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恭也
恭也②
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ドアが開いて遥人君が出てきた。後ろにタケルが立っている。
「ちょっとお兄ちゃん、いい加減ふざけてないで説明してよ!」
興奮が増していく彼女に私は言った。
「タケルは記憶がないの、だからあなたの事がわからないの」
「タケル?誰の事言ってんの」
「とにかく、ここじゃお店の迷惑になるからうちに来て」
「なんで偉そうに言われなきゃなんないの?」
タケルが前に出てきた。
「君が僕の妹?」
その瞬間、彼女の顔色が変わった。
「どうして、そんな事言うの…」
彼女は動揺した目でタケルを見つめ、それから私と遥人君の顔を見た。何かおかしいと思ったのかやっと静かになった。
「すぐそこのマンションに住んでるの。一緒に来てくれない?」
「…わかりました」
彼女は地面に視線を落とした。
「夕夏さん俺も後で家行っていいすか?」
「ごめん、3人で話したい」
「あ、はい…」
言葉を交わす事なく家に着き、部屋に入ると彼女は周りを見渡した。
「座って。飲み物入れてくる」
「要りません、早く説明して下さい」
何故この子はこれほどまでに威嚇してくるのか。
3人でテーブルを囲んで座った。彼女はコートを着たまま、硬く握り締めた手を膝に置いている。
「タケルとは最初神社で会ったの」
経緯を話そうとするとすぐに彼女が口出しした。
「意味がわからないんですけど。どうしてお兄ちゃんの事タケルって呼んでるの?」
タケルが神社の境内で倒れていた事、一時期は病院にいた事、再会してから一緒に住む事になり記憶が戻るきっかけになればと遥人君の店で働きだした事……
説明している間、彼女は時々タケルの顔を横目で見てそれがデタラメではないか確かめようとしていた。一通り話し終えると静まり返った部屋に時計の針の音が響いた。
「そんなの、信じられない」
さっきまでの強気な態度から一変して、彼女は怯えるような声を出した。
「本当のことだよ。次はあなたと…お兄ちゃんのこと聞かせてくれる?」
彼女は固唾を呑むと力なく語りだした。
「お兄ちゃんの名前は恭也、倉前 恭也(くらまえ きょうや)です。私は麗華(れいか)」
今、全てを知る事になる。こんな日が来ることを願っていたはずなのに、胸にキリキリと亀裂が走るような感覚がする。今度は私がタケルの顔を横目で見る事になる。
「ちょっとお兄ちゃん、いい加減ふざけてないで説明してよ!」
興奮が増していく彼女に私は言った。
「タケルは記憶がないの、だからあなたの事がわからないの」
「タケル?誰の事言ってんの」
「とにかく、ここじゃお店の迷惑になるからうちに来て」
「なんで偉そうに言われなきゃなんないの?」
タケルが前に出てきた。
「君が僕の妹?」
その瞬間、彼女の顔色が変わった。
「どうして、そんな事言うの…」
彼女は動揺した目でタケルを見つめ、それから私と遥人君の顔を見た。何かおかしいと思ったのかやっと静かになった。
「すぐそこのマンションに住んでるの。一緒に来てくれない?」
「…わかりました」
彼女は地面に視線を落とした。
「夕夏さん俺も後で家行っていいすか?」
「ごめん、3人で話したい」
「あ、はい…」
言葉を交わす事なく家に着き、部屋に入ると彼女は周りを見渡した。
「座って。飲み物入れてくる」
「要りません、早く説明して下さい」
何故この子はこれほどまでに威嚇してくるのか。
3人でテーブルを囲んで座った。彼女はコートを着たまま、硬く握り締めた手を膝に置いている。
「タケルとは最初神社で会ったの」
経緯を話そうとするとすぐに彼女が口出しした。
「意味がわからないんですけど。どうしてお兄ちゃんの事タケルって呼んでるの?」
タケルが神社の境内で倒れていた事、一時期は病院にいた事、再会してから一緒に住む事になり記憶が戻るきっかけになればと遥人君の店で働きだした事……
説明している間、彼女は時々タケルの顔を横目で見てそれがデタラメではないか確かめようとしていた。一通り話し終えると静まり返った部屋に時計の針の音が響いた。
「そんなの、信じられない」
さっきまでの強気な態度から一変して、彼女は怯えるような声を出した。
「本当のことだよ。次はあなたと…お兄ちゃんのこと聞かせてくれる?」
彼女は固唾を呑むと力なく語りだした。
「お兄ちゃんの名前は恭也、倉前 恭也(くらまえ きょうや)です。私は麗華(れいか)」
今、全てを知る事になる。こんな日が来ることを願っていたはずなのに、胸にキリキリと亀裂が走るような感覚がする。今度は私がタケルの顔を横目で見る事になる。
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