【完結】逃げ出した王女は隣国の王太子妃に熱望される

風子

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最終話 逃げ出した王女は大帝国の私の皇后になる

人が神を求める生き物ならば誰の心の中にもその対象は存在する。
ルリアはまさに俺にとって天から舞い降りた女神のようだった。
あまりに美しく惹きつけられ心奪われた。
抗うことなどできない。
ひとたび彼女と目が合えば神から離れることなどできない。

初めて出会った収穫祭のあの日から、俺の望みは彼女の傍にいることだった。
身を捧げて尽くしたいという気持ち。
彼女の為ならば何を犠牲にしても構わないとさえ思った。

彼女を知るうちに、その美しさだけでなく内面にも魅了された。
気の強い負けず嫌いの性格、豊富な知識と知性、女性とは思えぬ剣の使い手であり、それでいて気取ることのないお人好しなところは俺だけでなく彼女と関わった者全員が虜になった。

誰もが焦がれてやまない‥‥
ルリアとはそういう女性だ。

皇帝が皇妃の後追いをしたという気持ちは今なら理解できる。
彼女のいない人生は歩めない。
何を犠牲にしても彼女の生まれ変わりと同時期に自分の復活を望んだ皇帝の気持ちは今の俺と似たようなものだろう。
俺もルリアとは未来永劫共にいたい。

だが前世では自分よがりの生き方で多くの過ちを犯し皇妃を苦しめることに繋がった。
ヨハンの死の真相を話せばルリアは傷付き前世のことも思い出すかもしれない。
そう思うと怪しんでいることは理解しているが何も伝えられないままだった。
ルリアには前世のことを思い出してほしくない。
それは同じ前世の記憶を持つマリーやヘイルズ、スタンリーも同じだろう。
誰もが今世では彼女を守りたいと思っているのだから‥‥。

心優しい聖女の生まれ変わり。
責任感の強い女神をこれ以上悲しませたくはないと思った。
子を失ったルリアにはなおさら自分のことだけを考えて自分を大切にしてもらいたかった。

彼女はおそらく気付いていただろう。
聡い人だ。
けれど俺の口からは何も話すことができなかった。
その事すら彼女は察していたのだろう。

あの時期は辛かった。
彼女を失うかもしれない恐れと闘った。
二ヶ月ほどだっただろうか‥‥
塞ぎ込み部屋から出ることもなかった。
随分と長く感じて天罰を味わった。

彼女が再び笑顔を向けてくれるようになった日のことはよく覚えている。
きっと自分の中で葛藤があっただろう。
おそらく自分を責め何もかも背負い込んで潰れそうになっていたに違いない。
それでもルリアは再び己を奮い立たせ皇后として戻ってくれた。
ルリアがいてくれる限り俺も頑張れる。

凡人の愛とは重いものだ。
負担になるだけであってもより執着は増すばかり‥‥。
神に魅入られた人のさがだろう。
これからも死ぬまで、いや‥死んでもなお未来永劫彼女の魂からは離れられない。
こんなことを口にすればルリアは気味が悪いと思うだろう。
抑えてはいるがつい顔を見れば求める気持ちが溢れてしまう。
自分でも恐ろしくなる程だ。
それでも人間というものは求めることをやめられない。
神から見ればなんと哀れな生き物だろう‥




幼子の寝顔を見ながら今度こそは守ると誓う。
前世の過ちで多くの者を傷付けた。
元凶は全て俺だった‥‥。
自分可愛さの利己的な行動のせいだった。
今世で償いきれるとは思わないが、この記憶を教訓として人生の戒めにし、今度こそは良き皇帝として生きねばならない。




「ベルラード?ここにいたのね」

「ああルリア、起こさないように気をつけながら可愛い寝顔を見てたよ」

「ふふっ、ちょっとくらいの物音じゃ起きないわよ」

「頼もしいな、将来大物になる」

「だといいけれどね。
でもこの子には自分らしくのびのびと育ってほしいわ。
人の痛みのわかる優しい人になってもらいたいの」

「きっとルリアに似て優しく誰からも愛される子になるさ」

「父親に似て誰からも敬われる人になると思うわ!」

ルリアは幸せそうに笑った。



あの辛い時期から二年後‥‥

ルリアは男の子を産んだ。
生まれた瞬間、男だと告げられるとルリアはひどく泣いた。
抱えてきた苦しみから解放された瞬間だったのだろう。
随分と長く泣いていた。
計り知れない苦労があっただろう。
我が息子がルリアを救ってくれた。
やっと彼女の重荷を下ろしてくれたのだ。
今度こそ、今度こそルリアの命は必ず守る。
子も民もこの帝国も守ると‥‥俺はかつての偉大なる神に誓った。







国を逃げ出し宿命に苦しみながらも運命を切り開いた美しい女性は大帝国の皇后として立派にその務めを全うし、皇帝と共に天寿を全うした。
そして後世にまで語り継がれる程の人気であった皇后ルリアは、亡くなるまでその美貌は変わらず女神のように美しいままであったという。
そしてその皇后を深く愛した皇帝ベルラードとの仲睦まじい夫婦愛は民達の憧れとなり本や劇となって帝国中に広まったのだった‥‥。








「ねぇ、お父様!
この本の劇が王都であるんですって!
行ってもいい?」

「ダメだよ!
王都に行くなんてやめなさい」

「でもおばあさまとお約束してしまったのよ!ね?おばあさま?」

「王都は危険だからダメだよ!
人が多い所は心配だ」

「だってこの劇、お母様と同じ名前のお姫様が出てくるのよ!
すっごく面白いお話なの!見てみたいわ」

「本だけで十分だろう、内容は知ってるんだからいいじゃないか」

「いやよ!ねぇティナおばあさまからも言って!!」

「あらあら困ったわねぇ。
きっとマリアがお母様にそっくりだから心配してるのよ。
だってマリアはこの国一番の美人さんだものね!
でもおばあさまが今日は一緒だから大丈夫よ」





            ~END~








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ここまで読んで下さった心優しい方、どうもありがとうございましたm(__)m
あなたにたくさんの幸せが訪れますように
ヽ(´▽`)/

                        
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