22 / 93
リベール国王side 2
しおりを挟む
ライナも私と結婚するつもりではなかった。
兄と結婚し、そして王妃の地位を狙っていた。
バンホワイト公爵は欲の深い男で、娘を王族にし自分の権力を強めたがっていた。
兄達にこの者達を近付けさせないよう、私が身を挺して守っていこうと誓った結婚だった。
ライナとはお互い愛情の無い関係。
それでも我が子なら愛情を持てるのかと思ったが、自分の血を継いでるようには思えない。
どうしても我が子とは思えない自分がいた。
ライナには不審を抱いている。
兄とアリアンの娘であるルリアは、王家の象徴である黄金の美しい髪に、アリアンそっくりの紫の美しい瞳をしている。
幼い頃から私に懐いて甘えてくるルリアは、我が子よりもずっと可愛かった。
兄には、甘やかし過ぎるなと叱られたが、甘やかしても足りない程にルリアは可愛かった。
そして、母のアリアンによく似て美しかった。
まるで、アリアンを陰から支えていこうとした私への神からの贈り物のようだった。
息子のマルクスと娘のメルディナは、日に日に私からかけ離れた顔をしていくのに、ルリアは日に日に愛するアリアンに似てくる。
兄達の突然の死は受け止められないほどの衝撃だった。
だが、取り残されたルリアを、私が絶対に支えていくと誓った。
兄とアリアンを守れなかった私が出来ることは、ルリアを守り抜くこと。
王家のしきたりで、三ヶ月の祈りの儀を終えなければならないルリアを、送り出すことが心配だった。
戻って来たらすぐに私の所に来るように言っておいたはずだ。
きっと何かライナが関わっているだろう。
兄とアリアンは、ライナのバンホワイトの領地で事故に遭い亡くなった。
この死にも必ずライナが関わっているはずだ。
息子のマルクスに早く王位を継承させる為だろう。
ルリアまで奪われるわけにはいかない。
私が毒を盛られ、生死を彷徨っている間にライナは王宮の人事を勝手に変えていた。
昔から王家に仕えていた者達を辞めさせ、自分の味方をこの王宮に引き込んでいる。
私が生死の境にいたせいで、王妃ライナの権力は強く働いていた。
信用できる者が皆何処かへ追いやられたのだ。
「ダニエル、今一番信用できる者はお前だけだ。この王家を守る為に力を貸してくれるな?」
「はい。もちろんです、陛下。我が国の血を絶やすわけには参りません。これから口になさる物は、私が用意した物だけになさって下さい」
「ああ、そうしよう。王妃からの差し入れは全て受け取るな」
「承知しております。陛下が元気になられた今、これから王妃に追いやられた騎士達を捜し出し、再び真の王家に仕える者達を集めます」
「先代の騎士団長に連絡を取れ。息子を亡くし気落ちしているだろうが、この国を護り続けてきた男だ。私の力になってくれるはずだ」
「かしこまりました。今の騎士団長に気付かれないよう、私が必ず連れて参ります
」
「頼む」
「はっ」
我が国の王家直属の騎士団は最強を誇っている。
その騎士団を長い間率いてきたのは、団長のシルヴィオという男だ。
だが、息子を亡くしたことで団長の座を降りた。
息子のキーラは、兄ヴィルドルフの側近であり、私も幼い頃から共に過ごしてきた仲間だった。
賢く有能な男であった。
兄と共にあの事故で亡くなったのだ。
シルヴィオは息子を亡くしたショックから王家を去った。
後任には、エリック・ディガートが団長になった。
そういえば、エリックは元々バンホワイト公爵の護衛騎士ではなかったか?
