【完結】逃げ出した王女は隣国の王太子妃に熱望される

風子

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リベール国王side 2

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ライナも私と結婚するつもりではなかった。
兄と結婚し、そして王妃の地位を狙っていた。
バンホワイト公爵は欲の深い男で、娘を王族にし自分の権力を強めたがっていた。
兄達にこの者達を近付けさせないよう、私が身を挺して守っていこうと誓った結婚だった。

ライナとはお互い愛情の無い関係。
それでも我が子なら愛情を持てるのかと思ったが、自分の血を継いでるようには思えない。
どうしても我が子とは思えない自分がいた。
ライナには不審を抱いている。

兄とアリアンの娘であるルリアは、王家の象徴である黄金の美しい髪に、アリアンそっくりの紫の美しい瞳をしている。
幼い頃から私に懐いて甘えてくるルリアは、我が子よりもずっと可愛かった。

兄には、甘やかし過ぎるなと叱られたが、甘やかしても足りない程にルリアは可愛かった。
そして、母のアリアンによく似て美しかった。
まるで、アリアンを陰から支えていこうとした私への神からの贈り物のようだった。

息子のマルクスと娘のメルディナは、日に日に私からかけ離れた顔をしていくのに、ルリアは日に日に愛するアリアンに似てくる。

兄達の突然の死は受け止められないほどの衝撃だった。
だが、取り残されたルリアを、私が絶対に支えていくと誓った。

兄とアリアンを守れなかった私が出来ることは、ルリアを守り抜くこと。

王家のしきたりで、三ヶ月の祈りの儀を終えなければならないルリアを、送り出すことが心配だった。
戻って来たらすぐに私の所に来るように言っておいたはずだ。
きっと何かライナが関わっているだろう。

兄とアリアンは、ライナのバンホワイトの領地で事故に遭い亡くなった。
この死にも必ずライナが関わっているはずだ。
息子のマルクスに早く王位を継承させる為だろう。
ルリアまで奪われるわけにはいかない。

私が毒を盛られ、生死を彷徨っている間にライナは王宮の人事を勝手に変えていた。
昔から王家に仕えていた者達を辞めさせ、自分の味方をこの王宮に引き込んでいる。

私が生死の境にいたせいで、王妃ライナの権力は強く働いていた。
信用できる者が皆何処かへ追いやられたのだ。

「ダニエル、今一番信用できる者はお前だけだ。この王家を守る為に力を貸してくれるな?」

「はい。もちろんです、陛下。我が国の血を絶やすわけには参りません。これから口になさる物は、私が用意した物だけになさって下さい」

「ああ、そうしよう。王妃からの差し入れは全て受け取るな」

「承知しております。陛下が元気になられた今、これから王妃に追いやられた騎士達を捜し出し、再び真の王家に仕える者達を集めます」

「先代の騎士団長に連絡を取れ。息子を亡くし気落ちしているだろうが、この国を護り続けてきた男だ。私の力になってくれるはずだ」

「かしこまりました。今の騎士団長に気付かれないよう、私が必ず連れて参ります


「頼む」

「はっ」

我が国の王家直属の騎士団は最強を誇っている。
その騎士団を長い間率いてきたのは、団長のシルヴィオという男だ。

だが、息子を亡くしたことで団長の座を降りた。
息子のキーラは、兄ヴィルドルフの側近であり、私も幼い頃から共に過ごしてきた仲間だった。
賢く有能な男であった。

兄と共にあの事故で亡くなったのだ。
シルヴィオは息子を亡くしたショックから王家を去った。

後任には、エリック・ディガートが団長になった。
そういえば、エリックは元々バンホワイト公爵の護衛騎士ではなかったか?

ここにも何か繋がりがあるかもしれない‥
騎士達にも気を付けなければならない。

「はぁぁ‥」

思わず深いため息が出る。
兄が亡くなって三ヶ月か‥‥

代々受け継がれてきた揺るがない大国アルンフォルトが今大きく揺れている。
私の代で絶やすわけにはいかない。

ルリアを捜さなくては‥‥
この王家にも、私にも必要な存在だ。
一体何処へ行ったのだ‥
どうか迎えに行くまで無事でいてくれ‥















































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