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第一章 辺境の村~6歳~
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六歳と四歳の兄妹二人。
再びロザンのところへやって来た。
「あれ? どうしたんですか?」
「えっと、ちょっとロザンに聞きたいことがあってさ。えへへ……ほら、マリア」
隣のマリアは僕の服の袖口を引っ張る。
「うん? どうしたの?」
「ハルトお兄さまが聞いてください」
「え!? 僕が聞くの?」
頷いたマリアは僕の腕にしがみつく。
さっきまでの勢いはどこに?
まあ、これはこれで可愛いけどさ。
「あの、ハルト様、もういいですか? 親父に怒られちゃうんで」
「ああー、ごめんなさい、すぐ済むので。えっと、怒らないで聞いて欲しいんだけど」
「はい」
「僕はね、ロザンは違うと思うんだよ」
「もう、なんですか?」
「ロザンはキリカのことが好きなの?」
「はあ? 俺はべつに。ただイライラしてるキリカに八つ当たりされるのが嫌なだけだし」
ほら、フィーネの時とは違って普通の反応。
「うんうん、そうだよね。よくわかるよ」
「もういい?」
「はい、ありがとうございましたー」
家の中に入っていくロザンを見送る。
「ね、マリア。僕が言った通りでしょ?」
「いいえ、お兄さま。これでロザンがキリカを好きなことがはっきりしました」
「え? どれで?」
「男は嘘をつく時、平静を装うのです」
「マリアは難しい言葉を知ってるね。マーサかな? マーサの井戸端会議の悪影響かな?」
クラウスさん経由で釘を刺しておかなきゃ。
子供は大人の話をよく聞いてるんだから。
「思春期の男の子なんて可愛いものなのです」
マリアは四歳児だよね?
もしかして地球って知らない?
「ハルトお兄さま!」
「はい!」
「すぐにキリカに伝えに行きましょう」
「え!? それだけはやめておこうよ」
「フィーネのためなのですよ? むむむ……」
またその可愛い圧力。
でも確かに。
友達だと思っているフィーネがキリカの勘違いで傷つくのは可哀想だよな。
というわけで、今度はキリカのところへ。
で、やっぱり僕が話す役目なのね。
「今度はなに?」
「あのー、実はキリカに大事なことをお伝えしたいと思って、参ったしだいでして」
「はあ? 大事なこと?」
「あ、そうだ。その前に確認しておきたいんだけど、キリカはロザンが好きなんだよね?」
「はあ!? べ、べつに関係ないじゃん」
キリカの顔真っ赤。
核心突くとこんなにわかりやすいんだ。
「そのロザンはフィーネじゃなくて、キリカが好きみたいですよ(僕はわからないけど)」
「うそ! そんなのうそよ!」
嘘つき呼ばわりされると辛いなー。
隣のマリアが僕の耳元でささやいてくる。
はいはい、なんですか。
「ふむふむ……。そもそもキリカはどうしてロザンがフィーネを好きだと思ったの」
確かに気になるね。
「だって、フィーネの仕事が忙しくなってから、ロザンはあたしと二人でいても、いっつもフィーネはどうしてるかなとか、会えないかなとかばっかり言うんだもん」
「もしかして、それでイライラしたの?」
こくりと頷くキリカ。
満を持してマリアが前に出る。
「あの! それはたぶんフィーネがいなくて寂しそうに見えたキリカを気遣ったのだと思います。口下手で優しい男ほど不器用ですから」
フィーネは高倉健さんとか知らない?
大人たちの話をフィーネの耳に入れないよう、マーサさんにお願いしておかなきゃ。
「ぐすっ、本当に?」
「はい、ロザンはキリカが好きですよ」
「うっうっ、うわあーん! マリアンヌ様ー」
「辛かったですね、もう大丈夫です」
キリカはマリアに抱きついて泣いた。
僕は疑うのにマリアは信じるんだな。
なんだろう……なんか寂しい……。
しばらく四歳児に頭をよしよし撫でられて泣いたキリカ。落ち着いてきたら気まずそう。
「あの……フィーネのことなんだけど……」
「伝言はしてないから大丈夫だよ」
「酷いこと言ったの黙っててくれるの?」
たとえ勘違いでも、友達にあんな言われ方したら嫌な気持ちになるからね。
「秘密でいいんだよね、マリア?」
「はい。三人の秘密です」
「マリアンヌ様、ありがとう」
あれ僕は?
そんなこんなでツンツン娘ことキリカも、少しは普通に話ができるようになった。
そして領主邸への帰り道。
僕と腕を組んで歩くマリアは嬉しそうだ。
「マリアは嬉しそうだね」
「はい。マリアはハルトお兄さまのお役に立てたことがとても嬉しいのです。お兄さまも二人が仲良くなれば嬉しいですよね?」
「うん? まあ、そうだね」
これからキリカと普通に会話ができて、協力的であってくれるなら嬉しいね。
「でもお兄さま」
「なんだい?」
「お兄さまも不器用のままでは、マリアはダメだと思うのです。フィーネは男の子たちに人気があるので負けないでくださいね」
「なんの話だい?」
「ふふふ、お兄さまったら可愛い」
世の妹とはみんなこんな感じなのだろうか?
