告白してきたヤツを寝取られたらイケメンαが本気で囲ってきて逃げられない

ネコフク

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番外編 5人の子供達(後)

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「困った……」

 ぷんすこしてホットココアを飲んでいる桜花の隣に座り、腕組みをしながら考えを巡らせるが、特に良い答えは出て来ない。

 何に頭を悩ませているかというと、ここ最近桜花の誘拐未遂とストーカーが酷いのだ。

 必ずSPを付けて外出や登下校しているので未遂に終わっているが、とうとう今日セキュリティが厳しいスクールにも侵入したきたのだ。

 桜花はΩという事もあり、通っているスクールは藤達の学校よりセキュリティが厳しいセレブ校なのだが、今回先生が手引きしたらしい。そうなるとどうしようもない。

 セレブ校なので花ノ宮ホールディングスと同等、又はそれ以上の坊っちゃん嬢ちゃんがいるのに一直線に桜花に向かってきたらしい。担任や友達が庇い警備員がすぐ駆けつけたから良かったものの、最悪攫われていたかもしれないのだ。

「もう、ヤダ、面倒くさい!」

 俺や伊月さんが誘拐やストーカーに頭を痛めている横で、桜花はスクールの人間関係に憤っている。

 原因は桜花の見た目にある。
 幼い頃から可愛いかったのだが8歳になった今、とてつもない美少女になってしまったのだ。

 椿のようにコピーではないが伊月さんに似た容姿に、ふわふわした茶髪に大きな瞳、Ω特有の庇護欲をそそる雰囲気をかもし出し、外を歩けば注目度抜群。何度「養子に来ないか」や「うちの子の嫁に!」と言われたか。
 ネックガードをしていてΩだと分かるからαの息子の嫁には分かるが、養子って何でや⁉と思っていたら「養子にして上流階級のαに嫁がせて縁を結ばせるんじゃない?」と伊月さんが言っていた。何だソレ、子供は親の駒じゃないんだよ!

 そして桜花を悩ませている原因はやっぱり桜花の見た目。
 セレブ校でバース性が確定している子供も多く通っているが、その中でも群を抜いて目立つ存在、それが桜花でαの子から言い寄られ(なんておマセな!)そのαの子が好きな子達からの嫉妬が凄いらしい。
 見た目に反して気が強い桜花は嫉妬を跳ね除けているらしいが、うざったくて仕方ないらしい。
 特に一番人気の男の子がべったりしてくるので余計に酷いそうだ。

 日本では周りで騒いだり牽制したりぐらいだったけど、ここではグイグイ来たり直接文句を言ったり力ずくで言う事を聞かせようとする子が多いらしい。

 愛憎劇を繰り広げる8歳、怖え。






「日本の学校に通わせようか」

 スクールで攫われそうになった連絡を俺から受け取った伊月さんはいつもより早く帰宅し、最近の話や桜花の話を聞いてここよりも日本の方が安全だと判断したらしい。

「まあそうなるよな」

 これ以上桜花を危険な目に会わせるわけにはいかないしな。

「1か月後には日本に行けるように準備しよう。桜花もそれでいいかい?」

「うん、いいよ」

 普通友達と離れるの嫌だとか言いそうなのにあっさりしてるよなぁと思ったら、「友達数人以外は大体敵」ってどんなスクールライフを送ってんだよ。こりゃ人間不信になる前に日本に帰る選択をして良かったのかも。

 その日の夜に遠野家も集まり2家族で話し合った結果、俺と桜花だけ1か月後に帰国、椿と有理は卒業と同時に帰国し有理は俺達の母校に1年間通い大学に。椿は有理に合わせ同じ大学に進学、藤と麗羅はそのままこっちの大学に進学する事になった。子供達は日本組は花ノ宮家、こっち組は遠野家に住む事で決定。
 藤の一人暮らしも考えていたら良規さんが「4年日本に帰るのが遅くなっても問題無いから」というので甘える事にした。
 椿と有理は同棲する予定だったのにそれが無くなってぶーぶー言ってたけど、俺の「お前ら家事出来ないだろ」の一言で自分達が家事を一切出来ない事に気付き黙った。ははは、2人共箱入りだもんな。

「じゃあ日本に帰ったら教えてよ」

「無理だ!美佐子さんが全てやってくれてるのに俺が家事を出来ると思うか?」

「「あー……」」

 何だその可哀想な子を見るような目は?俺だってコーヒーくらいは淹れれるんだぜ?

 すんなりこれからの事は決まったが、問題は伊月さんだった。

 みっちりスケジュールが何ヶ月も埋まっていて、俺と桜花が帰国する1か月後に一緒に行けず。早くても半年後じゃないと日本に戻れないらしい。
 そこからは夫夫ふうふで話し合い、椿と有理が帰国するまで花ノ宮本家に住み、そこから桜花を小学校に通わせ慣れたら義両親に桜花を任せ俺だけこっちに戻り、伊月さんが日本に帰れるようになるまで居る事になった。
 神奈さんに話したら「喜んでー!」と、どこかの居酒屋店員のような返事をされ引き受けてくれたし、俺も発情期ヒートを1人で迎えなくてよくなるからそれで決定したが、桜花に「1人の発情期ヒートは辛いでしょ」と肩を叩かれ恥ずかしくて顔が赤くなってしまった。このおマセさんめ!

