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戴冠の間10
カイトの覚悟が怖くなった‥‥
これは間違いなく毒の入った物だ。
バロンが用意したのだから偽物のはずがない。
思わずカイトの袖を掴む。
しばしの沈黙‥‥
あの事故がなければ、私は彼の妻となっていた。
彼が私をこんなに想ってくれていたなんて知らずに別れてしまったけれど、もし‥‥もっと早く、婚約者であった私が彼の想いに気付くことができたなら、こんな苦しみに歪んだ顔を見ることはなかったのかもしれない。
私は自分のことしか考えていなかった。
「飲むふりだけでいいから‥‥」
そう呟いた私に、
「真実を知りたいのは私の方だ」
その直後、小瓶の蓋を開けカイトは一気に口に入れた。
「やめろー!それは毒だ!!」
ライーズ・ブロイドの大声が響いた。
プハッ‥ゴホッゴホッ
その声にカイトは口から吐き出したが、口に残っている毒に咳き込み倒れた。
「カイト!!」
慌てて抱き抱えると、そこへ騎士に扮したバロンが駆けつけ、口に水を流し入れ何度も吐き出させた。
それは流れるような慣れた手つきで、メイド役の彼女達も床に吐き出された毒を綺麗に拭き取る。
何事も無かったかのように処理をする彼らの無駄のない動きは、日常的にこの様な仕事をしている証拠でもある。
このような影の働きによって王家、王族、そして国は護られているのだと改めて実感させられる。
「あらかじめ薄めておきましたので、命に別状はないと思います」
「ありがとう‥‥」
バロンは頷くと、咳き込み続けるカイトを二人がかりで抱えるように出て行く。
カイトの苦しそうな声が小さくなって扉はバタンと閉められた。
命に別状がないならよかった‥‥
バロンはこうなることも見越していたのね。
「はっ‥‥
自分の息子に足をすくわれるとは‥‥
なんたる不覚‥‥」
両手をつきライーズは項垂れた。
「あなたが全て企んだことだったのね」
「お前達が‥‥お前達が悪いのだ。
この格式ある王家を冒涜し崩壊させた。
ブロイド家が陰日向となり支え、ここまで繋いできた神聖な血を‥‥絶やすなどと」
「あなたが父の命を奪ったんじゃない!」
「ヴィルドルフ陛下には何度も側妃を娶るように進言してきた。
王家の世継ぎの王子を生まなければならないと、何度も何度も‥‥
それなのに娘一人しか生むことのできない妃をあんなに溺愛し、挙げ句の果てにはアリアン王妃が産めないのであれば王子はいらないなどと言った‥側妃は決して娶るつもりはないと。
一国の王が世継ぎをいらないなどと許される発言ではない!!
自分の立場も放棄し、受け継がれてきた王家の歴史も蔑ろにする陛下は許せなかった!
あんな小国の田舎娘を妃にし、この国を侮辱し、王家の権威を失墜させた‥‥
あの女さえ来なければ!
お前の母親は側妃の娘だ。
自分の国でさえ疎まれていた娘を、なぜ我が国の王妃などにしなければならないのか、私の悔しさがわかるか?
私はヴィルドルフ陛下には、家柄も血筋も、王家の世継ぎを生むに相応しい令嬢を選んで引き合わせてきた。
だというのに、連れてきたのは他国の娘。
我々を馬鹿にするのもいい加減にしろ!」
ライーズはタガが外れたように抑えてきた感情をぶちまけた。
怒りの収まらないその様子を見ながら、私の中で込み上げたものは、同じ怒りの感情ではなく哀しみの感情だった。
父が母を選んだことがこんなにも憎まれていた。
あれほど愛し愛される仲の良い二人だったのに、認められることなく疎まれていた。
それは私も同じこと。
娘であったことで、殺意さえも芽生えさせていた。
私が男だったなら、母は認められたのだろうか‥‥
私が男だったなら、必要とされただろうか‥‥
私が男だったなら、父は今も生きていただろうか‥‥
ライーズの止まらない怒りの言葉が耳に入らないほど、私は自分の存在理由がわからなくなった。
「バンホワイトの娘のライナも王家の血を継がない平民の子を生んだ。
平民の子を王位に就けるなど虫唾が走る。
こんな奴らが王家にいるくらいなら、ブロイド家が王家を継いだ方がいいにきまっている!我が家は王家の血筋だ!
ブロイド家の血が受け継がれているのだから、ブロイド家こそ正統だ!
そうだろう?何が間違っている!
