緋の契り

桜禾

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陽彩という存在

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 陽彩の看病を続けて数日。気づけば眠っていたようで、目を開けた瞬間に飛び込んできたのは、大粒の涙を流している陽彩の姿だった。
「ど、どうした!? まさか、私がうたた寝している間に鬼が?」
 そうだとしたら、傷ひとつ付けておらぬ陽彩は、またしても全力で鬼を退けたということか。あれだけ釘を刺したというのに……。
「おぼろっ、朧も、寂しかったんだねぇっ」
「……え?」
「晴明さんに出会って、朧は救われたんだねっ。すごいや晴明さん、すごい、ほんとすごいよ。そのおかげで、僕は朧に出逢えたんだから」
「其方……先ほどから何を言うておるのだ?」
「? だって、朧が話してくれたから。朧が死にそうだったところを晴明さんが助けてくれたんでしょ? そっか、この瑠璃色の瞳って、そういう使い方があったんだね。教えてくれた晴明さんにお礼言わなきゃ」
 なるほど。
 この陽彩と名付けた少年。夢見の力まで備えておったか。
「すごいねぇ、晴明さん。死にたいって思ってた朧を、ここまで生きさせてくれたんだもん。じゃなかったら僕たちは出逢えなかったんだもんね。晴明さん、ありがとぉ」
 そう言って、陽彩は涙を流しながら笑った。
 晴明の手は冷たくて心地良かった。
 母に対する怒りと失望で熱っていた身体には、晴明の体温が必要だった。
 しかし。
 陽彩の手は温かくて心地良い。
 そう。今、私が求めているものは。
「陽彩は温かいな。まさに子ども体温」
「なっ! そりゃ僕は朧よりもずっと子どもだけどさぁ! でも見ててね、近いうちに絶対に朧より大きくなってやるんだから!」
「そうか。このちびがどれだけ大きくなるのか、楽しみにしているぞ」
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