破滅招来乙女リコ 【アダルト】

ACT10 淫靡な特訓

#6 リコ④

　金網デスマッチ…？
　おいおい、マジかよ。
「ずいぶん趣味の悪い特訓だな。何もそこまでしなくてもいいと思うが」
　内心の動揺を隠すために、リコはわざと外人っぽい派手なジェスチャーで、両手を広げ、肩をすくめてみせた。
「だいたい、負けたほうが相手のいいなりになるって言うけど、ハル、うちが勝ったらどうするつもりなんだ？」
　リコの不満はそこにある。
　別にハルに勝ったからといって、彼女に何かしたいわけではないのだ。
　ハルと違い、リコにはいわゆる異常性愛の趣味はない。
　ハルを痛めつけたところで、それで自分が興奮するとも思えない。
「そこは公平になるように、色々用意しておいた。アリア、あれを」
　ハルが声をかけると、
「はい」
　アリアが変に素直にうなずいて、事務机の引き出しを開けた。
　そして机の上に並べ始めたのは、さまざまな大人の玩具である。
　小指ほどの太さのもの、耳かきみたいな形のもの、表面にイボイボがついたごつごつしたやつ、2か所同時に責めることができる、根元でふたつに枝分かれしたやつ、大人の手首ほどもある、異様に太いやつ…。
　ほかにも、肩こり用のバイブレーター、洗濯ばさみ、コードの先に吸盤のついた電極みたいなものもある。
「お互い、勝ったほうは、負けたほうをこの道具で責め立てる。ああ、どれもネット通販で注文した新品だから、病気に感染する危険性はない。しっかり消毒もしておいたから、大丈夫だ」
　気のせいか、ハルはずいぶんと得意そうだ。
　リコを見つめる瞳が妙にぎらついているのは、あれらの道具でリコを責め苛む自分を想像して、早くも興奮しているからなのかもしれない。
「おまえ…」
　リコは呆れた。
　仮想通貨だかなんだかで儲けた3億円を、これほど無駄なモノにばかり使うのはハルが宇宙人だからなのか。
　どちらにせよ、これは負けられない、と思う。
　1回でも負けたが最後、リコはハルに好き放題に凌辱されて、今度こそ本当に性の奴隷にされてしまうに違いない。
　それではとても破滅の天使なんて迎え討てないだろうし、何より正義の変身ヒロインMILKYの名がすたる。
　仕方ない。
　ハルには悪いが、MILKYに変身してでもやっつけるしかない。
　そう決心した時、リングによじ登って、アリアが言った。
「さあ、ふたりとも、位置についてくださあい。地球のヒーロー対宇宙刑事の格闘技選手権、いよいよ始まりですよお。ちなみに、この試合の審判と実況は、このアリアが担当しますので、ふたりともよろしくね♡」