悪いのは私ではなくお前達だ!!」
「何ですってライーズ!
あなた私達を騙したのね?
マルクスを王位に就けてやると言ったのに、私達まで引き摺り下ろすつもりだったのね、なんて男なの」
「うるさい黙れ!この役立たず!
鉱山の子を生んだことがどれだけ罪の重いことかわかってるのか、恥を知れ!
王家にとって最も大切な血脈を守ることもできずに何が王族だ!笑わせるな」
罵倒し合うその姿は醜いものだが、本を正せば私が女として生まれてきたことが悪いのではないかと思えた‥‥
「おい!これ以上は聞いていられない。
自分の犯した罪を正当化するな。
お前は自分の歪んだ考えでルリアの両親の命を奪った。
王の暗殺を企てるなど、どの国だろうと極刑だ」
「はっ、よそ者の王子が口出しなどするな」
「何と無礼な!
ルリアがどれほど辛い思いをしたか分かってるのか?」
怒りに震えたベルラードにライーズは笑い声を上げた。
「ははははっ、さすがは親の子。
他国の王子をもう誑かしたか?
お前の母親と同じだな!
ダルトタナードもこの女に惚れると潰されるぞ」
私の顔を見て嘲笑う。
「貴様!何たる無礼、よくも」
「お兄様!それ以上の発言はおやめくださいませ。
ここはアルンフォルトですのよ!」
マリーが興奮するベルラードを諫める。
「ですが、兄も私も他国とはいえ王族の身。
そちらの公爵の態度は私達への侮辱でもあります。
こちらの女王陛下は随分と寛大な心をお持ちですのね。
こんなにお優しい女王陛下でなかったら、今頃公爵の命はなかったでしょう。
女王陛下?
王とは優しいだけでは務まりません。
それはどの国であろうと同じことですわ」
マリーにチクリと釘を刺される。
自分の感情に引っ張られ、思い悩む時ではない。
国の王として、今私がやるべきことは解っている。
女に生まれたからなどと自分を責めている場合ではない。
マリーの冷静さに頭が下がる。
やはり以前にマリーに言われたように、私は感情が先行しすぎるタイプだ。
きっと‥‥人の上に立つ人間には向いてない。
そういえば、マルクスにも向いてないと言われたわね。
そんなの私が一番よく知ってるわ‥‥
それでも、今は私がやるしかない‥‥
やり場のない気持ちを抱えて私は一度目を瞑り深呼吸をした‥‥。
これは間違いなく毒の入った物だ。
バロンが用意したのだから偽物のはずがない。
思わずカイトの袖を掴む。
しばしの沈黙‥‥
あの事故がなければ、私は彼の妻となっていた。
彼が私をこんなに想ってくれていたなんて知らずに別れてしまったけれど、もし‥‥もっと早く、婚約者であった私が彼の想いに気付くことができたなら、こんな苦しみに歪んだ顔を見ることはなかったのかもしれない。
私は自分のことしか考えていなかった。
「飲むふりだけでいいから‥‥」
そう呟いた私に、
「真実を知りたいのは私の方だ」
その直後、小瓶の蓋を開けカイトは一気に口に入れた。
「やめろー!それは毒だ!!」
ライーズ・ブロイドの大声が響いた。
プハッ‥ゴホッゴホッ
その声にカイトは口から吐き出したが、口に残っている毒に咳き込み倒れた。
「カイト!!」
慌てて抱き抱えると、そこへ騎士に扮したバロンが駆けつけ、口に水を流し入れ何度も吐き出させた。
それは流れるような慣れた手つきで、メイド役の彼女達も床に吐き出された毒を綺麗に拭き取る。
何事も無かったかのように処理をする彼らの無駄のない動きは、日常的にこの様な仕事をしている証拠でもある。
このような影の働きによって王家、王族、そして国は護られているのだと改めて実感させられる。
「あらかじめ薄めておきましたので、命に別状はないと思います」
「ありがとう‥‥」
バロンは頷くと、咳き込み続けるカイトを二人がかりで抱えるように出て行く。
カイトの苦しそうな声が小さくなって扉はバタンと閉められた。
命に別状がないならよかった‥‥
バロンはこうなることも見越していたのね。
「はっ‥‥
自分の息子に足をすくわれるとは‥‥
なんたる不覚‥‥」
両手をつきライーズは項垂れた。
「あなたが全て企んだことだったのね」
「お前達が‥‥お前達が悪いのだ。
この格式ある王家を冒涜し崩壊させた。
ブロイド家が陰日向となり支え、ここまで繋いできた神聖な血を‥‥絶やすなどと」
「あなたが父の命を奪ったんじゃない!」
「ヴィルドルフ陛下には何度も側妃を娶るように進言してきた。
王家の世継ぎの王子を生まなければならないと、何度も何度も‥‥
それなのに娘一人しか生むことのできない妃をあんなに溺愛し、挙げ句の果てにはアリアン王妃が産めないのであれば王子はいらないなどと言った‥側妃は決して娶るつもりはないと。
一国の王が世継ぎをいらないなどと許される発言ではない!!
