トレジャーキッズ ~委ねしもの~

著:剣 恵真/絵・編集:猫宮 りぃ

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【2‐2】見えない壁

ブレイブマジック

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 夜闇のスプリングフォレスト。サキは森の中を徘徊していた。じめっとした空気、傍らのフェアリーライトが靄のせいでぼんやりと光を乱反射する。
「ねぇ、戻ろうよ。危険だよ。日をあらためるべきだし、みんなと一緒じゃないと効率が悪いじゃん!!」
「主ぃ、どうして皆さんとご一緒しなかったのですかぁ?」
 サキは使い魔たちに小言を受けている。案を聞き入れずに、独断で行動しているせいだ。
 サキの考えはこうだ。
 狂暴化した野生動物に遭遇さえしなければいいだけのこと。探索だけしっかりしていればいい。右手には金属の杖、彼の愛用品だが、普段は持って歩いていない。何かあったら対応したがために手にしている。今のところ大きな遭遇はない。
 甘く見すぎていると圭馬が口を酸っぱくして言う。
「こんな自分勝手な行動を取って、ジェフリーお兄ちゃんに怒られるよ? ボクは賛成できないね。今からでも戻るべきだと思うよ。だいたい、ちゃんと調べてないじゃないか」
「自分勝手じゃなくて、時間短縮と言ってください」
 サキは時間の短縮と称し、腕輪の材料集めを試みていた。
 杖で明かりを振りながら、足元を照らす。時間は経過していないと思っていたが、意外と奥まで来てしまった。
「うーん、どこならそういう特殊な草があるかな。バネ草ならこの森で見かけたけど」
 サキは以前、スプリングフォレストでバネ草に遭遇している。ただそれだけしか、頼りがない。ショコラはその曖昧な手掛かりに苦言を呈す。
「のぉん、主ぃ、やっぱり予習ナシですのぉん?」
 この指摘は少し痛いようだ。サキは恨めしく思いながら杖を抱えた。
「そうだよね。戻ってみんなとちゃんと相談して、正確な手段を取った方がいいか」
 どっと肩を落とす。サキは猛省した。
 圭馬は追い打ちをかけるように言う。
「えぇーっ、遅くない? 何なの、馬鹿なの!?」
 サキはため息をつきながら懐中時計に目をやった。もう夕暮れを過ぎている。
「僕が、手ぶらで帰るなんて……」
 最近は何かと実力不足を痛感して、もしかしたら空回りをしているのかもしれない。クディフに説かれたが、どうしても自分をよく見せたかった。役立たずと言われるのが怖かった。
 それはそうと、圭馬とショコラがいなかったら本当に孤独な状態だ。先ほどまで薄暗いで済んだものの、本格的に闇が迫っていた。
 フクロウの鳴く声やオオカミの遠吠え、寒気とともに恐怖が押し寄せる。
「だ、大丈夫、ここまで来たんだから、きっと帰りも何もない、何も……」
 サキは身震いをした。杖を振り、フェアリーライトで足元を照らす。ジメジメした地面で助かった。幸いにも来た時の足跡が残っている。これを追って戻ればいい。
 帰って皆に謝ろう。事情を話そう。ここ最近、活躍の乏しい挽回がしたかった。一刻も早くミティアを助けたかった。果たして、この気持ちがわかってくれるだろうか。サキはまたも肩を落とす。
「ヒッ!!」
 カバンの中の圭馬が変な声を上げるので振り返った。だが、振り返ったときはすでに遅く、杖を握っている右手の自由が奪われた。
 冷たい蔦だ、バネ草でも踏んだだろうかと思ったが、もっと大きなものだ。フェアリーライトが部分的に姿を照らす。
「なっ、さっきはこんなのいなかったのに!!」
 大きな植物、前にもこんなものに遭遇した。確かもっと狂暴だったはず。障壁で防ぎながら作戦会議をして、キッドとジェフリー、ローズのサポートを得ながら凍らせて蹴散らせた。これは狂暴化した植物だ。
 以前より小さいが、今回はサキ一人だ。しかも、右手が蔦で締めつけられている。
 ギリギリと手が痺れ、走る痛覚に顔が歪んだ。
「こんなっ……」
 左手をカバンに手を伸ばしたが、植物から追撃が迫っていた。
