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第10部 姦禁のリリス
#61 迎撃⑦
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百足丸はせわしなく視線をめぐらせた。
零を足止めするには、できる限り派手な見世物を用意するしかない。
いずなには痛い思いをさせることになるが、なに、彼女は曲がりなりにも杏里と同じタナトスだ。
痛みを快感に変えることも可能だろうし、多少の傷ならすぐに癒えるに違いない。
百足丸の眼が捉えたのは、ベッドとベッドを仕切るカーテンレールだった。
2本の金属製の支柱の間に、カーテンをかける横棒が差し渡されている。
試しに揺すってみると、まずまずの強度だった。
いずなは杏里より更に華奢だから、これならなんとかもつだろう。
幸い、支柱の脚にはキャスターがついていた。
支柱ごとカーテンレールを動かして、壁の広く空いたところまで運ぶ。
位置を決めると、今度はベッドからシーツをはぎ取り、爪で縦に裂いていく。
細い紐を何本かつくってより合わせると、強靭なロープのようになった。
「来い」
即席のロープを手に巻きつけて、いずなを呼んだ。
「何をするんです・・・?」
「黙って言う通りにしろ。両手をそろえて、前に出せ」
おどおどと差し出された折れそうに細い腕をつかむと、自分の腕に巻いたロープをほどき、代わりにいずなの手首をひとまとめに縛り上げた。
「ここに立て」
カーテンレールの下に立たせ、横棒の上にロープの端を通した。
そのまま、両手でその端を握り、ゆっくりと引き下げる。
いずなの両腕が頭上に持ちあがり、やがてまっすぐに伸びた。
「こ、これは・・・?」
ほとんどつま先立ちになり、いずなが苦しげに訊いた。
「見ての通り、拷問の真似事だよ。零はこういうのが好きなんだ」
言いながら、いずなの滑らかな下腹に右手を近づけた。
鍼と化した人差し指の爪で、その平らな腹につーっと傷をつけていく。
たちまち赤い線が真横に走り、ふつふつと真紅の血の球が湧き出してきた。
右の脇腹から左の脇腹まで一文字に切り裂くと、今度はそれと直角に交わるように、へその下から鎖骨の間にかけて、垂直の線を引いていく。
「痛いか?」
いずなの生白い裸身に血の十字架を描き終えると、百足丸はたずねた。
「いいえ・・・大丈夫です」
気丈なまなざしで百足丸を見つめ返して、いずなが答えた。
「私が我慢することで、杏里が助かるなら・・・」
「成功する可能性は、限りなく低い。なんせ相手は、稀代の殺人マシンだからな。だが、努力はする」
ウウウ…。
太郎と花が、腰を低め、獰猛に牙を剥き出して唸り始めている。
百足丸の計算通り、いずなの血の匂いに、興奮しているのだろう。
「ばあさん、犬を放せ」
ドーベルマン2頭の首輪を両手で握って佇んでいるりつに向かって、百足丸は言った。
「それはいいけどさ、あたしゃ、何をすればいいんだい?」
つぶらな瞳を上げて、りつが訊く。
「まずはさっきみたいに、いずなをたっぷり可愛がってやってくれ。もちろん、太郎と花と一緒にな。そして零が入ってきたら、その時は・・・」
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零を足止めするには、できる限り派手な見世物を用意するしかない。
いずなには痛い思いをさせることになるが、なに、彼女は曲がりなりにも杏里と同じタナトスだ。
痛みを快感に変えることも可能だろうし、多少の傷ならすぐに癒えるに違いない。
百足丸の眼が捉えたのは、ベッドとベッドを仕切るカーテンレールだった。
2本の金属製の支柱の間に、カーテンをかける横棒が差し渡されている。
試しに揺すってみると、まずまずの強度だった。
いずなは杏里より更に華奢だから、これならなんとかもつだろう。
幸い、支柱の脚にはキャスターがついていた。
支柱ごとカーテンレールを動かして、壁の広く空いたところまで運ぶ。
位置を決めると、今度はベッドからシーツをはぎ取り、爪で縦に裂いていく。
細い紐を何本かつくってより合わせると、強靭なロープのようになった。
「来い」
即席のロープを手に巻きつけて、いずなを呼んだ。
「何をするんです・・・?」
「黙って言う通りにしろ。両手をそろえて、前に出せ」
おどおどと差し出された折れそうに細い腕をつかむと、自分の腕に巻いたロープをほどき、代わりにいずなの手首をひとまとめに縛り上げた。
「ここに立て」
カーテンレールの下に立たせ、横棒の上にロープの端を通した。
そのまま、両手でその端を握り、ゆっくりと引き下げる。
いずなの両腕が頭上に持ちあがり、やがてまっすぐに伸びた。
「こ、これは・・・?」
ほとんどつま先立ちになり、いずなが苦しげに訊いた。
「見ての通り、拷問の真似事だよ。零はこういうのが好きなんだ」
言いながら、いずなの滑らかな下腹に右手を近づけた。
鍼と化した人差し指の爪で、その平らな腹につーっと傷をつけていく。
たちまち赤い線が真横に走り、ふつふつと真紅の血の球が湧き出してきた。
右の脇腹から左の脇腹まで一文字に切り裂くと、今度はそれと直角に交わるように、へその下から鎖骨の間にかけて、垂直の線を引いていく。
「痛いか?」
いずなの生白い裸身に血の十字架を描き終えると、百足丸はたずねた。
「いいえ・・・大丈夫です」
気丈なまなざしで百足丸を見つめ返して、いずなが答えた。
「私が我慢することで、杏里が助かるなら・・・」
「成功する可能性は、限りなく低い。なんせ相手は、稀代の殺人マシンだからな。だが、努力はする」
ウウウ…。
太郎と花が、腰を低め、獰猛に牙を剥き出して唸り始めている。
百足丸の計算通り、いずなの血の匂いに、興奮しているのだろう。
「ばあさん、犬を放せ」
ドーベルマン2頭の首輪を両手で握って佇んでいるりつに向かって、百足丸は言った。
「それはいいけどさ、あたしゃ、何をすればいいんだい?」
つぶらな瞳を上げて、りつが訊く。
「まずはさっきみたいに、いずなをたっぷり可愛がってやってくれ。もちろん、太郎と花と一緒にな。そして零が入ってきたら、その時は・・・」
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