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第278話 退職連鎖(前編)
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「千絵ちゃん辞めるそうです」
「またか」
俺の報告に店長は深いため息をついた。
「まだ採用して3か月だろ。早すぎないか?」
「なんでも、体調が悪いそうで」
「今年に入って二人目だ。去年から数えると、もう四人…」
がっくりと肩を落とす店長。
ここは駅前のコンビニである。
立地条件がいいから確かに仕事は忙しいけど、店長は優しいし、バイトの子たちの勤務状況がそこまでブラックとは思えない。
「しかも辞めたのはみんな女の子ばっかり。理由は全員、体調不良・・・。何か因縁めいたものを感じるな」
「因縁って…。呪いか何かってことですか? 気味の悪いこと言わないでくださいよ」
これでスタッフは俺を入れて男3人になってしまった。
フリーターの俺以外はみんな学生だから、正直、この人員でシフトを回すのは難しい。
どうしても俺と店長にしわ寄せがきてしまうのだ。
「仕方ない。また募集するか。幸い、大学が近いから、補充は大して難しくないだろう」
店長は再度深々とため息をつくと、大儀そうな足取りで店の奥へと戻って行った。
それから1か月ほど。
忙しい日々が続いた、ある日のことである。
「新しいバイト、採用できたよ」
昼過ぎに出勤すると、店長が珍しく顔を輝かせ、俺に言った。
「藤木真奈美ちゃんだ。K女子大の1年生。良さげな子だろう?」
なるほど、履歴書には初々しい美少女の顔写真が貼ってある。
「よかったですね。それで出勤はいつからですか?」
「学校の試験なんかの関係で、再来週の月曜からってことになった。もちろん、教育係は君に頼むつもりだよ」
「それはいいですけど…」
言いよどむと、店長がふと声をひそめて、ささやいた。
「言いたいことはわかる。そこで山田君、君にひとつ頼みたいことがあるんだが…」
「頼みたいこと? なんですか?」
「これまで辞めた4人の様子を見てきてほしいんだ。できれば話を聞いてきてもらいたい。辞めてだいぶ時間が経ってるから、今なら本音を話してくれるかもしれない、と思ってね」
「つまり店長は、全員体調不良というのは、明らかにおかしいと…?」
「ああ。もしかしたら、僕らの側に何か不手際があったのかもしれんと思ってな。真奈美ちゃんが来る前に、それをはっきりさせておきたくてね」
「同感です」
俺もうなずいた。
「ほかのバイトと違って俺はフリーターですから、時間の自由もききます。さっそく明日から調べてみますよ」
そんなふうに軽く請け負った俺だったのだがー。
まさかあんなことになるとは、この時は、まったくもって思ってもみなかったのである…。
「またか」
俺の報告に店長は深いため息をついた。
「まだ採用して3か月だろ。早すぎないか?」
「なんでも、体調が悪いそうで」
「今年に入って二人目だ。去年から数えると、もう四人…」
がっくりと肩を落とす店長。
ここは駅前のコンビニである。
立地条件がいいから確かに仕事は忙しいけど、店長は優しいし、バイトの子たちの勤務状況がそこまでブラックとは思えない。
「しかも辞めたのはみんな女の子ばっかり。理由は全員、体調不良・・・。何か因縁めいたものを感じるな」
「因縁って…。呪いか何かってことですか? 気味の悪いこと言わないでくださいよ」
これでスタッフは俺を入れて男3人になってしまった。
フリーターの俺以外はみんな学生だから、正直、この人員でシフトを回すのは難しい。
どうしても俺と店長にしわ寄せがきてしまうのだ。
「仕方ない。また募集するか。幸い、大学が近いから、補充は大して難しくないだろう」
店長は再度深々とため息をつくと、大儀そうな足取りで店の奥へと戻って行った。
それから1か月ほど。
忙しい日々が続いた、ある日のことである。
「新しいバイト、採用できたよ」
昼過ぎに出勤すると、店長が珍しく顔を輝かせ、俺に言った。
「藤木真奈美ちゃんだ。K女子大の1年生。良さげな子だろう?」
なるほど、履歴書には初々しい美少女の顔写真が貼ってある。
「よかったですね。それで出勤はいつからですか?」
「学校の試験なんかの関係で、再来週の月曜からってことになった。もちろん、教育係は君に頼むつもりだよ」
「それはいいですけど…」
言いよどむと、店長がふと声をひそめて、ささやいた。
「言いたいことはわかる。そこで山田君、君にひとつ頼みたいことがあるんだが…」
「頼みたいこと? なんですか?」
「これまで辞めた4人の様子を見てきてほしいんだ。できれば話を聞いてきてもらいたい。辞めてだいぶ時間が経ってるから、今なら本音を話してくれるかもしれない、と思ってね」
「つまり店長は、全員体調不良というのは、明らかにおかしいと…?」
「ああ。もしかしたら、僕らの側に何か不手際があったのかもしれんと思ってな。真奈美ちゃんが来る前に、それをはっきりさせておきたくてね」
「同感です」
俺もうなずいた。
「ほかのバイトと違って俺はフリーターですから、時間の自由もききます。さっそく明日から調べてみますよ」
そんなふうに軽く請け負った俺だったのだがー。
まさかあんなことになるとは、この時は、まったくもって思ってもみなかったのである…。
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