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番外編 引っ越しから第2の・・・(前)
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婚約式も終わり正式に婚約者になった後日、伊月さんから引っ越しする旨を伝えられる。
何でも親戚がセキュリティが高い部屋を探しているらしく、だったらここに住めばいいという話しになったらしい。
なので結婚してから移り住む予定だった最上階のペントハウスに俺達が移り、ここにその人が引っ越して来るようだ。
反対する理由も無いので了承し、大学のテスト期間が終わる2週間後に移り、室内クリーニングした後引き渡す事になった。
◇◇◇◇◇
テストも終わり、引っ越しもスムーズにいきそのタイミングで俺の発情期がきたので1週間ほどホテルに籠もり、マンションに戻ると親戚の人は引っ越しを終えていて挨拶に来た。
来たけどさ、来たんだけどさ。
帰るのを見送り、リビングに戻って微妙な顔をしてソファーに座る俺にどうしたの?と伊月さんが聞いてくる。
「ねえ、彼女の事調べたんだよね?」
「そうだね、本家に近いほど徹底的に調べるね」
「……だよね」
伊月さんより少し年上の親戚、花ノ宮瑶さんは真面目そうな容貌の人で、ちょっと頭は固いが優秀らしい。
問題は一緒に来た彼女。
見た目は素朴な可愛らしさがある女性で、ネックガードをしているからΩなんだろう、大学進学時に上京し地元に戻らず就職したと言っていた。
瑶さんは慎ましい女性だって言ってたけど、慎ましい人はあんなに無遠慮に俺達を見定めるように見ないし、根掘り葉掘り聞かないと思うんだよなぁ。
「瑶さんには悪いけど凄く居心地が悪かった」
「調べた時には出自や周囲の評判は悪く無かったんだけどねぇ」
まあどうせ向こうは社会人、マンションの下ですれ違うだけだろうと気にしない事にしたのだが、すれ違うどころじゃなかった!
「三波さん!」
「……谷さん」
どうもタイミングが合ってしまうのか、エントランスホールで瑶さんの恋人である谷恵理子さんに声をかけられ今日も捕まってしまう。
「あれ、今日は伊月さんは一緒じゃないんですか?」
キョロキョロと伊月さんを探す姿にため息が漏れる。瑶さんという恋人がいるのになぜ伊月さんに近寄ろうとするのか。
「伊月さんは用事で遅くなるから待ってても無駄ですよ」
それだけ言うと後ろに控えていた護衛と共に専用のエレベーターに乗ろうとすると話しがあると呼び止められ、家に入れるのが嫌だったのでホールにある話せる場所へ移動する。観葉植物とパーテーションで半個室のようになっているそこで、護衛の人には少し離れててもらい話を聞くと、とんでもない事を言い出した。
「実は、初めて見た時からいいなぁと思って。伊月さんくれない?」
「は?」
何それ、ガムちょうだいと同じような軽い感じ。
「え?分からない?伊月さん欲しいんだけど」
こてっと首を傾け、だから部屋のカードキーちょうだいってナニイッテンノコイツ。
「だってさ、α同士が一緒にいたって番になれないでしょ。私Ωで番えるし、αの性欲満足されられるよ」
「いや、あんた瑶さんの彼女でしょ」
「んー、確かに瑶は格好良いしハイスペックで何でも買ってくれるけど、伊月さんの方が上でしょ。だからちょうだい」
やべぇ、飯坂理久ばりに話が通じない気がする。
思えば瑶さんと一緒に挨拶に来た時からこんな感じだった。「いいなぁ」「欲しいなぁ」「ちょうだい」の3語を連発していたよ。クレクレ凄いなと引いたけど、人の男をクレクレするとはヤバ認定してもいいよな?慎ましさ?どこにあんの?つーか、瑶さんこいつのどこがいいのか50文字で説明してくれ!
