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ヴィルドルフの牽制
私はサアラによって湯浴みさせられ丁寧に磨かれた
懐かしい感覚だ
離宮を出てから自分の身なりなど気にすることも無かった
温かい風呂に入ることも無かった
「アリアンお嬢様‥」
サアラは泣いていた
その顔を見て私も涙が溢れた
「サアラ、元気にしていた?」
「私は大丈夫です。お嬢様こそ‥」
そう言ってまた泣いている
「あの日‥茶会が始まるとすぐに王妃の命令で王宮に行かされ、私が留守の間にあの様な事が‥
アリアンお嬢様に会えないまま、修道院に行かれたと知らされました。そしてそこから行方が分からなくなってしまったと‥どれほど胸が痛かったか‥ううっ‥」
サアラは自分を責めるように何度も謝った
けれどサアラは何も悪くないのだ
「お嬢様が生きておられたと知りどれほど神に感謝したか、これからはお側を離れません。お嬢様をお守りいたします」
「サアラ、会いたかったわ。本当に良かった」
私達は二人で涙を流した
「さぁお嬢様、目が腫れてしまいます。
今日は久しぶりですので御覚悟なさいませ。手加減無しでさせていただきます。
時間がありません、さぁ急ぎますよ!」
サアラは涙を拭きながら腕が鳴りますと笑った
その後、容赦なくサアラに磨かれドレスを着せられ髪を結われ化粧をされた
「見ない間に一段とお美しくなられましたね。本当にお綺麗です。奥様にも見せて差し上げたい」
また涙声になりながら綺麗に結った髪に飾りを挿した
「一年も経ってないからそんなに変わりはないと思うけど‥」
「いいえ、年頃の女性は全く違います。すっかり大人の女性になられましたよ。
ドレスも髪飾りも全て殿下がご用意された物です。そしてこれも」
そう言って首に大きなエメラルドのネックレスを付けた
「殿下は今もアリアンお嬢様を妃にと望んでくださっています。私もそう願っております。お嬢様」
サアラは私の両手を包み
「ヴィルドルフ殿下は私を探してくださいました。アリアンお嬢様には私が必要だと仰ってくださったのです。全てお話は聞きました。私も殿下の思いに感謝し、生涯かけて恩返ししたいと思っております。奥様と陛下の為にも、王女に戻りましょう。ずっとお支えいたします。お嬢様こそ、幸せになるべき人です」
その目からはまたほろりと涙が零れた
私の中に何か熱いものが込み上げる
逃げるのは終わりだ
母と父を救うわ
懐かしいドレスの重みを感じて足を踏み出す
「支度は終わったかい?」
ドアの外からヴィル様の声が掛かる
「はい」
ドアが開けられ「あっ‥」とヴィル様が息を呑むように動きが完全に止まってしまった
似合ってなかったかしら‥
久しぶりすぎて少し不安になってしまう
瞳が絡み合うとヴィル様は破顔し蕩けるような笑顔を見せてくれた
その笑顔にホッと胸を撫で下ろす
「なんて美しいんだ」
目の前まで歩いてくると跪いた
「女神のエスコートを私にお許しください」
そう言って手を差し出した
「ええ、お願いいたします」
そっと手を添えると立ち上がり自分の腕に絡ませた
私はヴィル様のエスコートのもと歩き出すと
「皆にアリーの美しさを見せてこよう」
と子供の様に嬉しそうに笑って屋敷の中を回り出した
微笑み合いながら屋敷を回ると、皆驚いて足を止めて見惚れている
ヴィル様の見目麗しい姿を見れば、誰でも見惚れてしまうだろう
こんなに素敵な王子様はいないのだから
「アリーの仕事場にも行こう」
「厨房ですよ」
「君が働いていた所が見たいんだ、案内して」
「かしこまりました」
私はつい先程まで働いていた場所へ向かった
「アリー‥」
厨房の皆の動きが止まる
「やぁ、俺のアリーがここで働いていたようだね」
「王太子殿下!」
頭を下げる皆に、いいんだ頭を上げてと優しく言うと
「俺のアリーが世話になったね」
と笑った
奥からレイとサリーが走って来た
「アリー」
「アリー」
二人は私の姿を見ると固まっている
「本物のお姫様だわ‥」
と惚けている
「これはドレスのおかげよ!」
と言ったが耳に届いていない様で反応が無い
「美しいだろう?俺はアリーに一目惚れしたんだ。連れて行かせてもらうよ。
すまないね」
そう言って私の頬を撫でると皆の前で唇を重ねてチュッと音を立てた
「きゃぁー」「あー」
皆が悲鳴を上げる
「ヴィル様!」
私は慌てて離れようとするが、腰を強く抱えられたままだ
「皆に見せつけておきたい。君を想う奴らがいると悪いからね。諦めてもらわないと」
「いません。そんな方は」
アリーは困った様に焦っている
俺はチラリと見回し男達を見て思った
奥歯を噛み締めている男達にアリーは全く気付いていない
俺は男達が皆アリーを狙っていたことがすぐに分かった
「悪いね。アリーは私のものだ」
男達を牽制すると、くるりと向きを変えまたアリーの腰を強く引き寄せ歩き出した
「もう、ヴィル様何ですか?」
焦って恥ずかしそうな、何も知らないアリーに思わず笑ってしまう
「俺はアリーを誰にも渡したくないんだ。望みを持たれると困るからね」
「何の事ですか?」
本人は全く解っていない
男達が皆アリーに惚れていたことを
「手遅れにならなくて良かったよ」
「何がですか?」
「いいんだ、何でもないよ」
この美しい人はとても疎いようだ
額にそっと口付ける