 蔦はまだある。振り上げる風の音、視界に入る大きな蔦。
 食らったら確実に蚯蚓腫れでは済まされない。痛い一撃が予想される。明らかに間に合わない。
 覚悟はしていた。いつかこうなるのではないかと。だが、誰にも知られないまま死ぬと思うと悔しかった。
 サキは目を瞑って顔を伏せた。この緊張の場に、微かな風と鈴の音を耳にした。
 風が頬を撫でた。その次に右手の締めつけが緩んだ。
 カラスのような真っ黒なマントが目の前で翻る。次いで見えたのは銀の長髪、振り下ろされた長い刀。
「あっ……」
 サキは名前が言えずに震えた声だけが先に出た。
 言わずとも、いつも鈴の音と共に登場するクディフだ。その鈴のついた剣は、未だに振っているところを見たことがない。
 カラスが地に降りたつような軽快さ。銀色の髪が乱れ、クディフはサキに振り替える。
「自殺行為だな。あれほどの仲間に恵まれて、死に急ぐのか」
「うっ……た、助かりました……」
 サキは絡まった蔦を解きながら、申し訳なさそうに首を垂れる。
「終わりではない。戦場では相手が動かなくなるまで気を緩めるな」
「は、はいっ!!」
 呆気に取られていたが、気を引き締めた。突然始まってしまった野戦だ。
 カバンの中でもちょっとした争いが起きていた。圭馬が敵意をむき出しにしている。
「うわぁ……マジだ。いいのかな。この人、敵だったんだよ。信用できないじゃん」
「圭馬チャン、わしらは引っ込んでた方がいいかもなのよぅ」
 使い魔たちはカバンの奥に引っ込んだ。
 今は現状の打破をしたい。対人よりは気を遣わなくていいのだが、こういった狂暴化したものや、野生動物は動きが早く、サキには不利が多い。自身でもそれは痛感していた。素早い敵に対する対処はどうしても難しい。
 蔦が伸びる。先ほど切り崩していたはずなのに。新しい蔦を見てサキは言う。
「トカゲみたい……」
 クディフはその例えに反応する。
「再生するのなら追撃される。逃げるのは難しいぞ。奴は植物だ。焼けるか?」
「この湿気では満足な炎が出せません」
「あの立派な幹は刃が入らないだろう……」
「あ、あの蔦がなければ……何とかします!!」
 同意の言葉はなかったが、暗闇を刃が走った。バサバサと切り落とす音がした。翻る黒いマント、なびく銀の髪が見える。
 サキも杖を振り上げた。こっそりと勉強していた魔法を放つ。
「スプラッシュキャノン!!」
 まず放ったのは、水の上級魔法だ。水の魔法は単体ではさほど威力を発揮しない特徴がある。あくまで、これからの魔法が効きやすくなるための補助としての役割だ。
 杖から放たれたのは、圧縮された水の大砲。弾けてバネ草を水浸しにした。これだけでは潤って植物を元気にするだけだが、もちろんそれが狙いではない。
 サキは念のため数歩下がって詠唱を開始する。すぐそばを、切り崩した蔦が跳ねた。
「離れてください!!」
 サキが大きく息を吸い、杖を両手に持って高く掲げた。クディフは大きく退いた。
「フロストマジック・アイシクルリンク!!」
 凍てつく空気が辺りの水気を一瞬にして氷漬けにした。地面まで、スケートリンクのように綺麗な世界が広がった。森の静けさが戻った。
 靄も晴れ、フェアリーライトの光が広がる。
 クディフは着地と同時に片足を滑らせた。そのまま踵をトントンと慣らす。
「まるで故郷のようだな……」
 見事な氷のステージにため息をついている。クディフはサキを見て目を細めた。無事を確認すると同時に、問いたいことがある。
「さすが、大魔導士リズの息子だな。だが、この愚行の意味を一応聞いておこう」
「愚行って……」
 クディフは言い訳を聞こうと腕を組む。この言葉を待つ行動と表情は、どこかローズに似ている。言うと嫌な顔をされそうだが。
 サキは正直に答えた。
「探し物のために足を運びました。すぐに見つかるものだと思って……」
「腕輪の材料……だろう?」
「えっ、えぇっ、クディフさん、もしかして僕のストーカーですか?」
 動揺一色の表情で身震いを起こすサキだが、クディフは涼しい顔をしている。
