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第六章 これから
第14話 自問自答の答えは出ない
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「あーあ、今頃風呂場でいちゃついとるんちゃうか?」
2人が去った後のリビング。テーブルに肘をつき、茶化す様に攪真は在琉に投げかける。
「別にそれくらい良いだろ。織さん明らかに弦さんのこと好きなんだから」
答えた在琉はいつもの様にソファに座り、本に目を落としていた。今更2人の距離感にどうこう思う段階でもない。
その返しに攪真は項垂れた。コツンとテーブルに頭を付ける。――あの頃みたいな嫉妬ではない。その想いほどの激情は湧かない。けれど織理と誰かがいちゃついている、と言う事実は直視したくない。自分がその思いを抱けなくなったからなのか、自分が織理とそうなることがないからなのかは分からない。嫉妬ほどの激しい感情ではないのに、織理の1番になれない事実を突きつけられる事が苦しい。自分でもよくわからない感覚に余計にモヤモヤとする。
「なんで、俺は上手くできへんのやろ……」
――自分はこんなにも感情を上手く表現できない人間だっただろうか。人との関係に悩む様な内向的な人間だっただろうか。うまく言えない不快感に頭を占領される。
その様子を見ているのか見ていないのか、在流は視線も上げずに呟いた。
「てかアンタまだ織さんのこと好きだったんだ。弦さんに鞍替えしたのかと思ってた」
思わぬ言葉に攪真は目を丸くした。――俺が、弦さんに、鞍替え??? 聞き間違いか? いやでも間違いなくそう言った。
攪真は慌てて顔を上げる。バン、と少し音を立ててしまった。
「な、何言うとるんやお前!!? んなわけ」
「最近ずっと一緒だったし、そもそもお前弦さんとキスしたよね」
「え?」
――キス? したっけ? 一気に頭が真っ白になる。思い当たるものがない。ただその様に言われてしまうと最近の自分の行いがどう見えているのかを突きつけられてしまう。鞍替えした様に見えるほどに、弦に依存している事実。目を逸らしてきたが自覚自体はある。自分の、織理に向けられない澱んだ行き場のない感情を全部弦に向けているのだから。キスしたと言うのもしててもおかしくないと思われていると言うことか? と要らぬ邪推も含んで。
在琉の言葉は正直なところ揶揄い半分だった。キスした、と言うのも攪真が弦を、織理と思い込んで能力をぶつけたあの日のことを指している。それ以外に関しては攪真が迷走しているとしか思っていない。正直織理に執着しないで居てくれるのなら彼にとってもありがたい事だ。
だが思った以上に刺さってしまったらしい攪真の様子に、在琉も若干戸惑う。
「違う、……ちゃうんや、弦のことは別に、罪滅ぼしで……」
ぶつぶつと言い訳の様に頭を抱える彼に在琉は冷めた目を向ける。キスの部分は思い当たっていない様だ、なのに何でこんなに戸惑っているのだろう。
「いやまぁ別に良いんだけど。弦さんも気にしてなさそうだし」
何となく面倒臭くなりそうだったので在琉はそうして閉めようとした。
しかし攪真としてはそれはそれで傷つく。弦にも気にされず、織理との距離は埋まらない。いっそ弦が自分のことを好きで、と言う展開ならまだ気持ちの整理がつくのにそれはあり得ない事だ。そんな考えをするあたり、尚更自分の感情はよく分からなくなっていく。
――自分は織理に飽きてしまったのか、と言う考えはここ最近頭の中にあった。織理が自分を見ていないことに対して強い感情が湧かなくなった。在琉と手を繋いでいるのも羨ましいとは思うけれど、織理を無理矢理に抱きしめようとは思わない。弦と織理が仲良いことに関しても、自分はアレになれないのだと諦めがついてしまった。
――じゃあ俺はもう織理を諦めたのか? そう自分に問えばそれは違う。今でも織理と一緒に過ごしたいし、できることなら織理を抱きたい、キスしたい。ただ、前みたいに俺だけに依存して、俺だけを見て欲しいとは思わなくなった。認めたくない、興味を失ったことを。言葉にするとそれは違うのに、でも納得できるのはそれくらいしかない。弦が好きなのか? いやそれも違う。でもそう見えるのでは、だって弦は何も拒んでくれなくて居心地がいい。
「……俺、どないしたんやろ。なんで、あの頃の感情は嘘やないはずなのに」
在琉は興味なさげに聞き流すことにした。割と攪真のことはどうでも良い部類であり、ここまで取り乱されなければ意にも留める気がない。なんか悩んでるな、勝手にしてろ、くらいの雑さだった。
彼はこの際、織理が攪真とくっつこうが弦とくっつこうがもうどうでも良いところまで来ている。同棲初期はそれによって「2度と織理が自分の方を見てくれないのでは」と言う気持ちが無意識ながらあった。だから反発していたが織理は意外とそうでもなかった。
