一体どういうことなのか。
考え込んでいたら「・・・あ、保健室の・・・」
と言いながら一人の男子が入ってきた。前髪が長くて目にかかって表情はあまり読めないが気だるげな様子。ここのクラスの男子だろうか。
「こんにちは、忘れ物?」目を細めてなるべく威圧感を与えないように声をかける。オレは片目が悪いので、見えている右目で凝視してしまう癖がある。彼は何も言わずペコリと頭を下げた。
「ねえ、この壁の傷、なんでついたか知ってる?」
「さあ・・。」とだけ彼は答えた。そのまま彼は何も言わずに、そのまま忘れ物ののノートか何かを机から取り出して鞄にいれ教室を出ていった。
オレは、この教室で何が起きているのかを知るために盗聴器を仕掛けることにした。明日、家から持ってこよう。
次の日、放課後、1年2組の教卓の裏あたりに盗聴器をセットしていた時「白峰先生、こんにちはー」と名前を呼ぶ声がしてびっくりした。二つくくりの女子生徒だ。1年生か。見られてないよな?
「あ、ああ、こんにちは。掃除当番か?」
「はい、終わったんで、帰ります」と無難な返答が帰ってきた。いたって普通の存在感のない子だな。一応聞いてみるか。
「この1年2組の壁の傷ってどうやってできたか知ってる?」
「・・・へ?」と急に何かを探るような目つきに変わった。なんだ、この女子生徒。おかしいことは言っていないだろう。
「ほら、生活指導の関係で。校内暴力とか保健医として見逃せないからさ」と言っておく。
「ああ・・・。偶然できちゃったんじゃないですか?不二君って別に普段おとなしいし。」
・・・ほう、不二君。そいつがやったのか?聞いてもいないのに、不二という名前が出てきたのでこの女子生徒はこの破損について、何かしらは知っているのだろう。
「そっか。場合によっては個人的な指導も考えないと、とは思っていたんだけど。・・・不二君っていうのはどんな子?」
「あ・・・。えーっと、知らないです。すみません!」と慌てて言って隣のクラスへ走っていた。どうやら1年3組の子らしい。何かしらを知っていることは間違いないようだな。
念のため、隣のクラスにも盗聴器を仕掛けておくか。先ほどの女子生徒が教室から出て行ったことを確認してから1年3組にも盗聴器を仕掛けておいた。
次の日の放課後、盗聴器の音声を常に聞こえるようイヤホンを装着し、コーヒーを飲みながら過ごしていると、『あ、不二くーん』と、いともあっさりと狙っていた「不二」に関する音声が入ってきた。1年3組からの音声のようだ。この声は、昨日の女子生徒の声だろうか。
『どうしたの』気だるげな声だ。聞き覚えがある。・・・不二って、そうか、この前あった男子生徒か?どいつもこいつも嘘つきだな。
『・・・なんか、保健室の白峰先生、不二君のこと目つけてるかも。』とオレの話題が出て少し焦ったが、まあいい。
『ん?・・・今日も掃除してんの?・・・手伝うよ』
『あ、いいよ、好きでやってるだけだし』
『今日暇だから』
と言いながら男子生徒が教室に入ってきた音がした。
『黒板消すね』
『あ、ありがとう』
盗聴器を仕掛けた教卓の位置に近い黒板付近の会話で声がよく入ってくる。都合がいい。
『・・・で。白峰先生がどうって?』
と、不二がオレの話題に戻した。
『そう!』興奮気味に女子生徒が言う。
『不二君の貞操を狙っている・・・!!!』
と、女子生徒が突拍子もないことを言い出したのでオレは口に含んでいたコーヒーを吹き出してしまった。
そして、噂を証明するような物証を見つけてしまった。1年2組の教室の教室の壁を見ながら、「普通、こんな壊れ方するか?」思わずつぶやいた。そのコンクリートの壁は手形にへこんでおりそれを中心にヒビが入っている。まるで、壁が柔らかい素材でできていたかのような傷の入り方。手で押さえてもビクともしない壁に手形を残せるとは一体どういうことなのか。
考え込んでいたら「・・・あ、保健室の・・・」
と言いながら一人の男子が入ってきた。前髪が長くて目にかかって表情はあまり読めないが気だるげな様子。ここのクラスの男子だろうか。
「こんにちは、忘れ物?」目を細めてなるべく威圧感を与えないように声をかける。オレは片目が悪いので、見えている右目で凝視してしまう癖がある。彼は何も言わずペコリと頭を下げた。
「ねえ、この壁の傷、なんでついたか知ってる?」
「さあ・・。」とだけ彼は答えた。そのまま彼は何も言わずに、そのまま忘れ物ののノートか何かを机から取り出して鞄にいれ教室を出ていった。
オレは、この教室で何が起きているのかを知るために盗聴器を仕掛けることにした。明日、家から持ってこよう。
次の日、放課後、1年2組の教卓の裏あたりに盗聴器をセットしていた時「白峰先生、こんにちはー」と名前を呼ぶ声がしてびっくりした。二つくくりの女子生徒だ。1年生か。見られてないよな?
「あ、ああ、こんにちは。掃除当番か?」
「はい、終わったんで、帰ります」と無難な返答が帰ってきた。いたって普通の存在感のない子だな。一応聞いてみるか。
「この1年2組の壁の傷ってどうやってできたか知ってる?」
「・・・へ?」と急に何かを探るような目つきに変わった。なんだ、この女子生徒。おかしいことは言っていないだろう。
「ほら、生活指導の関係で。校内暴力とか保健医として見逃せないからさ」と言っておく。
「ああ・・・。偶然できちゃったんじゃないですか?不二君って別に普段おとなしいし。」
・・・ほう、不二君。そいつがやったのか?聞いてもいないのに、不二という名前が出てきたのでこの女子生徒はこの破損について、何かしらは知っているのだろう。
「そっか。場合によっては個人的な指導も考えないと、とは思っていたんだけど。・・・不二君っていうのはどんな子?」
「あ・・・。えーっと、知らないです。すみません!」と慌てて言って隣のクラスへ走っていた。どうやら1年3組の子らしい。何かしらを知っていることは間違いないようだな。
念のため、隣のクラスにも盗聴器を仕掛けておくか。先ほどの女子生徒が教室から出て行ったことを確認してから1年3組にも盗聴器を仕掛けておいた。
次の日の放課後、盗聴器の音声を常に聞こえるようイヤホンを装着し、コーヒーを飲みながら過ごしていると、『あ、不二くーん』と、いともあっさりと狙っていた「不二」に関する音声が入ってきた。1年3組からの音声のようだ。この声は、昨日の女子生徒の声だろうか。
『どうしたの』気だるげな声だ。聞き覚えがある。・・・不二って、そうか、この前あった男子生徒か?どいつもこいつも嘘つきだな。
『・・・なんか、保健室の白峰先生、不二君のこと目つけてるかも。』とオレの話題が出て少し焦ったが、まあいい。
『ん?・・・今日も掃除してんの?・・・手伝うよ』
『あ、いいよ、好きでやってるだけだし』
『今日暇だから』
と言いながら男子生徒が教室に入ってきた音がした。
『黒板消すね』
『あ、ありがとう』
盗聴器を仕掛けた教卓の位置に近い黒板付近の会話で声がよく入ってくる。都合がいい。
『・・・で。白峰先生がどうって?』
と、不二がオレの話題に戻した。
『そう!』興奮気味に女子生徒が言う。
『不二君の貞操を狙っている・・・!!!』
と、女子生徒が突拍子もないことを言い出したのでオレは口に含んでいたコーヒーを吹き出してしまった。
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