「コガネスプリングはこんな湿地には生えん。もっと半ばの乾いた川に近い場所だ」
 まずはストーカーであることを否定してほしかった。だが、クディフは有力な情報を助言した。まさかこの人から得られるなんて思いもしなかった、
「は、早く知りたかったです。そういう情報……」
「肝心なものを調べなかったお前が悪い」
「な、何も言い返せない……」
 ここでクディフから正論をぶつけられると思いもせず、サキはがっくりと肩を落とした。だが、クディフの口調が幾分か砕けている。親しい人にはこの話し方になるのかと思うと、ローズを想像させる。
「戦力とは別に、いいところを見せたいと挽回を試みたのだろう?」
「……そうです」
「焦ることは何もないと思うがな」
「で、でも、どうしても怖くて。自分は足を引っ張ってばかりだから、価値がない人間ではないかと思うと、その……」
 クディフに見透かされてしまった。認めてしまったことにより、サキは言い逃れもできなくなってしまった。
 クディフは視線を別の方へ向けて言う。
「『あの男』に聞いてみてはどうだ?」
 サキはクディフの視線を追った。暗闇にぼんやりとした光が揺れている。これはランタンの明かりだ。
「サキッ!!」
「いたいたぁ!!」
 聞き慣れた声がした。ジェフリーとコーディだ。
「ジェフリーさん、コーディちゃん……」
 二人の姿を見て、サキは思わず涙目になってしまった。
 ジェフリーもサキの姿を見て安心した。
「無事でよかった……」
 サキが無事だったことに安心をしていた。そして、クディフにも注目した。
 コーディも不思議に思っている。
「あれ、もしかしておじさんの世話になった、とか?」
 コーディはじっとクディフを見る。クディフは今にも立ち去ろうとしていた。
 ジェフリーはその様子を見て引き止める。
「ちょっと待ってくれ!!」
 強く引き止めないとクディフは去ってしまう。ジェフリーはクディフの勝手を知っていた。
「今回は世話になった。その、すまなかった」
 散らかった氷片と状況を見て、サキが魔法を放てるようにアシストしてくれたと把握した。
 ジェフリーはクディフに頭を下げた。クディフは涼しい顔のまま鼻で笑う。
「面白いものが見れたから、すべてが悪いとは限らない。だが、この者が一人で野戦はリスクが高い。その芽が開花するまでは、単独で無茶をせぬように見張ってやれ」
「あ、あぁ、助かった。恩に着る」
 クディフはいつものように鈴の音を微かに残しながら、夜闇に消えて行った。
 一緒に行動こそしないが、かなりの頻度でこちらの動きを見守っているのかもしれない。要所で手を貸すとは、ピンチの時に助けに入ってくれるという解釈でいいのだろうか。まだまだ腹の内がわからない以上、油断は許されない。
 サキは、申し訳ないことをしたと首を垂れる。ジェフリーは何も言わず、サキの手を引いた。
「どうして、怒らないのですか?」
 横でコーディもランタンの明かりを調整しながら歩いている。その顔はほんの少し笑っているようだ。サキには理由がわからなかった。
「僕は、身勝手な行動して、挙句の果てに手ぶらで……お役に立てなくてごめんなさい」
 サキは歩きながら泣き言を口にする。ジェフリーはなおも答えない。やはり怒っているのかと思ったが、その表情はコーディ同様に少し笑っているようだ。
 トランクの巾着から恵子が顔を出し、帰る道を示している。
「こっちですぅ」
 恵子は具体的に臭いを辿っているようだった。この行動にサキの使い魔たちも納得していた。
「なるほど、獣除け、確かにくっさいよね」
「鼻が曲がりそうなのぉ……」
 帰り道は臭いで辿っている。確か獣除けには、香辛料などのきついものが混ざっていたはずだ。足跡を追うよりも効率がいい。同じウサギの圭馬はまだしも、猫で嗅覚に敏感なショコラはこの刺激臭が苦手のようだ。
 サキはクディフに明かしたように怖かった。自分には価値がないのではないだろうか。仲間に役立たずだと思われていないだろうか。
 思い切ってジェフリーに声をかけた。
「僕、あの……」
「ばーか……黙ってろ」