ここにも何か繋がりがあるかもしれない‥
騎士達にも気を付けなければならない。
「はぁぁ‥」
思わず深いため息が出る。
兄が亡くなって三ヶ月か‥‥
代々受け継がれてきた揺るがない大国アルンフォルトが今大きく揺れている。
私の代で絶やすわけにはいかない。
ルリアを捜さなくては‥‥
この王家にも、私にも必要な存在だ。
一体何処へ行ったのだ‥
どうか迎えに行くまで無事でいてくれ‥
兄と結婚し、そして王妃の地位を狙っていた。
バンホワイト公爵は欲の深い男で、娘を王族にし自分の権力を強めたがっていた。
兄達にこの者達を近付けさせないよう、私が身を挺して守っていこうと誓った結婚だった。
ライナとはお互い愛情の無い関係。
それでも我が子なら愛情を持てるのかと思ったが、自分の血を継いでるようには思えない。
どうしても我が子とは思えない自分がいた。
ライナには不審を抱いている。
兄とアリアンの娘であるルリアは、王家の象徴である黄金の美しい髪に、アリアンそっくりの紫の美しい瞳をしている。
幼い頃から私に懐いて甘えてくるルリアは、我が子よりもずっと可愛かった。
兄には、甘やかし過ぎるなと叱られたが、甘やかしても足りない程にルリアは可愛かった。
そして、母のアリアンによく似て美しかった。
まるで、アリアンを陰から支えていこうとした私への神からの贈り物のようだった。
息子のマルクスと娘のメルディナは、日に日に私からかけ離れた顔をしていくのに、ルリアは日に日に愛するアリアンに似てくる。
兄達の突然の死は受け止められないほどの衝撃だった。
だが、取り残されたルリアを、私が絶対に支えていくと誓った。
兄とアリアンを守れなかった私が出来ることは、ルリアを守り抜くこと。
王家のしきたりで、三ヶ月の祈りの儀を終えなければならないルリアを、送り出すことが心配だった。
戻って来たらすぐに私の所に来るように言っておいたはずだ。
きっと何かライナが関わっているだろう。
兄とアリアンは、ライナのバンホワイトの領地で事故に遭い亡くなった。
この死にも必ずライナが関わっているはずだ。
息子のマルクスに早く王位を継承させる為だろう。
ルリアまで奪われるわけにはいかない。
私が毒を盛られ、生死を彷徨っている間にライナは王宮の人事を勝手に変えていた。
昔から王家に仕えていた者達を辞めさせ、自分の味方をこの王宮に引き込んでいる。
私が生死の境にいたせいで、王妃ライナの権力は強く働いていた。
信用できる者が皆何処かへ追いやられたのだ。
「ダニエル、今一番信用できる者はお前だけだ。この王家を守る為に力を貸してくれるな?」
「はい。もちろんです、陛下。我が国の血を絶やすわけには参りません。これから口になさる物は、私が用意した物だけになさって下さい」
「ああ、そうしよう。王妃からの差し入れは全て受け取るな」
「承知しております。陛下が元気になられた今、これから王妃に追いやられた騎士達を捜し出し、再び真の王家に仕える者達を集めます」
「先代の騎士団長に連絡を取れ。息子を亡くし気落ちしているだろうが、この国を護り続けてきた男だ。私の力になってくれるはずだ」
「かしこまりました。今の騎士団長に気付かれないよう、私が必ず連れて参ります
」
「頼む」
「はっ」
我が国の王家直属の騎士団は最強を誇っている。
その騎士団を長い間率いてきたのは、団長のシルヴィオという男だ。
だが、息子を亡くしたことで団長の座を降りた。
息子のキーラは、兄ヴィルドルフの側近であり、私も幼い頃から共に過ごしてきた仲間だった。
賢く有能な男であった。
兄と共にあの事故で亡くなったのだ。
シルヴィオは息子を亡くしたショックから王家を去った。
後任には、エリック・ディガートが団長になった。
そういえば、エリックは元々バンホワイト公爵の護衛騎士ではなかったか?