マリアに翻弄されっぱなしの午後だった。
再びロザンのところへやって来た。
「あれ? どうしたんですか?」
「えっと、ちょっとロザンに聞きたいことがあってさ。えへへ……ほら、マリア」
隣のマリアは僕の服の袖口を引っ張る。
「うん? どうしたの?」
「ハルトお兄さまが聞いてください」
「え!? 僕が聞くの?」
頷いたマリアは僕の腕にしがみつく。
さっきまでの勢いはどこに?
まあ、これはこれで可愛いけどさ。
「あの、ハルト様、もういいですか? 親父に怒られちゃうんで」
「ああー、ごめんなさい、すぐ済むので。えっと、怒らないで聞いて欲しいんだけど」
「はい」
「僕はね、ロザンは違うと思うんだよ」
「もう、なんですか?」
「ロザンはキリカのことが好きなの?」
「はあ? 俺はべつに。ただイライラしてるキリカに八つ当たりされるのが嫌なだけだし」
ほら、フィーネの時とは違って普通の反応。
「うんうん、そうだよね。よくわかるよ」
「もういい?」
「はい、ありがとうございましたー」
家の中に入っていくロザンを見送る。
「ね、マリア。僕が言った通りでしょ?」
「いいえ、お兄さま。これでロザンがキリカを好きなことがはっきりしました」
「え? どれで?」
「男は嘘をつく時、平静を装うのです」
「マリアは難しい言葉を知ってるね。マーサかな? マーサの井戸端会議の悪影響かな?」
クラウスさん経由で釘を刺しておかなきゃ。
子供は大人の話をよく聞いてるんだから。
「思春期の男の子なんて可愛いものなのです」
マリアは四歳児だよね?
もしかして地球って知らない?
「ハルトお兄さま!」
「はい!」
「すぐにキリカに伝えに行きましょう」
「え!? それだけはやめておこうよ」
「フィーネのためなのですよ? むむむ……」
またその可愛い圧力。
でも確かに。
友達だと思っているフィーネがキリカの勘違いで傷つくのは可哀想だよな。
というわけで、今度はキリカのところへ。
で、やっぱり僕が話す役目なのね。
「今度はなに?」
「あのー、実はキリカに大事なことをお伝えしたいと思って、参ったしだいでして」
「はあ? 大事なこと?」
「あ、そうだ。その前に確認しておきたいんだけど、キリカはロザンが好きなんだよね?」
「はあ!? べ、べつに関係ないじゃん」
キリカの顔真っ赤。
核心突くとこんなにわかりやすいんだ。
「そのロザンはフィーネじゃなくて、キリカが好きみたいですよ(僕はわからないけど)」
「うそ! そんなのうそよ!」
嘘つき呼ばわりされると辛いなー。
隣のマリアが僕の耳元でささやいてくる。
はいはい、なんですか。
「ふむふむ……。そもそもキリカはどうしてロザンがフィーネを好きだと思ったの」
確かに気になるね。
「だって、フィーネの仕事が忙しくなってから、ロザンはあたしと二人でいても、いっつもフィーネはどうしてるかなとか、会えないかなとかばっかり言うんだもん」
「もしかして、それでイライラしたの?」
こくりと頷くキリカ。
満を持してマリアが前に出る。
「あの! それはたぶんフィーネがいなくて寂しそうに見えたキリカを気遣ったのだと思います。口下手で優しい男ほど不器用ですから」
フィーネは高倉健さんとか知らない?
大人たちの話をフィーネの耳に入れないよう、マーサさんにお願いしておかなきゃ。
「ぐすっ、本当に?」
「はい、ロザンはキリカが好きですよ」
「うっうっ、うわあーん! マリアンヌ様ー」
「辛かったですね、もう大丈夫です」
キリカはマリアに抱きついて泣いた。
僕は疑うのにマリアは信じるんだな。
なんだろう……なんか寂しい……。
しばらく四歳児に頭をよしよし撫でられて泣いたキリカ。落ち着いてきたら気まずそう。
「あの……フィーネのことなんだけど……」
「伝言はしてないから大丈夫だよ」
「酷いこと言ったの黙っててくれるの?」
たとえ勘違いでも、友達にあんな言われ方したら嫌な気持ちになるからね。
「秘密でいいんだよね、マリア?」
「はい。三人の秘密です」
「マリアンヌ様、ありがとう」
あれ僕は?
そんなこんなでツンツン娘ことキリカも、少しは普通に話ができるようになった。
そして領主邸への帰り道。
僕と腕を組んで歩くマリアは嬉しそうだ。
「マリアは嬉しそうだね」
「はい。マリアはハルトお兄さまのお役に立てたことがとても嬉しいのです。お兄さまも二人が仲良くなれば嬉しいですよね?」
「うん? まあ、そうだね」
これからキリカと普通に会話ができて、協力的であってくれるなら嬉しいね。
「でもお兄さま」
「なんだい?」
「お兄さまも不器用のままでは、マリアはダメだと思うのです。フィーネは男の子たちに人気があるので負けないでくださいね」
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「ふふふ、お兄さまったら可愛い」
世の妹とはみんなこんな感じなのだろうか?
マリアに翻弄されっぱなしの午後だった。
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