自分の立場も放棄し、受け継がれてきた王家の歴史も蔑ろにする陛下は許せなかった!
あんな小国の田舎娘を妃にし、この国を侮辱し、王家の権威を失墜させた‥‥
あの女さえ来なければ!
お前の母親は側妃の娘だ。
自分の国でさえ疎まれていた娘を、なぜ我が国の王妃などにしなければならないのか、私の悔しさがわかるか?
私はヴィルドルフ陛下には、家柄も血筋も、王家の世継ぎを生むに相応しい令嬢を選んで引き合わせてきた。
だというのに、連れてきたのは他国の娘。
我々を馬鹿にするのもいい加減にしろ!」
ライーズはタガが外れたように抑えてきた感情をぶちまけた。
怒りの収まらないその様子を見ながら、私の中で込み上げたものは、同じ怒りの感情ではなく哀しみの感情だった。
父が母を選んだことがこんなにも憎まれていた。
あれほど愛し愛される仲の良い二人だったのに、認められることなく疎まれていた。
それは私も同じこと。
娘であったことで、殺意さえも芽生えさせていた。
私が男だったなら、母は認められたのだろうか‥‥
私が男だったなら、必要とされただろうか‥‥
私が男だったなら、父は今も生きていただろうか‥‥
ライーズの止まらない怒りの言葉が耳に入らないほど、私は自分の存在理由がわからなくなった。
「バンホワイトの娘のライナも王家の血を継がない平民の子を生んだ。
平民の子を王位に就けるなど虫唾が走る。
こんな奴らが王家にいるくらいなら、ブロイド家が王家を継いだ方がいいにきまっている!我が家は王家の血筋だ!
ブロイド家の血が受け継がれているのだから、ブロイド家こそ正統だ!
そうだろう?何が間違っている!
悪いのは私ではなくお前達だ!!」
「何ですってライーズ!
あなた私達を騙したのね?
マルクスを王位に就けてやると言ったのに、私達まで引き摺り下ろすつもりだったのね、なんて男なの」
「うるさい黙れ!この役立たず!
鉱山の子を生んだことがどれだけ罪の重いことかわかってるのか、恥を知れ!
王家にとって最も大切な血脈を守ることもできずに何が王族だ!笑わせるな」
罵倒し合うその姿は醜いものだが、本を正せば私が女として生まれてきたことが悪いのではないかと思えた‥‥
「おい!これ以上は聞いていられない。
自分の犯した罪を正当化するな。
お前は自分の歪んだ考えでルリアの両親の命を奪った。
王の暗殺を企てるなど、どの国だろうと極刑だ」
「はっ、よそ者の王子が口出しなどするな」
「何と無礼な!
ルリアがどれほど辛い思いをしたか分かってるのか?」
怒りに震えたベルラードにライーズは笑い声を上げた。
「ははははっ、さすがは親の子。
他国の王子をもう誑かしたか?
お前の母親と同じだな!
ダルトタナードもこの女に惚れると潰されるぞ」
私の顔を見て嘲笑う。
「貴様!何たる無礼、よくも」
「お兄様!それ以上の発言はおやめくださいませ。
ここはアルンフォルトですのよ!」
マリーが興奮するベルラードを諫める。
「ですが、兄も私も他国とはいえ王族の身。
そちらの公爵の態度は私達への侮辱でもあります。
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こんなにお優しい女王陛下でなかったら、今頃公爵の命はなかったでしょう。
女王陛下?
王とは優しいだけでは務まりません。
それはどの国であろうと同じことですわ」
マリーにチクリと釘を刺される。
自分の感情に引っ張られ、思い悩む時ではない。
国の王として、今私がやるべきことは解っている。
女に生まれたからなどと自分を責めている場合ではない。
マリーの冷静さに頭が下がる。
やはり以前にマリーに言われたように、私は感情が先行しすぎるタイプだ。
きっと‥‥人の上に立つ人間には向いてない。
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