「えぇっ!?」
 ジェフリーはサキの発言を遮った。この行動に、コーディが噴き出し笑いをしている。
 サキは困惑した。
「な、何ですか、どうしたんですか!?」
 あまりに他の反応がなくて、サキはさらに怖くなった。
 圭馬が痺れを切らせ、カバンから身を乗り出した。
「あのさぁ、キミって何をしてほしいの? 怒ってくれるのを期待したの?」
 この指摘は的を射ている。サキは恨めしく思いながら再びジェフリーに言う。
「こんなに迷惑をかけたのにどうして……」
「自覚をしているなら、次はやらないだろ?  それに、無事だったんだから、いいじゃないか」
   甘やかされているような気もした。コーディがすかさず加える。
「怒るとしたら、キッドお姉ちゃんじゃない?」
   それは何よりも恐怖を感じた。唯一の肉親であるキッドなら、サキに対し、容赦なく強烈な雷を落とすかもしれない。
   
   来た道を戻り、沙蘭の門を通過した。門の前に篝火があり、その傍に獣除けが吊る下がっていた。帰り道で大きな遭遇はなかったが、このおかげのようだ。
「サキぃぃぃ!  おかえりなさい!」
   門を入ってすぐ、待っていたと言わんばかりにミティアがサキに飛び付いた。当然だが、ジェフリーはムッとした顔をしながら腕を組んだ。
   ミティアもサキを怒らない。心配をしていたみたいだ。
 少し離れて、皆も待っていた。誰一人、サキを怒る者はいない。
「やれやれ、心配したんですよ?」
「先生……」
「わぁっと、右手何ですか、蚯蚓腫れを起こして……」
   竜次も怒らない。それどころか、怪我を心配していた。
「んン、ちょっと切れてないデス?  消毒しないとデス」
   ローズも手当てに参加した。アルコールのボトルを出して脱脂綿をちぎっている。
「あぁーあ、新しくしたばっかりなのに、どっか引っかけたわね?  まったく、あとで縫ってあげるからよこしなさい」
   キッドはサキのコートのうしろを摘み、次いで帽子が潰れそうなくらい頭を撫でた。
「わっぶ……ね、姉さん……」
   誰も怒らない。みんなが優しくて、サキは涙が出てしまった。
 ミティアがサキの顔を覗き込み、ローズはジェフリーをチラリと見た。
「えっ、どうしたの?  どこか痛い?  怪我したの?」
「ジェフ君、何か乱暴したのデス?」
   なぜかジェフリーへ注目が集まる。中でもキッドは、ジェフリーに対して特に露骨な牙を剝く。
「嘘でしょ、あんたってそこまで最低な奴だったの?」
   昼間に見たキッドではなく、汚らわしいものを見るいつもの視線が妙に刺さる。ジェフリーは昼間の出来事は夢だったのかもしれないと、妙な錯覚を起こした。
 キッドのまねだろうか、コーディも冷たい視線を向けた。
「うわぁ、女の子だけじゃなくて男の子も泣かすんだ?  へー……」
「コーディ、お前、わかっていて便乗してるよな?」
「さぁね」
   あっという間にジェフリーが悪者にされた。もちろん皆、本心ではない。
   サキは目元を押さえ、鼻をすすり、肩を揺らした。ぽろぽろと涙が零し、石畳を濡らす。
「どうして、誰も怒らないんですか。僕、ここのところ、ずっと足を引っ張って役立たずで、ただでさえみんなみたいに強くないのに。自分勝手な行動して、みんなに心配をかけて……迷惑ですよね」
   サキは泣いて自分を卑下している。それでも誰も怒らない。
 竜次はにっこりとしながら、サキの鼻をつんつんと突いた。
「誰が役立たずなんて言いましたか? 誰もサキ君を迷惑だなんて思っていませんよ。みんなサキ君を心配していました」
   横からジェフリーが口を挟んだ。
「そんなに兄貴に怒ってもらいたいなら、寝てる間に兄貴の髪の毛を三つ編みにするといいぞ」
   想像をしたのか、女性陣四人は揃って噴き出し笑いをしている。
 ジェフリーによって忌まわしい記憶が掘り出された。竜次は苦笑しながら拳を握り、震わせた。
「ねぇ、ジェフ?  前、やりましたよね、それ。私がまだ、仕事が慣れない頃、三徹して先輩に怒られて超不機嫌に不貞寝してたときにッ!」