ここにも何か繋がりがあるかもしれない‥
騎士達にも気を付けなければならない。
「はぁぁ‥」
思わず深いため息が出る。
兄が亡くなって三ヶ月か‥‥
代々受け継がれてきた揺るがない大国アルンフォルトが今大きく揺れている。
私の代で絶やすわけにはいかない。
ルリアを捜さなくては‥‥
この王家にも、私にも必要な存在だ。
一体何処へ行ったのだ‥
どうか迎えに行くまで無事でいてくれ‥
11
あなたにおすすめの小説
完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました
らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。
そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。
しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような…
完結決定済み
王宮侍女は穴に落ちる
斑猫
恋愛
婚約破棄されたうえ養家を追い出された
アニエスは王宮で運良く職を得る。
呪われた王女と呼ばれるエリザベ―ト付き
の侍女として。
忙しく働く毎日にやりがいを感じていた。
ところが、ある日ちょっとした諍いから
突き飛ばされて怪しい穴に落ちてしまう。
ちょっと、とぼけた主人公が足フェチな
俺様系騎士団長にいじめ……いや、溺愛され
るお話です。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
王太子妃専属侍女の結婚事情
蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。
未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。
相手は王太子の側近セドリック。
ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。
そんな二人の行く末は......。
☆恋愛色は薄めです。
☆完結、予約投稿済み。
新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。
ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。
そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。
よろしくお願いいたします。
盲目王子の策略から逃げ切るのは、至難の業かもしれない
当麻月菜
恋愛
生まれた時から雪花の紋章を持つノアは、王族と結婚しなければいけない運命だった。
だがしかし、攫われるようにお城の一室で向き合った王太子は、ノアに向けてこう言った。
「はっ、誰がこんな醜女を妻にするか」
こっちだって、初対面でいきなり自分を醜女呼ばわりする男なんて願い下げだ!!
───ということで、この茶番は終わりにな……らなかった。
「ならば、私がこのお嬢さんと結婚したいです」
そう言ってノアを求めたのは、盲目の為に王位継承権を剥奪されたもう一人の王子様だった。
ただ、この王子の見た目の美しさと薄幸さと善人キャラに騙されてはいけない。
彼は相当な策士で、ノアに無自覚ながらぞっこん惚れていた。
一目惚れした少女を絶対に逃さないと決めた盲目王子と、キノコをこよなく愛する魔力ゼロ少女の恋の攻防戦。
※但し、他人から見たら無自覚にイチャイチャしているだけ。
【完結】一途すぎる公爵様は眠り姫を溺愛している
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
リュシエンヌ・ソワイエは16歳の子爵令嬢。皆が憧れるマルセル・クレイン伯爵令息に婚約を申し込まれたばかりで幸せいっぱいだ。
しかしある日を境にリュシエンヌは眠りから覚めなくなった。本人は自覚が無いまま12年の月日が過ぎ、目覚めた時には父母は亡くなり兄は結婚して子供がおり、さらにマルセルはリュシエンヌの親友アラベルと結婚していた。
突然のことに狼狽えるリュシエンヌ。しかも兄嫁はリュシエンヌを厄介者扱いしていて実家にはいられそうもない。
そんな彼女に手を差し伸べたのは、若きヴォルテーヌ公爵レオンだった……。
『残念な顔だとバカにされていた私が隣国の王子様に見初められました』『結婚前日に友人と入れ替わってしまった……!』に出てくる魔法大臣ゼインシリーズです。
表紙は「簡単表紙メーカー2」で作成しました。
【完結】勤労令嬢、街へ行く〜令嬢なのに下働きさせられていた私を養女にしてくれた侯爵様が溺愛してくれるので、国いちばんのレディを目指します〜
鈴木 桜
恋愛
貧乏男爵の妾の子である8歳のジリアンは、使用人ゼロの家で勤労の日々を送っていた。
誰よりも早く起きて畑を耕し、家族の食事を準備し、屋敷を隅々まで掃除し……。
幸いジリアンは【魔法】が使えたので、一人でも仕事をこなすことができていた。
ある夏の日、彼女の運命を大きく変える出来事が起こる。
一人の客人をもてなしたのだ。
その客人は戦争の英雄クリフォード・マクリーン侯爵の使いであり、ジリアンが【魔法の天才】であることに気づくのだった。
【魔法】が『武器』ではなく『生活』のために使われるようになる時代の転換期に、ジリアンは戦争の英雄の養女として迎えられることになる。
彼女は「働かせてください」と訴え続けた。そうしなければ、追い出されると思ったから。
そんな彼女に、周囲の大人たちは目一杯の愛情を注ぎ続けた。
そして、ジリアンは少しずつ子供らしさを取り戻していく。
やがてジリアンは17歳に成長し、新しく設立された王立魔法学院に入学することに。
ところが、マクリーン侯爵は渋い顔で、
「男子生徒と目を合わせるな。微笑みかけるな」と言うのだった。
学院には幼馴染の謎の少年アレンや、かつてジリアンをこき使っていた腹違いの姉もいて──。
☆第2部完結しました☆
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる