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「久保、まさかおまえ、枕営業とかしてないだろうな。その、源さんとやらに」
1年前のあの事件。
あたしたちを結びつけることになったあの時のことをうっすら思い返しながら、あたしはたずねた。
あの時も決定打になったのは久保のもたらしたマル秘情報。
それも隣の源さん由来のものだとすると・・・。
「やあですよォ、枕なんて使ってないですよォ。そりゃ、多少は見返り求められますけど」
久保はさっきから新製品のなんとかというやつを紙ストローでつつき回している。
よっぽどまずいのだろうか。
だいたい、あたしには、新製品が出たからと言って、スタバに行列を作る奴らの気持ちがわからない。
「見返り? おっぱい触らせるとか、そういうのか?」
「そりゃ昭和だよ、ウタ子ちゃん」
「まあ、それはそれとして」
あたしは気を取り直し、昏く翳ってきた外を見る。
ガラス窓に映っているのは、無駄に面積の広いあたしの顔面だ。
そういえば、あたしが『アバタ』と呼ばれるのには、苗字以外にもう一つ理由があった。
J・キャメロンのあの有名な映画、『アバタ―』の登場人物に顔が似ているからだ。
自分ではよくわからないけど、確かにこうして見ると、とてつもなく離れた目と目の間なんか似てるかも。
でも、見ようによっては向こうのほうが目が大きくて、慣れると可愛いとも言える。
「けど、変だな。犯人はなんで足の裏の穴なんかに射精を? よく知らんが、入れるとこ、そこじゃないだろ?」
「穴は左足の足の裏だけじゃありません。胴体の右脇腹とおへその部分、それから以前見つかった右足の足の裏にも開けられてたそうです」
「はあ? なんじゃそりゃ。で、その穴からも精液が?」
「胴体のほうは、内臓がほとんど抜き取られていたせいで、わからなかったそうです。右足首は捨てられてから雨に当たって、痕跡が流されてたとか。でも、可能性は高いですね」
「だとすると、この事件の犯人、マジにガチで変態だな」
顔をしかめたあたしに、
「朱里ちゃんの時のこと、思い出しませんか」
ふいに声を低く落として、久保が言った。
「これ、もしかしたらもしかするんじゃないかと、亜美は思うんですけどね」
1年前のあの事件。
あたしたちを結びつけることになったあの時のことをうっすら思い返しながら、あたしはたずねた。
あの時も決定打になったのは久保のもたらしたマル秘情報。
それも隣の源さん由来のものだとすると・・・。
「やあですよォ、枕なんて使ってないですよォ。そりゃ、多少は見返り求められますけど」
久保はさっきから新製品のなんとかというやつを紙ストローでつつき回している。
よっぽどまずいのだろうか。
だいたい、あたしには、新製品が出たからと言って、スタバに行列を作る奴らの気持ちがわからない。
「見返り? おっぱい触らせるとか、そういうのか?」
「そりゃ昭和だよ、ウタ子ちゃん」
「まあ、それはそれとして」
あたしは気を取り直し、昏く翳ってきた外を見る。
ガラス窓に映っているのは、無駄に面積の広いあたしの顔面だ。
そういえば、あたしが『アバタ』と呼ばれるのには、苗字以外にもう一つ理由があった。
J・キャメロンのあの有名な映画、『アバタ―』の登場人物に顔が似ているからだ。
自分ではよくわからないけど、確かにこうして見ると、とてつもなく離れた目と目の間なんか似てるかも。
でも、見ようによっては向こうのほうが目が大きくて、慣れると可愛いとも言える。
「けど、変だな。犯人はなんで足の裏の穴なんかに射精を? よく知らんが、入れるとこ、そこじゃないだろ?」
「穴は左足の足の裏だけじゃありません。胴体の右脇腹とおへその部分、それから以前見つかった右足の足の裏にも開けられてたそうです」
「はあ? なんじゃそりゃ。で、その穴からも精液が?」
「胴体のほうは、内臓がほとんど抜き取られていたせいで、わからなかったそうです。右足首は捨てられてから雨に当たって、痕跡が流されてたとか。でも、可能性は高いですね」
「だとすると、この事件の犯人、マジにガチで変態だな」
顔をしかめたあたしに、
「朱里ちゃんの時のこと、思い出しませんか」
ふいに声を低く落として、久保が言った。
「これ、もしかしたらもしかするんじゃないかと、亜美は思うんですけどね」
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