「使えもしない注射器を握って追い駆けて来たよな」
「今は使えます!  次やったら血を抜きますよ!?」
   和やかな空気になってしまい、いつの間にかサキの涙など出なくなってしまった。
 サキの顔に笑顔が戻った。それを確認した
「欠けていい仲間はいない。俺は誰も見捨てないし、仲間の誰かを足手まといだと思ったことはない」
「そういうことです。さ、船の時間があります。お弁当買ってありますよ。みんなで食べましょう?」
   のちに聞いたところ、三つ編み事件に関しては本当らしい。無愛想だった頃のジェフリーが、そんな大胆なことをするなんて想像しただけで面白い。
   沙蘭とフィラノスを行き来する定期船は最近復活したようだ。前はフィラノスの陰謀で、勝手に沙蘭との船を打ち切られたが今は解除され、行商の者や旅行する者も見受けられた。
   旅客船でそれなりの規模、ちょっとしたフェリーだ。男女それぞれ部屋に荷物を置き、大きなロビーで助六寿司のお弁当を広げる。
   朝に到着する便なので、早々に寝てしまう客も多いみたいだ。やたらと人が少なく、静かすぎて波の跳ねる音が聞こえる。
   暗くて助かったが、慣れるまで竜次はそわそわと気にしていた。彼は大量の水が嫌いで川でも落ち着かないくらいである。
   竜次はこのお弁当を、屋台をしていた馴染みの人にお願いしたと言っていた。サキはその人のお寿司を残さず食べていた。ちょっとした気遣いがあるみたいだ。さっきまでウジウジしていたサキは、もくもくと巻き寿司を食べている。
 桟橋であのあと何があったのか、その話になった。
 一同はあえて余計な助言はせず、触らないように見守る形を取る。ミティアの秘密について知らない頃は、家族が見つかればと思っていた。だが、実際は遠回りではあったが自分たちで情報収集を積み重ねた。今さらという気持ちもあるが、ミティアはどうだったのだろうと話題になる。
 ミティアの話によると、母親との再会を喜んでいる感じではないようだった。彼女は座ったまま、膝の上に拳を作って真剣な表情だ。
「あんな人、お母さんじゃない……」
   きゅっと唇を噛み締めている。遅い反抗期を見ているような感じだ。
 サキはカリカリと沢庵巻きを食べながら、顔を上げた。
「あぁ、あのシスターさんですよね?  沙蘭へいらしていたのですか?」
   この発言は地雷を踏んだ。コーディも少し嫌そうな顔をしている。
「ほぅ、サキ君も知っていたと。やはり私たちに内緒でしたか……」
   シスターのレスフィーナを知るのは、ジェフリーとサキとコーディの三人だ。
   竜次は腕を組んで険しい顔をしている。思い詰めていたのは知っているが、このことまで隠すとは感心しない。ジェフリーに説明を求めた。
「この人数です。ある程度、情報の共有にばらつきが出るのは仕方ないでしょう。ですが、これは大切だったのでは?」
「悪いが、ノックスで街の探索をしたグループ分け、あれは意図的なものがあった。それは認める。別に、誰かを除け者にしたかったわけじゃない。ノックスの調査をフィリップスから受けたんだ。それを優先するのは当たり前だろ。水面下でミティアを助ける方法を探っていた。ヒントがノックスにあると知っていたからだ。だが、実際にわかったのは、ミティアがとんでもない扱いを受けていたことだけだった」
   ジェフリーは理由を吐いた。遅い懺悔。問い詰められるかと思ったが、竜次は呆れるように息を吐き、キッドに視線を移した。
「意図的、ねぇ……」
 突然見つめられ、キッドは困惑した。
「ど、どうしました、先生?」
「いえ、まぁ……彼女と一緒でなかったら、私は本当に死んでいたかもしれませんからね。悪いと言い切るのはよしましょう。ですが、理由は知りたいです。なぜ、すぐ話してくれなかったんですか?」
   竜次は触り程度しか話してもらっていない。ノックスの探索のグループ分けを提案したのは竜次本人だが、その意図については特に言及しなかった。
   キッドが一緒でなかったら、自分はきっと今ここにはいない。当初は気が動転して、彼女に助けられたありがたみと安心が強かった。もっと彼女の存在に重みを感じた。これを怒りに任せて否定することはできない。
