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第9部 倒錯のイグニス
#32 基礎訓練①
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翌朝は定時に目が覚めた。
身体の疲れはほとんど残っていない。
だが、あまり気分は晴れなかった。
あんな事件のあとだから、一日くらい休みたい。
下着の透けるネグリジェ姿でベッドに腰をかけ、杏里はカーテンの隙間から差し込む朝陽に目を細めた。
秋の透明な光の中で、らせんを描くように埃が舞っている。
そこに、痛々しく目を閉じたいずなの姿が浮かび上がり、やがてそれが血まみれの由羅の顔に変わる。
偶然だったのだろうか。
今更のように思う。
ふみとの一件の後、立て続けに起きた、変異外来種によるいずな拉致事件。
日常の時間軸の中にとってつけたように挿入された、非現実的なエピソード。
そこにもし意味が隠されているのだとすれば、それはルナの念動力でもSATの登場でもない。
杏里に対する警告だ。
-タナトスは、相手を選んじゃいけない-
サイコジェニーは、そう言った。
そのことを杏里に身をもって知らしめるためだけに、きのうの茶番が仕組まれたのだとしたら…。
私は、試されている。
苦い思いとともに、杏里は悟った。
ジェニーは私を試そうとしている。
彼女の力をもってすれば、外来種をコントロールすることも可能なのではないか。
どこかで見つけてきた野良の外来種を教師として荘内橋中学に赴任させ、いずなを人質に監禁事件を起こさせ、杏里たちをおびき寄せる…。
そんなこともできるのではないだろうか。
重人に連絡させるまでもなく、最初からジェニーは事件のことを知っていた。
美術室で、向こうからコンタクトしてきたのだから、当然だ。
彼女ならやりかねない。
そう、強く思わずにはいられない。
秘密の部屋で、あの黄金色の羊水の中にたゆたいながら、思念だけで世界を動かしていく。
それが彼女、サイコジェニーのやり方なのだから…。
憂鬱なのは、きょうからまた学校生活という日常が始まるということだ。
入部したばかりのレスリング部の練習。
1週間後に控えた紅白戦。
その更に1週間後には、学園祭のシークレット・イベント。
それが終わると、前期最後の定期試験である。
ふう。
杏里は長いため息をついた。
私って、何が楽しくて生きてるんだろう…?
ふと、そんな思いが胸に兆して、ひどく空しい気分になる。
このまま我慢に我慢を重ねてジェニーのいうような最高のタナトスになれたとしても、それがいったいこの私にとって、どんな意味があるというのだろう…?
今考えても、答えの出ることではなかった。
杏里はしどけない姿のまま、部屋を後にした。
朝のシャワーを浴びるために、浴室へ入る。
下着を脱ぎ捨て、全裸になった。
シャワーのコックを回し、少し熱めのお湯を出す。
シャワーのノズルを持ったまま、バスタブの縁に腰かける。
右足を引き寄せ、バスタブの縁に乗せた。
陰部がむき出しになり、亀裂が開いて綺麗に赤い中身が覗く。
そこを鏡に映しながら、シャワーのお湯を中心に当てる。
「ああ…」
空いたほうの手で乳首を弄り始めると、もう止まらなかった。
「く…」
やがて…。
湯気の立ち込める狭い浴室の中に、杏里のせわしない息遣いが、高く低く、こだまし始めた。
身体の疲れはほとんど残っていない。
だが、あまり気分は晴れなかった。
あんな事件のあとだから、一日くらい休みたい。
下着の透けるネグリジェ姿でベッドに腰をかけ、杏里はカーテンの隙間から差し込む朝陽に目を細めた。
秋の透明な光の中で、らせんを描くように埃が舞っている。
そこに、痛々しく目を閉じたいずなの姿が浮かび上がり、やがてそれが血まみれの由羅の顔に変わる。
偶然だったのだろうか。
今更のように思う。
ふみとの一件の後、立て続けに起きた、変異外来種によるいずな拉致事件。
日常の時間軸の中にとってつけたように挿入された、非現実的なエピソード。
そこにもし意味が隠されているのだとすれば、それはルナの念動力でもSATの登場でもない。
杏里に対する警告だ。
-タナトスは、相手を選んじゃいけない-
サイコジェニーは、そう言った。
そのことを杏里に身をもって知らしめるためだけに、きのうの茶番が仕組まれたのだとしたら…。
私は、試されている。
苦い思いとともに、杏里は悟った。
ジェニーは私を試そうとしている。
彼女の力をもってすれば、外来種をコントロールすることも可能なのではないか。
どこかで見つけてきた野良の外来種を教師として荘内橋中学に赴任させ、いずなを人質に監禁事件を起こさせ、杏里たちをおびき寄せる…。
そんなこともできるのではないだろうか。
重人に連絡させるまでもなく、最初からジェニーは事件のことを知っていた。
美術室で、向こうからコンタクトしてきたのだから、当然だ。
彼女ならやりかねない。
そう、強く思わずにはいられない。
秘密の部屋で、あの黄金色の羊水の中にたゆたいながら、思念だけで世界を動かしていく。
それが彼女、サイコジェニーのやり方なのだから…。
憂鬱なのは、きょうからまた学校生活という日常が始まるということだ。
入部したばかりのレスリング部の練習。
1週間後に控えた紅白戦。
その更に1週間後には、学園祭のシークレット・イベント。
それが終わると、前期最後の定期試験である。
ふう。
杏里は長いため息をついた。
私って、何が楽しくて生きてるんだろう…?
ふと、そんな思いが胸に兆して、ひどく空しい気分になる。
このまま我慢に我慢を重ねてジェニーのいうような最高のタナトスになれたとしても、それがいったいこの私にとって、どんな意味があるというのだろう…?
今考えても、答えの出ることではなかった。
杏里はしどけない姿のまま、部屋を後にした。
朝のシャワーを浴びるために、浴室へ入る。
下着を脱ぎ捨て、全裸になった。
シャワーのコックを回し、少し熱めのお湯を出す。
シャワーのノズルを持ったまま、バスタブの縁に腰かける。
右足を引き寄せ、バスタブの縁に乗せた。
陰部がむき出しになり、亀裂が開いて綺麗に赤い中身が覗く。
そこを鏡に映しながら、シャワーのお湯を中心に当てる。
「ああ…」
空いたほうの手で乳首を弄り始めると、もう止まらなかった。
「く…」
やがて…。
湯気の立ち込める狭い浴室の中に、杏里のせわしない息遣いが、高く低く、こだまし始めた。
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