「よーし桜花、引っ越す準備するぞ」

「はーい」

 こうして俺と桜花は1か月後の帰国までに片付けや親しい人に挨拶をしたり、お土産を買ったりかなりバタバタしながら準備をし、日本に帰った。


 ◇◇◇◇◇


「ママー!!何でレンが日本にいるのよぉぉぉ!!」

「こら、お客様の前たぞ」

 バタバタと本邸の長い廊下を走り、俺がいるテラスまで辿り着いたと同時に叫ぶ桜花をたしなめる。

「ごめんなさい。でもだって、レンが……レンママ⁉」

「桜花ちゃんこんにちは」

 お客様にピキリと固まる桜花。そして導き出した答えは俺を睨む事だった。

「ママ知ってたのね……」

「まあね」

「スクールでの元凶なのにぃ!!」

 しれっと答える俺に激おこな桜花。その後ろでにこにことしている男の子。そして同じくにこにこのレンママ。はたから見たら変な光景だろうな。

 まあ桜花が怒るのも仕方ない。向こうのスクールで桜花にべったりだった一番人気の男の子がレンと呼ばれた子なのだ。

 本名マシュー=蓮=ミュラー、ドイツ人の父親と日本人の母親を持つハーフな男の子だ。金髪緑目の日本人寄りの綺麗な顔をしている子で、スクールの入学初日から桜花にベッタベタしている。その初日が問題だったんだけど。

 会った次の瞬間に桜花の手を握り「見つけた僕の運命!さあ、2人だけの楽園パラダイスに行こう!」と楽園に連れて行こうとしたツワモノだ。楽園ってどこだよって後で聞いたら自宅のガーデンだった。
 楽園は思った以上に近かったよ。

 ちなみに桜花はΩとはいえまだ認識できるほど成熟していないのでキョトンとしていた。

 上の発言で分かる通りレンは既にαと診断されていて桜花を『運命の番』と認識してしまったらしい。
 認識早すぎじゃね?と思ったら、αは幼い頃から執着を始めたりするから早い子は10歳未満でも感じる子がいるらしい。

 何度も家族ぐるみで遊んでいて一度もそんな事を言わなかったのに急に運命と認識した息子に慌てたのはレンの両親だ。

「レン何言うてまんねん。早いがな!」

「あらぁ、ウエディングドレスどこで作ろうかしらぁ?」

 オッサンどこでそんな日本語覚えたんだよ。つーかウエディングドレスは早いだろうが。

 混乱している2人と子供達を引きずり使っていない教室を借り、運命の番専用抑制剤を飲ませ落ち着かせ話し合い、これからは抑制剤を飲ませて過ごさせる事を決めたのだが、「運命」発言は広まり、それが学年で一番人気の子だったのが災いし、女の子の嫉妬が桜花に向けられ、それを守ろうとレンがべったりしそれを見てまた嫉妬……悪循環だったらしい。

 桜花自体レンは嫌いじゃないけど、嫉妬を向けられる元凶という認識なので離れられてバンザイだったのに、日本まで同じ小学校、同じクラスなのが嫌、また嫉妬を向けられると怒っている。

「何で日本に来たのよ!」

「んー、桜花がいるから」

「レンがいるとまた同じことになるー!」

「桜花ちゃん、それなら大丈夫よぉ」

 なげく桜花にレンママこと美琴が能天気な声で言う。

「日本はね、向こうみたいに騒がないわ。どっちかと言うと羨ましがられたり憧れたりするわよぉ」

「……ホント?」

「ホントよぉ。日本の女の子は夢見がちだから運命って聞いても酷い事言って来ないわ」

「そうだな。逆に羨ましい目で見られると思うぞ。少し様子を見て見たらいいよ」

 まだ疑っているようだが渋々頷く。物心ついた時から主張が激しい子達ばかり周りにいたから分からないみたいだけど、日本の子供はそれに比べて大人しいぞー。

「レンレンも向こうみたいに桜花にくっついて守ってなくて大丈夫だぞ。基本友好的だからな」

「本当に?」

 あ、こっちも疑ってやがる。レンもずっと向こうで育ってるから分からないか。

「それに日本は誘拐される事はほぼ無いからSPも少ない人数で出歩けるぞ」

「うそっ、やったぁ!」

「やったね!」

 うんうんそうだよな、2人共見た目と親が大企業だって事で誘拐のリスクが半端なくて大人数のSPに囲われて出歩いてたもんな。

「私も旦那がこっちに来るまで羽のばすわぁ」

 分かる。日本から行くとあの国は自由に動けなかったからなぁ。俺は桜花がここの生活に慣れたら戻るけどできれば日本でずっと過したいよ。






 それから様子見していた桜花とレンだったけど、クラスメイトがみんな優しくて俺達が言っていた事が本当だったと喜んでいた。
 今は友達もいっぱい出来て楽しそうに登校している。

 それによって桜花とレンの関係も穏やかな関係に変わってきているようだ。
 将来どうなるかは分からないが、レンが運命と認識する前から執着を見せていたからこのままいきそうな気がする。




 いやー良かった良かったとのんびり過していたら神楽から「3人目が出来た」とめでたい連絡が来るのはもう少し後の話だ。




ーーーーーーーーーー



これで番外編も終わり完結になります。

長らくお読みくださりありがとうございます。

宇宙人や鼻メガネおじさん、重度のブラコン・シスコン・・・気付いたら普通の人が一切出ていない(汗)
何故でしょう。


次回の作品は年末年始が過ぎてから投稿する予定です。

仮の題名ですが「真原くんはどうやらBLウォッチを失敗したようです」というBL作品になる予定です。

オメガバースではありませんが、非王道学園もので主人公は綺麗系腐男子です。
もちろん普通の人は出てきません(笑)1話目からぶっ飛んだ家族が出てきます。
シリアス?何ソレ美味しいの?的なストーリーになる予定。

もし見かけたらお読みくださると幸いです。
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