   竜次にはジェフリーを叱ることはできなかった。
 ジェフリーは皆の視線を気にしながら正直に答えた。
「言っちゃ悪いが、兄貴は融通が利かないから、混乱させると思った。物事の優先順位が入れ替わる可能性がある。そうなったら、国や世界を敵に回す行為になるだろうから話す人を選んだ……」
 謝る流れでローズも一応断りを入れた。
「そうなるだろうからワタシも黙ってはいましたケド。ワタシも謝っておきますネ? ワタシ、ジェフ君の考えを何となくわかっていたのデス」
 ローズはジェフリーの思惑を理解していた一人だ。陰でこそこそと行動を起こしていたのを知っていて何も言わなかった。ずいぶんと大人だ。
   ジェフリーは立ち上がって、キッドに向き直った。
「俺は、ミティアの兄貴が敵だと知っていた。だけど、キッドの好きな人だったなんて知らなかったんだ。話さなかったことで苦しめて、本当にすまない……」
   ジェフリーは言ってから、深めに頭を下げた。虚しい。どうしてこうも複雑に絡み、誰かが必ず苦しまねばならないのかと。
「やめてよ、そういうの……」
   キッドらしい答えだが、少し怒っているように見える。
「あたしが大切なのは今、これから。だから、悪いことは極力忘れようと思う。昔のあたしだったら、今、間違いなくあんたにどついてたと思うけど」
 突然、前の自分を切り出した。旅路を経て、キッドは変わった。以前は些細なことで衝突していた。寛大になったと言うべきか、あるいは、大人の対応なのかもしれない。
「もうさ、仲間内で秘密を作るの、やめましょ。重要なことはちゃんと話し合う。いいわね?」
 キッドは怒るどころか、提案をした。ジェフリーだけではなく、皆に向けている。
 仲間の中で情報にばらつきが出る主な原因は、街中ではグループ分けをして、効率がいい行動をしているせいだ。ある程度は仕方がないが、大きな秘密を作るのはよくはないないだろう。
 これに関して、ジェフリーは深々と謝罪した。
「信じていなかったわけじゃないが、すまなかった。いつか話そうとは思っていたんだけど、先延ばしにするほど打ち明けるのが難しくなると勉強になった。以後は気を付ける……」
   面倒なことを先送りにすると、もっと面倒なことになる。この数日でそれを思い知らされた。
 謝り、懺悔、その空気になって、サキも黙ってはいられなかった。
「僕も、すみませんでした……」
「お前はいいんだぞ?」
「いえ、先ほども、僕が迷惑をかけたので。相談もなく、独断で行動しましたし。もちろん、ノックスの件を黙っていたのもありますが」
   サキも謝った。先ほどの勝手な探索をまだ責めているようだ。
 もっと落ち込んでいる者がいた。
「わたしこそ、みんなに迷惑をかけてる……」
   ミティアも自分を責める。彼女は自分のせいで仲間に亀裂が生じ、誰かが理不尽を被るのは苦痛の他に何でもない。皆はミティアのために奮起するが、どうしても危険と隣り合わせになる。
 こんな悲しい表情は、一番見たくない。
「だぁーもぉ、湿っぽいなぁ。一致団結する気あんの? みんなしてウジウジと……」
   ちゃっかりと圭馬が割り込んだ。その手にはきゅうり巻きを持っている。
「お姉ちゃんもお姉ちゃんだよ。みんなお姉ちゃんが大好きだから、好きでやってるんだ。どしてそれを受け取れないの?  それともあの自分勝手なママと一緒に死ぬの待ってる?  それこそ馬鹿らしくない?」
   挑発、煽り、そんな乱暴さが垣間見えた。それでもどこか愛があって、筋が通っている。
   ミティアは激しく首を振った。
「そんなの、絶対イヤ……」
   これはミティアの中で絶対に譲れないもの。皆とともに歩みたい。それがわかればじゅうぶんだ。
「わたし、変わりたい。強くなりたい。どんなにつらいことがあっても、前を向いていられるくらい……」
   しんみりと少し重い空気になってしまった。そんな中、竜次が手を叩いた。
