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 その後、あたしたちはとりあえずのところ、高校生らしく忙しくなった。
 体育祭、合唱祭、二学期中間テストと、メインイベントが続いたからである。
 体育祭の余興、クラス対抗ドッヂボール大会では、あたしの活躍でうちのクラスが優勝。
 久保に釘を刺されてかなり手加減したつもりだったのだけど、結果、5人ほど病院送りにしてしまった。
 みんな一日でも早く退院してくれることを祈らざるを得ない。
「だからエンコーはだめなんだってば!」
 4人目が救急車で運ばれていくのを見守るあたしに久保は言ったものだ。
 そしたらよせばいいのにチャラ男の桜井が、
「アバターの援交なんて、ぜーってえありえんでしょ!」
 と横から勘違いも甚だしい暴言を吐いてきたので軽くどついてやったら、5人目の病院送りと相成った。
 ともあれ。
 その後の合唱祭では久保のアニメ声が大うけしてうちのクラスは特別賞。
 秋のイベントアバクボコンビ大活躍と言いたいところだったけど、ふたりとも最後の中間テストで撃沈した。
 二学期以降、色々忙しくて、久保もあたしも勉強らしきコトはまるでやっていなかったからである。
 だが朗報が届いたのは、結果発表に落ち込む我らがケンタッキーでやけ食いしていた時のことだ。
「やっぱりですね」
 黒電話そのものの呼び出し音の後、久保はスマホで誰かと長々しゃべっていたが、通話を切るとにんまり笑って言ったのだ。
「見つかりましたよ、シゲアキの同類が。しかも、ふたり。ああ、それと、うまくいけば、チンボクサイにもたどり着けるかもしれないって」
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