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【2‐4】天秤(2)
ケーシスの過去
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「ねぇねぇ、ケーシス君、何番だったの?」
「三十五番」
「あたしはまた二番だった!!」
「頭おかしいんじゃねぇか!?」
「アイラがいるから絶対一番にはなれないのよね。悔しいわぁ」
「嫌味か!? 嫌味だよなぁ!?」
「黙っていれば首席モノのくせに」
「うっせぇなぁ、一か月後の最終卒業試験と論文で挽回すりゃあ、懐中時計滑り込めるかもしれねぇだろ」
「でも、シルビナさんと同じ色は難しいんじゃない?」
「この世代に在学した自身を呪うしかねぇッ!!」
「手加減してあげようか?」
「そんなモンでもらった懐中時計に何も価値がねぇだろうが」
「卒業したら告白するんでしょ?」
「と、いうか、もう結婚する」
「ウソぉぉぉぉぉぉぉ!?」
「もうガキが腹の中にいるし」
「もう手ぇ付けちゃったの!? 信じられない」
「女の子って聞いたからニヤニヤが止まらねぇ。ユッカもさっさと告っちまえ」
「や、やだ、リズ君は違うもんっ!!」
「なーにがリズ君だ。おしとやかぶりやがって、きっめぇ……」
「ば、馬鹿にしてると、天罰が下るよ!?」
天罰が下るよ。
小さな手を握った。
少し力を入れれば潰れてしまいそうな女の子だった。
泣き声はない。ちゃんと産めなくてごめんなさいと、シルビナは涙していた。
シルビナが助かっただけでも救いだった。また頑張ろう、支えると誓った。
体調が戻っていないシルビナに黙って闇の声に耳を傾けた。
「可愛いお子さんですね、名前は何ですか?」
赤毛の若い男性だ。生物学者をしていると言っていた。
葬儀屋の反対を押し切って故郷を見せたいと、沙蘭へ向かった。
船の中で廃人同然の自分になぜ、声をかけたのかはわからない。
「エリーシャ。美人だろ? こいつ……可哀そうだよな、理不尽だよな」
「わたしは生物学者です。知っていますか? この世界には人知れず新薬の開発や遺伝子の操作、病気にかからない人間にするための研究が、日々おこなわれている場所があるのを……」
言っている意味が難しくて理解ができなかった。
「もしかしたらこの子ども、生き返らせることができるかもしれません」
廃人同然だったケーシスが目の色を変える。
「本当なのか?」
「一緒に来ていただけますか? 手伝っていただきたい。生き返らせたいでしょう?」
「俺は馬鹿だぞ!? 何だお前……」
「ブロンズの懐中時計をお持ちならその頭だけで十分です。結果はあとからついて来ますよ」
胡散臭い。警戒しながらも、甘い言葉が追加された。
「奥様、またお子さんを産めるかもしれませんよ?」
完全に心は傾いた。シルビナに黙っていれば大丈夫だ。だって、あいつはたくさん子どもがほしいと言っていた。その望みを叶えてやりたい。
地主をしていた先代の遺産はごまんとある。なら、金の心配はしなくてもいい。
「あんた、名前は?」
「わたしですか? わたしは……」
「ルッシェナ・エミルト・セミリシアです」
「三十五番」
「あたしはまた二番だった!!」
「頭おかしいんじゃねぇか!?」
「アイラがいるから絶対一番にはなれないのよね。悔しいわぁ」
「嫌味か!? 嫌味だよなぁ!?」
「黙っていれば首席モノのくせに」
「うっせぇなぁ、一か月後の最終卒業試験と論文で挽回すりゃあ、懐中時計滑り込めるかもしれねぇだろ」
「でも、シルビナさんと同じ色は難しいんじゃない?」
「この世代に在学した自身を呪うしかねぇッ!!」
「手加減してあげようか?」
「そんなモンでもらった懐中時計に何も価値がねぇだろうが」
「卒業したら告白するんでしょ?」
「と、いうか、もう結婚する」
「ウソぉぉぉぉぉぉぉ!?」
「もうガキが腹の中にいるし」
「もう手ぇ付けちゃったの!? 信じられない」
「女の子って聞いたからニヤニヤが止まらねぇ。ユッカもさっさと告っちまえ」
「や、やだ、リズ君は違うもんっ!!」
「なーにがリズ君だ。おしとやかぶりやがって、きっめぇ……」
「ば、馬鹿にしてると、天罰が下るよ!?」
天罰が下るよ。
小さな手を握った。
少し力を入れれば潰れてしまいそうな女の子だった。
泣き声はない。ちゃんと産めなくてごめんなさいと、シルビナは涙していた。
シルビナが助かっただけでも救いだった。また頑張ろう、支えると誓った。
体調が戻っていないシルビナに黙って闇の声に耳を傾けた。
「可愛いお子さんですね、名前は何ですか?」
赤毛の若い男性だ。生物学者をしていると言っていた。
葬儀屋の反対を押し切って故郷を見せたいと、沙蘭へ向かった。
船の中で廃人同然の自分になぜ、声をかけたのかはわからない。
「エリーシャ。美人だろ? こいつ……可哀そうだよな、理不尽だよな」
「わたしは生物学者です。知っていますか? この世界には人知れず新薬の開発や遺伝子の操作、病気にかからない人間にするための研究が、日々おこなわれている場所があるのを……」
言っている意味が難しくて理解ができなかった。
「もしかしたらこの子ども、生き返らせることができるかもしれません」
廃人同然だったケーシスが目の色を変える。
「本当なのか?」
「一緒に来ていただけますか? 手伝っていただきたい。生き返らせたいでしょう?」
「俺は馬鹿だぞ!? 何だお前……」
「ブロンズの懐中時計をお持ちならその頭だけで十分です。結果はあとからついて来ますよ」
胡散臭い。警戒しながらも、甘い言葉が追加された。
「奥様、またお子さんを産めるかもしれませんよ?」
完全に心は傾いた。シルビナに黙っていれば大丈夫だ。だって、あいつはたくさん子どもがほしいと言っていた。その望みを叶えてやりたい。
地主をしていた先代の遺産はごまんとある。なら、金の心配はしなくてもいい。
「あんた、名前は?」
「わたしですか? わたしは……」
「ルッシェナ・エミルト・セミリシアです」
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