「よし。それじゃ、もう隠しごとはナシ。どうせなら、夜通しで吐くだけ吐きましょ?  どうせ船旅、揺れますから皆さんも眠れないのでは?」
   この海域は潮の流れがあるらしく、かなり揺れる。旅行客はよく眠れるものだ。もしくはロビーなどに出ず、部屋でおとなしくしているものなのかもしれない。
   外は夜、月でも出ていれば波が見えるかもしれないが、曇っていて景色はつまらない。
   甲板にでも出たら波の音と飛沫がわかるかもしれないが。
「確かに揺れないお布団がいいなー……」
「さっきベッドにダイブしましたけど、背中がムズムズしますデス……」
「まぁ、ちょっと昼夜逆転するけど、船では仮眠くらいに考えた方がいいかもね」
   コーディとローズが船で寝るのは不満らしく、眠そうにしながらも、安眠とまでは行かない。船で寝るのには慣れがいる。誰も船酔いをしないのが奇跡だ。
 
   集団夜更かしの流れになり、キッドが立ち上がった。
「あたし軽いお菓子とか飲み物を見に、売店に行って来ます」
「あっ、わたしも」
   おニューのポーチにお財布、さっそく生かそうとしているキッド。食べ物の話になってミティアも付き添った。
 二人が離席したのを確認し、コーディが悪巧みをするような目をしながらジェフリーに話題を振る。
「ねぇ、ジェフリーお兄ちゃんって、ミティアお姉ちゃんのどこが好きなの?」
「夜のテンションで変な話するのはやめとけ」
「いいじゃん。夜は長いんでしょ?」
   コーディの質問に対し、軽くあしらうつもりが何故か注目の的になっている。
「じー……」
「何だ、この公開処刑……」
   しつこいと言わんばかりに露骨に嫌な顔をする。だが、皆も気になっているようだ。
 嫌らしくねちっこい声で竜次が便乗した。
「ジェフ、言わないと、ミティアさんの目の前で吐いてもらいますよ?」
 ジェフリーは誰とも目を合わせないようにする。まだだ、まだ、屈するわけにはいかない。
   そう思っていたジェフリーを、サキがじーっと覗き込んだ。
「あのー、僕、まだミティアさんが好きなんですが?」
「待て。お前、まさか友だちを裏切るのか?」
「友だちは強敵、ライバルかもしれませんよ?」
 サキの横で、ローズもニヤニヤとしている。何も言わないから、気味が悪くて仕方がない。
 こういう団結力は他の場所でも生かしてもらいたい。ジェフリーは、何度そう思っただろうか。
「好きな理由なんか要るのかよ……」
 観念しないと言われ続けそうだったので、渋々吐いた。ジェフリーが覚えている限りだが、こう問い詰められたのはキッドだけだ。
「その……面倒だと思ってた。だけど、いつの間にかいてくれないと落ち着かなくて、生活の一部みたいな……」
 ジェフリーは顔から火が出そうになっている。皆は口元を緩ませながら聞いていた。ついつい邪念が入り込む。
「ケッコンするの? おめでとう」
「圭馬チャンったら気が早いのぉ」
 ショコラの指摘のように、圭馬は客観的ながら突然こういった踏み込みをして来る。あっさりと言うが、現実的ではないと気付いた。
 ジェフリーはがっくりと肩を落とす。
 竜次はなぜ肩を落としているのか、察した。
「その気があっても、ジェフって無職でしたしね……」
「現実的なことを言われても、俺がこれからフラれるケースも考え……ゔっ……」
 竜次の言葉に対し、ジェフリーが自身で言って二重のダメージを受けていた。無職というのと、フラれるかもしれない意味で。
 ここまで笑っているだけのローズに、竜次はこんな提案をする。これも現実的な話ではある。
「あまりいい関係ではないでしょうけれど、お父様とやり直してはどうでしょう?」
「んン!!」
 突然の振りに、ローズは驚いた。いないも同然の父親がよそで作った女に対し、ここまで言うのもどうなのだろうか。複雑な人間関係と巡り合わせに、あらためて驚く。
 ともに過ごして来た仲間だ。もう他人でないのなら、それもいい気がする。
 サキが指摘を入れた。
「でもそれって、ローズさんがジェフリーさんたちの継母になるんじゃ……」
 竜次から見たローズは、ハイスペックな医者として尊敬する人だ。