弦に心を寄せているように見えるくせに誘えばこちらにも来る、攪真と体を重ねたくせに今や自分と似たようなことをしている。なんて欲深い男だろう。
けれど、だからこそ争う意味を感じなくなった。弦も弦で織理を独占しようと言う素振りを見せない。それも在琉の安心を助長していた。弦は在琉にとって共存可能な相手なのだ。
故にこの家の中で1番警戒すべきは攪真だった。いつぞやのように織理を独り占めしたくて人を巻き込みむようでは救えない。それが起こることで織理はより弦に気を向けるようになったわけだし。この勢力図を簡単に書き換えてしまえるのが攪真だった。どちらかと言えば悪い意味で。
悩む攪真を放って在琉は席を立ち、脱衣所の方へ向かう。そろそろ風呂を出る時間な筈だ。織理だけでは弦を支え切れないだろう、物理的に。
「織さん~、押し潰されてない? ちゃんと風呂入れてる?」
軽く脱衣所の扉をノックして声をかける。シャワーの音は止んでいる。
「在琉……俺そこまで非力じゃない……」
浴室から織理のくぐもった声が聞こえた。2人が浴室の扉の前にいる影を見るにそろそろ出ようとしていたところだったようだ。
意固地な織理に投げかけていては仕方ない。
「弦さん、出る時言って。手を貸すから。織さんじゃ無理だよ、小さいし」
「無理じゃない……!」
この言葉に対して中から織理の抗議の声が聞こえたが無視した。
少しすると浴室のドアがわずかに揺れる。やっぱり手こずってるじゃん、と在琉は扉を開けた。弦の腕を肩に回した織理はやや重さに潰れかけていた。どうしても脚が上手く立たない人間を支えるのは、重さが余計にかかるらしい。入る時は余裕だったのに、と少し悔しく思う。
在琉はそれを手を差し出して肩を貸す。
「……ありがと、在琉。優しいね~」
弦も申し訳なさそうに笑いながら、織理に持たれていた体を在琉に傾ける。
「まぁ病人に対してくらいはね。織さん顔真っ赤、のぼせてない?」
「のぼせてない……。ただちょっと、色々……」
ふと見ると織理の顔は赤らんでいた。口籠る織理に不審な目を向ける。
「なに? 弦さんに襲われたの?」
「在琉俺のことそんな風に見てるの?」
弦が苦笑いしながら一歩を踏み出す。――杖のつけない浴室では出入りすら一苦労だ。こうして誰かに頼らないと生活がままならないことに心が締め付けられる。
織理はどこか不服そうでありながら、やっぱり一人で弦を支え切れない事実に唇を噛む。非力であることが悔しくて仕方ない。最悪、洗脳という手もあるがやはり一緒にお風呂には入りたかった。複雑な心境だ。
「……やっぱり攪真に頼んだ方がよかったかな。ごめんね、織理……在琉もありがとう」
ただ感謝することしかできない無力感に弦もまた顔を顰めた。
2人が去った後のリビング。テーブルに肘をつき、茶化す様に攪真は在琉に投げかける。
「別にそれくらい良いだろ。織さん明らかに弦さんのこと好きなんだから」
答えた在琉はいつもの様にソファに座り、本に目を落としていた。今更2人の距離感にどうこう思う段階でもない。
その返しに攪真は項垂れた。コツンとテーブルに頭を付ける。――あの頃みたいな嫉妬ではない。その想いほどの激情は湧かない。けれど織理と誰かがいちゃついている、と言う事実は直視したくない。自分がその思いを抱けなくなったからなのか、自分が織理とそうなることがないからなのかは分からない。嫉妬ほどの激しい感情ではないのに、織理の1番になれない事実を突きつけられる事が苦しい。自分でもよくわからない感覚に余計にモヤモヤとする。
「なんで、俺は上手くできへんのやろ……」
――自分はこんなにも感情を上手く表現できない人間だっただろうか。人との関係に悩む様な内向的な人間だっただろうか。うまく言えない不快感に頭を占領される。
その様子を見ているのか見ていないのか、在流は視線も上げずに呟いた。
「てかアンタまだ織さんのこと好きだったんだ。弦さんに鞍替えしたのかと思ってた」
思わぬ言葉に攪真は目を丸くした。――俺が、弦さんに、鞍替え??? 聞き間違いか? いやでも間違いなくそう言った。
攪真は慌てて顔を上げる。バン、と少し音を立ててしまった。
「な、何言うとるんやお前!!? んなわけ」
「最近ずっと一緒だったし、そもそもお前弦さんとキスしたよね」
「え?」
――キス? したっけ? 一気に頭が真っ白になる。思い当たるものがない。ただその様に言われてしまうと最近の自分の行いがどう見えているのかを突きつけられてしまう。鞍替えした様に見えるほどに、弦に依存している事実。目を逸らしてきたが自覚自体はある。自分の、織理に向けられない澱んだ行き場のない感情を全部弦に向けているのだから。キスしたと言うのもしててもおかしくないと思われていると言うことか? と要らぬ邪推も含んで。
在琉の言葉は正直なところ揶揄い半分だった。キスした、と言うのも攪真が弦を、織理と思い込んで能力をぶつけたあの日のことを指している。それ以外に関しては攪真が迷走しているとしか思っていない。正直織理に執着しないで居てくれるのなら彼にとってもありがたい事だ。
