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第317話 離島怪異譚(25)
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鏡に映る乾医師の顔に変化が起きていた。
頭蓋骨に直接皮膚が貼りついたようなその輪郭は同じなのだが、問題はひょっとこのように飛び出た口ー。
漏斗型に尖っていた口吻が横に広がり、扁平になって、その両側から湾曲した一対の太い牙が現れたのである。
そして更に、牙と牙の間からは先に穴が開いたチューブ状の赤い舌が伸び出し、蛇よろしく揺れているのだ。
その顔を目の当たりにしたとたん、私の下腹が山のように膨らみ始めた。
まるで妊婦の腹の成長をビデオの早回しで見るように、どんどんどんどん膨らんでいく。
「ああああああっ」
急速な膨満感に私は叫んだ。
なんだ? 私の身体の中で、いったい何が起きているのだ?
もはや快感を味わっている状態ではなかった。
膨れ上がった腹部が、中からの内圧によって、ボコボコと奇妙な形に変形する。
「これは大物ですねえ」
横から私の股の間を覗き込んで、魚面の看護師が言った。
「先生、大丈夫ですか? 気をつけてくださいね。ミイラ取りがミイラになったんじゃ、シャレになりませんよ!」
「なんのこれしき」
イヒヒヒヒ…。
牙をむき出しにして不気味に笑いながら、鏡の中の乾医師が両腕を振り上げた。
え?
なに?
変形が両手まで及んでいることに気づき、私は絶句する。
医師の両手は、手首から先が先細りになり、くるりと輪を描いてフックのような形になっている。
ば、ばけもの…?
喉が干乾び、舌が上顎の裏に貼りついて、声が出なかった。
逃げようにも頭部と上半身を鉄の処女に拘束され、手足を動かすことすらままならない。
「おお、おお、奥で動いているな」
私の性器にギリギリまで顔を近づけ、不明瞭な口調で乾医師がつぶやいた。
確かに、鏡の中に映る”唇”と”唇”のはざまー。
その中で、何やらピンク色の肉塊が蠢いているのが見えた。
胎児というより、何か内臓のようなもの…。
それが、髑髏男の言う通り、今まさに、”穴”から外に出ようとしているのだ。
「いいぞ、いいぞ、今外に出してやるからな。ほら、こうして…」
鈍色に光るフックの先端が、股倉の中央部に穿たれた私の”穴”の縁を引っ掛けた。
ぎゅううっ。
ゴムを引き延ばすように、二枚の”唇”が左右に引っ張られー。
「や、やめてください!」
激烈な痛みを感じて、悲鳴を上げたその刹那のことだった。
ぐわっ。
身体が裏返るような異様極まりない感触に、私は大きくのけぞった。
ずるずるずるっ!
濡れたホースがのたうち回るような音に続き、
「ぎゃああああああっ!」
だしぬけに、金切り声で髑髏男が絶叫した。
ばしっ!
顔中に生温かい飛沫が飛び散り、真っ赤に覆われた視界の中で、何匹もの巨大な蛇がのたうった。
記憶に残ったのは、そこまでだった。
次の瞬間、スイッチをオフにするようにいきなり意識が途切れ、私は深い闇に吸い込まれていった…。
頭蓋骨に直接皮膚が貼りついたようなその輪郭は同じなのだが、問題はひょっとこのように飛び出た口ー。
漏斗型に尖っていた口吻が横に広がり、扁平になって、その両側から湾曲した一対の太い牙が現れたのである。
そして更に、牙と牙の間からは先に穴が開いたチューブ状の赤い舌が伸び出し、蛇よろしく揺れているのだ。
その顔を目の当たりにしたとたん、私の下腹が山のように膨らみ始めた。
まるで妊婦の腹の成長をビデオの早回しで見るように、どんどんどんどん膨らんでいく。
「ああああああっ」
急速な膨満感に私は叫んだ。
なんだ? 私の身体の中で、いったい何が起きているのだ?
もはや快感を味わっている状態ではなかった。
膨れ上がった腹部が、中からの内圧によって、ボコボコと奇妙な形に変形する。
「これは大物ですねえ」
横から私の股の間を覗き込んで、魚面の看護師が言った。
「先生、大丈夫ですか? 気をつけてくださいね。ミイラ取りがミイラになったんじゃ、シャレになりませんよ!」
「なんのこれしき」
イヒヒヒヒ…。
牙をむき出しにして不気味に笑いながら、鏡の中の乾医師が両腕を振り上げた。
え?
なに?
変形が両手まで及んでいることに気づき、私は絶句する。
医師の両手は、手首から先が先細りになり、くるりと輪を描いてフックのような形になっている。
ば、ばけもの…?
喉が干乾び、舌が上顎の裏に貼りついて、声が出なかった。
逃げようにも頭部と上半身を鉄の処女に拘束され、手足を動かすことすらままならない。
「おお、おお、奥で動いているな」
私の性器にギリギリまで顔を近づけ、不明瞭な口調で乾医師がつぶやいた。
確かに、鏡の中に映る”唇”と”唇”のはざまー。
その中で、何やらピンク色の肉塊が蠢いているのが見えた。
胎児というより、何か内臓のようなもの…。
それが、髑髏男の言う通り、今まさに、”穴”から外に出ようとしているのだ。
「いいぞ、いいぞ、今外に出してやるからな。ほら、こうして…」
鈍色に光るフックの先端が、股倉の中央部に穿たれた私の”穴”の縁を引っ掛けた。
ぎゅううっ。
ゴムを引き延ばすように、二枚の”唇”が左右に引っ張られー。
「や、やめてください!」
激烈な痛みを感じて、悲鳴を上げたその刹那のことだった。
ぐわっ。
身体が裏返るような異様極まりない感触に、私は大きくのけぞった。
ずるずるずるっ!
濡れたホースがのたうち回るような音に続き、
「ぎゃああああああっ!」
だしぬけに、金切り声で髑髏男が絶叫した。
ばしっ!
顔中に生温かい飛沫が飛び散り、真っ赤に覆われた視界の中で、何匹もの巨大な蛇がのたうった。
記憶に残ったのは、そこまでだった。
次の瞬間、スイッチをオフにするようにいきなり意識が途切れ、私は深い闇に吸い込まれていった…。
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