そしてこいつは勘違いしている。俺はΩだ。
ちょっと前に抑制剤の発表のニュースが地上波、ネットで流れて話題になってたから俺の事も記事に書かれてたはずなんだが。何故αと勘違いされてα同士の同棲と思われたのか。
「いや、あげねぇよ。そもそも伊月さんは俺にベタ惚れだしな」
「そんな事ないわ、笑顔で私の話を聞いてくれてるもの。それにα同士なんて不安定な関係よりやっぱりΩが良いのよ」
「そりゃ瑶さんの恋人だし愛想良くするよ。つーか俺αじゃねぇ、Ωだ」
「えっ……」
分かるよ、俺は世間一般で言われる華奢で庇護欲そそるきゅるーんな感じじゃないから。それに彼女が勘違いした理由も何となく分かる。
「俺と伊月さんと番ってるから。だからネックガードしてないんだよね」
そう、先日の発情期で俺達は番になったんだ。濃い時間だったよ。……その話は別な時にな。
番った俺は伊月さんしかフェロモンで誘えないし抑制剤やネックガードを全てやめている。だから瑶さん達が挨拶に来た時や今もネックガードはしていない。それで俺をαと勘違いしたんだろう。
「それに婚約してるし、はい分かりましたって婚約者を差し出す事は出来ないんだけど」
「えっ、瑶から聞いてない……」
「知らないと思うよ。瑶さんは本家じゃないし正式発表は年賀パーティーでするから」
「じゃあ番解消してもらって。私が番うから」
「はい?」
ちょっ、宇宙人2人目発見したんだけど!伊月さんこんなのばっかり引き寄せて宇宙人ホイホイですか?
「やめてよ、7年かけてやっと瀬名と番になったのに邪魔するなら……消すよ?」
「伊月さん!」
「よ……瑶、今三波さんとお喋りして瑶の事待ってたのよ」
一瞬ヤベって表情をしたけど、取り繕うように笑顔で話すも瑶さんは無表情だ。
「お互い色々話したい事があるだろうから僕達は行くよ。瑶さん結論が出たら報告してね。処理するから」
それだけ言うと伊月さんは俺を抱くようにしてエレベーターへ足を向ける。用事があったはずなのにタイミング良く来たなぁと思ったら、護衛から連絡が入って飛んできたらしい。話の内容もスマホを通話状態にして聞いていたと。
「凄かった。クレクレ宇宙人がいた」
「いたねぇ。やっぱり出自や周囲の調査をしても性格までは調べられないからこればっかりはね」
苦笑いする伊月さんに宇宙人ホイホイの疑惑の目を向けたら、夜執拗に後ろから攻めたてられ「伊月さんは宇宙人ホイホイではありません」と言わされた。げしょ。
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何でも親戚がセキュリティが高い部屋を探しているらしく、だったらここに住めばいいという話しになったらしい。
なので結婚してから移り住む予定だった最上階のペントハウスに俺達が移り、ここにその人が引っ越して来るようだ。
反対する理由も無いので了承し、大学のテスト期間が終わる2週間後に移り、室内クリーニングした後引き渡す事になった。
◇◇◇◇◇
テストも終わり、引っ越しもスムーズにいきそのタイミングで俺の発情期がきたので1週間ほどホテルに籠もり、マンションに戻ると親戚の人は引っ越しを終えていて挨拶に来た。
来たけどさ、来たんだけどさ。
帰るのを見送り、リビングに戻って微妙な顔をしてソファーに座る俺にどうしたの?と伊月さんが聞いてくる。
「ねえ、彼女の事調べたんだよね?」
「そうだね、本家に近いほど徹底的に調べるね」
「……だよね」
伊月さんより少し年上の親戚、花ノ宮瑶さんは真面目そうな容貌の人で、ちょっと頭は固いが優秀らしい。
問題は一緒に来た彼女。
見た目は素朴な可愛らしさがある女性で、ネックガードをしているからΩなんだろう、大学進学時に上京し地元に戻らず就職したと言っていた。
瑶さんは慎ましい女性だって言ってたけど、慎ましい人はあんなに無遠慮に俺達を見定めるように見ないし、根掘り葉掘り聞かないと思うんだよなぁ。
「瑶さんには悪いけど凄く居心地が悪かった」
「調べた時には出自や周囲の評判は悪く無かったんだけどねぇ」
まあどうせ向こうは社会人、マンションの下ですれ違うだけだろうと気にしない事にしたのだが、すれ違うどころじゃなかった!