だが思った以上に刺さってしまったらしい攪真の様子に、在琉も若干戸惑う。
「違う、……ちゃうんや、弦のことは別に、罪滅ぼしで……」
ぶつぶつと言い訳の様に頭を抱える彼に在琉は冷めた目を向ける。キスの部分は思い当たっていない様だ、なのに何でこんなに戸惑っているのだろう。
「いやまぁ別に良いんだけど。弦さんも気にしてなさそうだし」
何となく面倒臭くなりそうだったので在琉はそうして閉めようとした。
しかし攪真としてはそれはそれで傷つく。弦にも気にされず、織理との距離は埋まらない。いっそ弦が自分のことを好きで、と言う展開ならまだ気持ちの整理がつくのにそれはあり得ない事だ。そんな考えをするあたり、尚更自分の感情はよく分からなくなっていく。
――自分は織理に飽きてしまったのか、と言う考えはここ最近頭の中にあった。織理が自分を見ていないことに対して強い感情が湧かなくなった。在琉と手を繋いでいるのも羨ましいとは思うけれど、織理を無理矢理に抱きしめようとは思わない。弦と織理が仲良いことに関しても、自分はアレになれないのだと諦めがついてしまった。
――じゃあ俺はもう織理を諦めたのか? そう自分に問えばそれは違う。今でも織理と一緒に過ごしたいし、できることなら織理を抱きたい、キスしたい。ただ、前みたいに俺だけに依存して、俺だけを見て欲しいとは思わなくなった。認めたくない、興味を失ったことを。言葉にするとそれは違うのに、でも納得できるのはそれくらいしかない。弦が好きなのか? いやそれも違う。でもそう見えるのでは、だって弦は何も拒んでくれなくて居心地がいい。
「……俺、どないしたんやろ。なんで、あの頃の感情は嘘やないはずなのに」
在琉は興味なさげに聞き流すことにした。割と攪真のことはどうでも良い部類であり、ここまで取り乱されなければ意にも留める気がない。なんか悩んでるな、勝手にしてろ、くらいの雑さだった。
彼はこの際、織理が攪真とくっつこうが弦とくっつこうがもうどうでも良いところまで来ている。同棲初期はそれによって「2度と織理が自分の方を見てくれないのでは」と言う気持ちが無意識ながらあった。だから反発していたが織理は意外とそうでもなかった。
弦に心を寄せているように見えるくせに誘えばこちらにも来る、攪真と体を重ねたくせに今や自分と似たようなことをしている。なんて欲深い男だろう。
けれど、だからこそ争う意味を感じなくなった。弦も弦で織理を独占しようと言う素振りを見せない。それも在琉の安心を助長していた。弦は在琉にとって共存可能な相手なのだ。
故にこの家の中で1番警戒すべきは攪真だった。いつぞやのように織理を独り占めしたくて人を巻き込みむようでは救えない。それが起こることで織理はより弦に気を向けるようになったわけだし。この勢力図を簡単に書き換えてしまえるのが攪真だった。どちらかと言えば悪い意味で。
悩む攪真を放って在琉は席を立ち、脱衣所の方へ向かう。そろそろ風呂を出る時間な筈だ。織理だけでは弦を支え切れないだろう、物理的に。
「織さん~、押し潰されてない? ちゃんと風呂入れてる?」
軽く脱衣所の扉をノックして声をかける。シャワーの音は止んでいる。
「在琉……俺そこまで非力じゃない……」
浴室から織理のくぐもった声が聞こえた。2人が浴室の扉の前にいる影を見るにそろそろ出ようとしていたところだったようだ。
意固地な織理に投げかけていては仕方ない。
「弦さん、出る時言って。手を貸すから。織さんじゃ無理だよ、小さいし」
「無理じゃない……!」
この言葉に対して中から織理の抗議の声が聞こえたが無視した。
少しすると浴室のドアがわずかに揺れる。やっぱり手こずってるじゃん、と在琉は扉を開けた。弦の腕を肩に回した織理はやや重さに潰れかけていた。どうしても脚が上手く立たない人間を支えるのは、重さが余計にかかるらしい。入る時は余裕だったのに、と少し悔しく思う。
在琉はそれを手を差し出して肩を貸す。
「……ありがと、在琉。優しいね~」
弦も申し訳なさそうに笑いながら、織理に持たれていた体を在琉に傾ける。
「まぁ病人に対してくらいはね。織さん顔真っ赤、のぼせてない?」
「のぼせてない……。ただちょっと、色々……」
ふと見ると織理の顔は赤らんでいた。口籠る織理に不審な目を向ける。
「なに? 弦さんに襲われたの?」
「在琉俺のことそんな風に見てるの?」
弦が苦笑いしながら一歩を踏み出す。――杖のつけない浴室では出入りすら一苦労だ。こうして誰かに頼らないと生活がままならないことに心が締め付けられる。
織理はどこか不服そうでありながら、やっぱり一人で弦を支え切れない事実に唇を噛む。非力であることが悔しくて仕方ない。最悪、洗脳という手もあるがやはり一緒にお風呂には入りたかった。複雑な心境だ。
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