チュッ
「愛してるよアリー」
懐かしい感覚だ
離宮を出てから自分の身なりなど気にすることも無かった
温かい風呂に入ることも無かった
「アリアンお嬢様‥」
サアラは泣いていた
その顔を見て私も涙が溢れた
「サアラ、元気にしていた?」
「私は大丈夫です。お嬢様こそ‥」
そう言ってまた泣いている
「あの日‥茶会が始まるとすぐに王妃の命令で王宮に行かされ、私が留守の間にあの様な事が‥
アリアンお嬢様に会えないまま、修道院に行かれたと知らされました。そしてそこから行方が分からなくなってしまったと‥どれほど胸が痛かったか‥ううっ‥」
サアラは自分を責めるように何度も謝った
けれどサアラは何も悪くないのだ
「お嬢様が生きておられたと知りどれほど神に感謝したか、これからはお側を離れません。お嬢様をお守りいたします」
「サアラ、会いたかったわ。本当に良かった」
私達は二人で涙を流した
「さぁお嬢様、目が腫れてしまいます。
今日は久しぶりですので御覚悟なさいませ。手加減無しでさせていただきます。
時間がありません、さぁ急ぎますよ!」
サアラは涙を拭きながら腕が鳴りますと笑った
その後、容赦なくサアラに磨かれドレスを着せられ髪を結われ化粧をされた
「見ない間に一段とお美しくなられましたね。本当にお綺麗です。奥様にも見せて差し上げたい」
また涙声になりながら綺麗に結った髪に飾りを挿した
「一年も経ってないからそんなに変わりはないと思うけど‥」
「いいえ、年頃の女性は全く違います。すっかり大人の女性になられましたよ。
ドレスも髪飾りも全て殿下がご用意された物です。そしてこれも」
そう言って首に大きなエメラルドのネックレスを付けた
「殿下は今もアリアンお嬢様を妃にと望んでくださっています。私もそう願っております。お嬢様」
サアラは私の両手を包み
「ヴィルドルフ殿下は私を探してくださいました。アリアンお嬢様には私が必要だと仰ってくださったのです。全てお話は聞きました。私も殿下の思いに感謝し、生涯かけて恩返ししたいと思っております。奥様と陛下の為にも、王女に戻りましょう。ずっとお支えいたします。お嬢様こそ、幸せになるべき人です」
その目からはまたほろりと涙が零れた
私の中に何か熱いものが込み上げる
逃げるのは終わりだ
母と父を救うわ
懐かしいドレスの重みを感じて足を踏み出す
「支度は終わったかい?」
ドアの外からヴィル様の声が掛かる
「はい」
ドアが開けられ「あっ‥」とヴィル様が息を呑むように動きが完全に止まってしまった
似合ってなかったかしら‥
久しぶりすぎて少し不安になってしまう
瞳が絡み合うとヴィル様は破顔し蕩けるような笑顔を見せてくれた
その笑顔にホッと胸を撫で下ろす
「なんて美しいんだ」
目の前まで歩いてくると跪いた
「女神のエスコートを私にお許しください」
そう言って手を差し出した
「ええ、お願いいたします」
そっと手を添えると立ち上がり自分の腕に絡ませた
私はヴィル様のエスコートのもと歩き出すと
「皆にアリーの美しさを見せてこよう」
と子供の様に嬉しそうに笑って屋敷の中を回り出した
微笑み合いながら屋敷を回ると、皆驚いて足を止めて見惚れている
ヴィル様の見目麗しい姿を見れば、誰でも見惚れてしまうだろう
こんなに素敵な王子様はいないのだから
「アリーの仕事場にも行こう」
「厨房ですよ」
「君が働いていた所が見たいんだ、案内して」
「かしこまりました」
私はつい先程まで働いていた場所へ向かった
「アリー‥」
厨房の皆の動きが止まる
「やぁ、俺のアリーがここで働いていたようだね」
「王太子殿下!」
頭を下げる皆に、いいんだ頭を上げてと優しく言うと
「俺のアリーが世話になったね」
と笑った
奥からレイとサリーが走って来た
「アリー」
「アリー」
二人は私の姿を見ると固まっている
「本物のお姫様だわ‥」
と惚けている
「これはドレスのおかげよ!」
と言ったが耳に届いていない様で反応が無い
「美しいだろう?俺はアリーに一目惚れしたんだ。連れて行かせてもらうよ。
すまないね」
そう言って私の頬を撫でると皆の前で唇を重ねてチュッと音を立てた
「きゃぁー」「あー」
皆が悲鳴を上げる
「ヴィル様!」
私は慌てて離れようとするが、腰を強く抱えられたままだ
「皆に見せつけておきたい。君を想う奴らがいると悪いからね。諦めてもらわないと」
「いません。そんな方は」
アリーは困った様に焦っている
俺はチラリと見回し男達を見て思った
奥歯を噛み締めている男達にアリーは全く気付いていない
俺は男達が皆アリーを狙っていたことがすぐに分かった
「悪いね。アリーは私のものだ」
男達を牽制すると、くるりと向きを変えまたアリーの腰を強く引き寄せ歩き出した
「もう、ヴィル様何ですか?」
焦って恥ずかしそうな、何も知らないアリーに思わず笑ってしまう
「俺はアリーを誰にも渡したくないんだ。望みを持たれると困るからね」
「何の事ですか?」
本人は全く解っていない
男達が皆アリーに惚れていたことを
「手遅れにならなくて良かったよ」
「何がですか?」
「いいんだ、何でもないよ」
この美しい人はとても疎いようだ
額にそっと口付ける
チュッ
「愛してるよアリー」
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