「三波さん!」
「……谷さん」
どうもタイミングが合ってしまうのか、エントランスホールで瑶さんの恋人である谷恵理子さんに声をかけられ今日も捕まってしまう。
「あれ、今日は伊月さんは一緒じゃないんですか?」
キョロキョロと伊月さんを探す姿にため息が漏れる。瑶さんという恋人がいるのになぜ伊月さんに近寄ろうとするのか。
「伊月さんは用事で遅くなるから待ってても無駄ですよ」
それだけ言うと後ろに控えていた護衛と共に専用のエレベーターに乗ろうとすると話しがあると呼び止められ、家に入れるのが嫌だったのでホールにある話せる場所へ移動する。観葉植物とパーテーションで半個室のようになっているそこで、護衛の人には少し離れててもらい話を聞くと、とんでもない事を言い出した。
「実は、初めて見た時からいいなぁと思って。伊月さんくれない?」
「は?」
何それ、ガムちょうだいと同じような軽い感じ。
「え?分からない?伊月さん欲しいんだけど」
こてっと首を傾け、だから部屋のカードキーちょうだいってナニイッテンノコイツ。
「だってさ、α同士が一緒にいたって番になれないでしょ。私Ωで番えるし、αの性欲満足されられるよ」
「いや、あんた瑶さんの彼女でしょ」
「んー、確かに瑶は格好良いしハイスペックで何でも買ってくれるけど、伊月さんの方が上でしょ。だからちょうだい」
やべぇ、飯坂理久ばりに話が通じない気がする。
思えば瑶さんと一緒に挨拶に来た時からこんな感じだった。「いいなぁ」「欲しいなぁ」「ちょうだい」の3語を連発していたよ。クレクレ凄いなと引いたけど、人の男をクレクレするとはヤバ認定してもいいよな?慎ましさ?どこにあんの?つーか、瑶さんこいつのどこがいいのか50文字で説明してくれ!
そしてこいつは勘違いしている。俺はΩだ。
ちょっと前に抑制剤の発表のニュースが地上波、ネットで流れて話題になってたから俺の事も記事に書かれてたはずなんだが。何故αと勘違いされてα同士の同棲と思われたのか。
「いや、あげねぇよ。そもそも伊月さんは俺にベタ惚れだしな」
「そんな事ないわ、笑顔で私の話を聞いてくれてるもの。それにα同士なんて不安定な関係よりやっぱりΩが良いのよ」
「そりゃ瑶さんの恋人だし愛想良くするよ。つーか俺αじゃねぇ、Ωだ」
「えっ……」
分かるよ、俺は世間一般で言われる華奢で庇護欲そそるきゅるーんな感じじゃないから。それに彼女が勘違いした理由も何となく分かる。
「俺と伊月さんと番ってるから。だからネックガードしてないんだよね」
そう、先日の発情期で俺達は番になったんだ。濃い時間だったよ。……その話は別な時にな。
番った俺は伊月さんしかフェロモンで誘えないし抑制剤やネックガードを全てやめている。だから瑶さん達が挨拶に来た時や今もネックガードはしていない。それで俺をαと勘違いしたんだろう。
「それに婚約してるし、はい分かりましたって婚約者を差し出す事は出来ないんだけど」
「えっ、瑶から聞いてない……」
「知らないと思うよ。瑶さんは本家じゃないし正式発表は年賀パーティーでするから」
「じゃあ番解消してもらって。私が番うから」
「はい?」
ちょっ、宇宙人2人目発見したんだけど!伊月さんこんなのばっかり引き寄せて宇宙人ホイホイですか?
「やめてよ、7年かけてやっと瀬名と番になったのに邪魔するなら……消すよ?」
「伊月さん!」
「よ……瑶、今三波さんとお喋りして瑶の事待ってたのよ」
一瞬ヤベって表情をしたけど、取り繕うように笑顔で話すも瑶さんは無表情だ。
「お互い色々話したい事があるだろうから僕達は行くよ。瑶さん結論が出たら報告してね。処理するから」
それだけ言うと伊月さんは俺を抱くようにしてエレベーターへ足を向ける。用事があったはずなのにタイミング良く来たなぁと思ったら、護衛から連絡が入って飛んできたらしい。話の内容もスマホを通話状態にして聞いていたと。
「凄かった。クレクレ宇宙人がいた」
「いたねぇ。やっぱり出自や周囲の調査をしても性格までは調べられないからこればっかりはね」
苦笑いする伊月さんに宇宙人ホイホイの疑惑の目を向けたら、夜執拗に後ろから攻めたてられ「伊月さんは宇宙人ホイホイではありません」と言わされた。げしょ。
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