がんばり屋の森本くん

しお子

文字の大きさ
39 / 58
四がんばり目~惚れたあの娘は男のコ~

第39話 折戸の過去4

しおりを挟む

シャワーを浴びるとベッドに移動して森本の怪我の手当てをしていた。

「痛む?」

「しみるけど全然平気。
 …ところで、折戸くんが部活作るのあんなに否定したのってあの三人と関係あるの?」

切られたところはすでに血が止まっていて、傷口が開かないようフロントでもらった包帯を軽く巻いて処置した。
森本は前回男の格好で会ったときのことを思い出し、過去にどんなことがあったのか知りたがった。

「あー…。
 去年俺もバスケ部復活させようと色々やってたんだけど、当時三年だったあいつらに目つけられて嫌がらせされててさ。
 ムカついたから喧嘩売ったらあいつら三人がかりで負けてやんの。
 ただ、それでキレた一人が今日みたいに刃物で俺の腕ざっくり!
 ひでー話だろ?」

ソラの時と違い折戸は少し砕けた口調で話していた。

「そうだったんだ…。怪我はもう大丈夫なの?」

「入院とかはしなかったけどしばらく握力戻らなくて、完治した頃には中学のダチがインターハイ出てるわ一緒に部活作ろうって言ってたやつは別の運動部入ってるわで諦めたってわけ。」

「…もったいないよ!!

 せっかく治ったのに、身長のことは正直腹立ったけど折戸くん俺より高いし、それなのにバスケやらないなんてズルい。」

「ズルいって、そんなこと言われたってなあ。」

「バスケ部、折戸くんが入ってくれたらメンバー揃うんだよ!
 あとは顧問になってくれる先生見つければ、またバスケ出来るんだよ…!」

森本はバスケがしたかったのに諦めてしまった折戸のことを考えるとより胸が熱くなった。
それを聞いていた折戸もだんだん引き込まれていき、最初に否定していた手前大きく頷くことは出来なかったが少し照れながら言った。

「っ…、仕方ない。
 入ってやるよ、惚れた子のお願いだしな。」

「やっった!!!」

これでバスケが出来る、その嬉しさで森本は折戸に抱きついていた。





「杉野先生!」

登校早々職員室で森本は部員の欄が埋まった申請書を見せて息巻いていた。

「あと顧問だけなんですけど、どの先生だったら顧問してもらえるんですか!?」

入学当初から森本の勢いにうんざりしている担任は、書類に目を通しながら淡々と答えた。

「山本先生、林先生、松城先生あたりがいいんじゃないか?」

「松城先生…。」

以前職員室に忍び込んだときのことを思い出し、松城に対して苦手意識をもっている森本。

「あ、ちょうどいるじゃないか。
 松城先生!」

「え!ちょ、待って!」

タイミングが良いのか悪いのか、松城が付近を通ると杉野が声をかけ笑顔でこちらにやってきた。

「なんですか?」

「担任してるクラスの森本なんですけど、バスケ部を設立のため顧問を探してるみたいなんです。話だけでも聞いてやってくれませんか?」

「そうなんですか、良いですよ。
 森本くん、放課後に詳しい話聞かせてくれるかな?」

あわあわしているうちに話が進み松城と二人で会うことになってしまった。
しかしこの際贅沢を言ってる場合ではないと森本は腹をくくり頭を下げるのだった。

「…よろしくお願いします!」



しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

月弥総合病院

御月様(旧名 僕君☽☽‪︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

カテーテルの使い方

真城詩
BL
短編読みきりです。

ふたなり治験棟 企画12月31公開

ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。 男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!

ある少年の体調不良について

雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。 BLもしくはブロマンス小説。 体調不良描写があります。

処理中です...