164 / 267
第三章
第百六十三話
しおりを挟む
「もっと警戒しないと駄目でしょ?水樹ちゃん目立つんだから。だけど結構言い返してたからびっくりしたよ。」
「生まれて初めてナンパされた。だからわからなくて・・・ごめんなさい・・・。あ、でも絡まれたら闘うって日頃から心掛けているから頑張ったんだよ。」
「へ? ま、何も無くてほんとによかったあ。羽柴大活躍!ね、喉乾いたね、ソフトクリームやめてさ、飲み物買って駅まで歩いて帰ろうか。」
「うんっ。あれ?ソフトクリームどうしたの?でもありがとう探しに来てくれて。それにしても瞬ちゃん空手できるんだね。凄く強そうだったよ。」
「いや、まあ、それは、あはは・・・。でもまたチビッて言われちゃったよームカつくっ。あいつ、アスファルトの継ぎ目にでもつまづいて転べばいいのにっ。」
「あはは地味だね。でもほんとだね。」
そう笑った後、水樹は瞬介を凝視した。
「でも・・・。」
え、何?と瞬介は身構えた。
「でも瞬ちゃんチビじゃないよ。ほらっ。」
そして水樹は瞬介と並んでみせた。
「なっ、やっ・・・。」
あれ?もしかして・・・。と、瞬介はドキドキした。
そして晩御飯も一緒に食べたい所だけど、明日もまだ夏休み前の残りの学校があるので帰る事にした。電車に乗りながら、勇利についても話をした。勇利は本命の受験の日が地方大会の2日前で、なかなか練習に来れない事と、ついでに来年受験する瞬介の本命大学が毎年8月の中旬が受験の日だという事を水樹は知った。
そしてクラブに関しては、勇利もこんな状態であるし、今年全国大会に出場するのは希望薄だと二人は思った。だからこそ瞬介は胸に秘める。来年必ず、自分が全国大会に連れて行ってあげたい。
「ただいま・・・。」
そして瞬介は帰宅すると壁まで真っ先に身長を比べに行った。
「お姉ちゃん、ちょっと来てっ。ねえ、どう、どう?」
「あ!ほんとだ。この印より1cmは超えてるよ!凄いじゃん、瞬!」
戸惑う。どうしよう。水樹をとうとう追い越してしまった。瞬介は追い越す事に精一杯で、正直その後の事は真剣に考えてはいなかったのだ。
勇気がない。うん。大丈夫。ここで決められない男はどこでもかっこよくいられないんだ。俺、変わりたい。だからこの夏のハンドがオフになったらもう一度誘いに行くよ。今度は友達としてではなくて。
瞬介は顔を上げた。
「生まれて初めてナンパされた。だからわからなくて・・・ごめんなさい・・・。あ、でも絡まれたら闘うって日頃から心掛けているから頑張ったんだよ。」
「へ? ま、何も無くてほんとによかったあ。羽柴大活躍!ね、喉乾いたね、ソフトクリームやめてさ、飲み物買って駅まで歩いて帰ろうか。」
「うんっ。あれ?ソフトクリームどうしたの?でもありがとう探しに来てくれて。それにしても瞬ちゃん空手できるんだね。凄く強そうだったよ。」
「いや、まあ、それは、あはは・・・。でもまたチビッて言われちゃったよームカつくっ。あいつ、アスファルトの継ぎ目にでもつまづいて転べばいいのにっ。」
「あはは地味だね。でもほんとだね。」
そう笑った後、水樹は瞬介を凝視した。
「でも・・・。」
え、何?と瞬介は身構えた。
「でも瞬ちゃんチビじゃないよ。ほらっ。」
そして水樹は瞬介と並んでみせた。
「なっ、やっ・・・。」
あれ?もしかして・・・。と、瞬介はドキドキした。
そして晩御飯も一緒に食べたい所だけど、明日もまだ夏休み前の残りの学校があるので帰る事にした。電車に乗りながら、勇利についても話をした。勇利は本命の受験の日が地方大会の2日前で、なかなか練習に来れない事と、ついでに来年受験する瞬介の本命大学が毎年8月の中旬が受験の日だという事を水樹は知った。
そしてクラブに関しては、勇利もこんな状態であるし、今年全国大会に出場するのは希望薄だと二人は思った。だからこそ瞬介は胸に秘める。来年必ず、自分が全国大会に連れて行ってあげたい。
「ただいま・・・。」
そして瞬介は帰宅すると壁まで真っ先に身長を比べに行った。
「お姉ちゃん、ちょっと来てっ。ねえ、どう、どう?」
「あ!ほんとだ。この印より1cmは超えてるよ!凄いじゃん、瞬!」
戸惑う。どうしよう。水樹をとうとう追い越してしまった。瞬介は追い越す事に精一杯で、正直その後の事は真剣に考えてはいなかったのだ。
勇気がない。うん。大丈夫。ここで決められない男はどこでもかっこよくいられないんだ。俺、変わりたい。だからこの夏のハンドがオフになったらもう一度誘いに行くよ。今度は友達としてではなくて。
瞬介は顔を上げた。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
【完結】年収三百万円台のアラサー社畜と総資産三億円以上の仮想通貨「億り人」JKが湾岸タワーマンションで同棲したら
瀬々良木 清
ライト文芸
主人公・宮本剛は、都内で働くごく普通の営業系サラリーマン。いわゆる社畜。
タワーマンションの聖地・豊洲にあるオフィスへ通勤しながらも、自分の給料では絶対に買えない高級マンションたちを見上げながら、夢のない毎日を送っていた。
しかしある日、会社の近所で苦しそうにうずくまる女子高生・常磐理瀬と出会う。理瀬は女子高生ながら仮想通貨への投資で『億り人』となった天才少女だった。
剛の何百倍もの資産を持ち、しかし心はまだ未完成な女子高生である理瀬と、日に日に心が枯れてゆくと感じるアラサー社畜剛が織りなす、ちぐはぐなラブコメディ。
子供って難解だ〜2児の母の笑える小話〜
珊瑚やよい(にん)
エッセイ・ノンフィクション
10秒で読める笑えるエッセイ集です。
2匹の怪獣さんの母です。12歳の娘と6歳の息子がいます。子供はネタの宝庫だと思います。クスッと笑えるエピソードをどうぞ。
毎日毎日ネタが絶えなくて更新しながら楽しんでいます(笑)
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる