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第45話 火葬場
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長い葬儀が終わって、火葬場に行った。
祖母の棺桶が台に乗せられて窯の中に入っていくと、がしゃんと鉄の扉が閉じ、着火する音が響いた。
「おばあちゃん、かわいそう。暑いのあんなに嫌いだったのに」
僕の手を握って、妹が涙ぐむ。
「でも、安らかな死に顔だったよね。90歳まで生きたんだもの。おばあちゃんもきっと満足よ」
祖父の車椅子の後ろで母が言う。
祖母の死因は心不全ということになっているが、ほぼ、老衰といってよかった。
問題は、祖父である。
認知症が進行し、足腰もダメになった祖父は、誰もが祖母より先に逝くと思っていたのだ。
祖母が死に、ひとり残されたら、もう長くないに違いない。
そんな罰当たりなことを考えた時である。
「え?」
妹が頓狂な声を上げた。
「どうしておばあちゃん、ここにいるの?」
それもそのはず。
車椅子にちょこんと座っているのは、死んで今焼かれているはずの祖母である。
「わしゃ、お風呂もお茶も、熱いのが嫌いでのう」
入れ歯の抜けた口をふごふごさせて、祖母が答えた。
「じゃ、じゃあ、今焼かれてるのは誰なの?」
母の目はほとんど飛び出す寸前である。
「じいさんじゃよ」
悪びれたふうもなく、祖母が言った。
「あんまり熱いんで、ちょっくら代わってもらったんじゃ」
祖母の棺桶が台に乗せられて窯の中に入っていくと、がしゃんと鉄の扉が閉じ、着火する音が響いた。
「おばあちゃん、かわいそう。暑いのあんなに嫌いだったのに」
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「でも、安らかな死に顔だったよね。90歳まで生きたんだもの。おばあちゃんもきっと満足よ」
祖父の車椅子の後ろで母が言う。
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