おもいでにかわるまで

名波美奈

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第三章

第百六十五話

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そして手を繋いだまま露店を見て回った。

「腹減ってきたね。何か食べる?」

「はいっ。」

そんなに大きな派手な祭りではないけれど、金魚を救い亀を釣り、詰まれた缶にボールも投げて、それなりの事を楽しんだ。そしてそんな時、おもちゃの子供向けのアクセサリーや指輪などを売っている店で足が止まった。

「どうしたの?何か欲しいの?」

「ううん。なんか子供の頃を思い出すなあって見てただけです。」

「こういうの集めてたの?」

「ううん、ううん。その反対です。特に小学生の時は男の子っぽくしててね、それがかっこいいと意地張ってたのかな、だからかわいいのはお姉ちゃんの役目って事にしてたんです。」

「なんだ。今とややこしさは変わってないじゃん。」

「はは。長谷川さん私が決して傷付かないと思ってないですか?」

「ふはは。さあねっ。」

店から離れ、自転車を停めている場所に戻ろうとして明人は急に水樹に告げた。

「やっぱジュース買ってくる。待ってて。」

明人は一度店に戻り、買い物をしてからまた水樹の元へ戻った。

まだ離れたくない。言葉にしなくてもいつも同じ気持ちでいる。だからその後花火を買い、胸の高鳴りを抱えたまま自転車を漕いで、もうしばらく一緒に過ごす時間を大切にする事にした。

「どれからしようか。」

「最初は置くタイプの花火にします?」

「うん。」

花火の出来る公園に移動し、準備をして1つ目の花火に火をつけた。花火はサーという音と共に、何色かの光の噴水を交互に放出しながら明人と水樹を照らした。言葉は出なかった。そして少しの間、無言で火花を見つめていると水樹がポツリと声を漏らした。

「幸せだな・・・。」

花火の方を向いたまま、聞き逃してしまいそうな程の小さな声で、明人は聞こえてはいたが返事をしなかった。それは自分といる事が?考えまた無言になる。花火の炎色反応が水樹を何色なにいろにも変化させ、明人はそれを観察し、そして減っていく言葉数に反比例するように、どんどん心は水樹で圧迫された。

苦しい・・・。

その後も購入した花火を順調に遊び進め、残りは後2種類になった。

「へーこんな花火あるんですね。結構勢いよく飛ぶのかな?じゃ、火、私つけますねっ。」

水樹が導火線に火をつけると待つ間緊張で静止した。

スパッスパッパパンッ・・・。

「わっ!」

二人は同時に感嘆し、置かれた筒から夜の空目掛けてパラシュートが一斉に発射した。
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