「継母……ママハハ……」
 義母、母親としては見ることを考えていなかった。むしろ、想像つかない。
 深く考えている竜次に対して、ローズは両手を広げ、呆れるように深く息をついた。
「ぶっちゃけ、ないデス。家庭に縛られるような人ではないから、もう少し家族を大切に思ってくれるといいんですケド」
 子を放置し、それこそマリーや壱子、家政婦、教育係もいたかもしれないが、世話になったのだから、この境遇はよくないだろう。ケーシスが模範的ないい親とは言い難い。
 話を聞きながらコーディは手元が寂しいのに気が付いた。
「あっ、お茶が切れた。沙蘭のお茶はおいしいからすぐなくなっちゃうね」
 コーディは氷の入った大きなクリアカップに、暖かいお茶を入れていた。苦過ぎず、ほどよい口当たりがゴクゴクと飲みやすい。気がついたら、あっという間になくなってしまった。
 沙蘭のお茶が好評だ。そろそろおつまみがほしい。

 船の中には軽食や飲み物といったものが置いてある売店があった。酔い止めやアルコールなども売っているが、今はお菓子がほしい。
 女性二人、キッドとミティアはウキウキしながら買い物を楽しんでいた。
 売店で女性に話しかけられた。金で長髪、軽装でどこかで会った気がする。だが、誰かはわからない。
「おや、そうでした。一緒の船でしたね、こんばんは」
 女性は軽く会釈した。
 突然話しかけられ、ミティアは首を傾げる。
「ごめんなさい、人違いじゃないですよね?」
 女性は笑顔で頭を下げた。
「あっ、申し訳ありません。わたくし、沙蘭のマナカです」
「マナカさん!! いつもお団子の!」
「そうですよ。移動なのでオフです。フィラノスで仕事があるので……」
 おそらくフィラノスに派遣されているのだろう。その途中でオフということだ。マナカの手には暖まる用なのか、甘酒が握られている。
「兄さんがお世話になっております」
 マナカはもう一度ぺこりと頭を下げた。本当に律義な人だ。
 キッドが豪快に笑って手を振った。
「あぁ、いえいえ、コッチがお世話になったので」
 マナカに話していないが、旅の始まりは、この二人が街を出て行ったことが連れ添ったきっかけである。思えば長く来たものだ。
「ジェフ兄さんも竜兄さんも、大切なものを失って、生ける屍みたいな人になったと聞いていました。それが、こんなに変わるなんて、あなた方のお陰かもしれません」
 キッドは苦笑いをする。
「それはいくら何でも大袈裟だと思いますよ。あたしたちのお陰だなんて」
 さすがに言い過ぎだとキッドは思っている。一方、ミティアには心当たりがあるようだ。今は自然に接しているが、兄弟は距離を取った接し方をしていた。あまり深く関わらないようにしようとしていたのかもしれない。今となってはかけがえのない仲間だ。
「おっと、少しでも休んでおかないと。長話を失礼いたしました。これからも兄さんたちをよろしくお願いします。何かお困りの際は沙蘭へお越し下さい。もちろん、お手合わせも大歓迎ですからね!!」
 マナカはまたも頭を下げ、今度は笑顔で去って行った。手早く会計をし、パタパタと小走りになっている。フィリップスから帰ってすぐに次の仕事とは、大変な役職だ。
 マナカの言葉にキッドは身震いを起こす。
「お手合わせはちょっと強そうね、マナカさん」
 ミティアも悩まし気に首を傾げた。
「えぇっと、先生、押されてたよね……」
 スプリングフォレストで、竜次が一対一の勝負を挑まれていたのを思い出した。竜次が剣術に対し、マナカは剣術と格闘術両方を上手く組み合わせた素早い行動が光っていた。
 マナカは沙蘭で一番強いかもしれない。光介や正姫は予想がつかないが、お手合わせと言ったら便乗して来そうで怖い。

 二人は小さいあられ煎餅の詰め合わせと、かりんとうを買って売店を出た。
 ロビーに戻ると不在の間に何か話したのか、和やかな空気だ。
 一同はお茶とお菓子を広げ、長い夜更かしを開始した。
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