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第6章 アンアン魔界行
#39 アンアン、ミドルバベルへ②
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「なんだとお? そんなくだらぬことで、わしを起こしおったのかあ?」
ゴオオオッ!
阿修羅の髪がめらめらと炎のごとく揺らめくと、その背に燃え盛る紅蓮の火の車が現われた。
「でえ!」
炎を食らって、一ノ瀬がでんぐり返った。
「お呼びでごわすか。阿修羅王さま」
出てきたのは、火車だった。
文字通り、火の車輪の形をした妖怪で、スポークの集まる軸のあたりに貌がある。
お世辞にも可愛いとはいいがたい、むくつけきおっさんの顔である。
「ああ。おっさん、出番だ」
阿修羅が背中から火の車を取り外し、水平ににかまえた。
そして大きくステップバックすると、憤怒の形相で、叫んだ。
「ええい! くさい! くさすぎる! これでもくらいやがれ、ウンチスライムめが!」
ハンマー投げの要領でブンブンぶん回すと、いきなり阿修羅が火車を放り投げた。
UFOのように炎の尾を引いて火車が飛び、スライムの身体にずぼりとめり込んだ。
とたんに上がる水蒸気。
「うぐっ、ぐは、ゲボッ」
ただでさえくさいのに、そこに焦げた匂いが加わって、僕は両手で鼻と口を押えて激しくせき込んだ。
涙でかすむ目を上げると、火車の熱で、スライムに変化が現れていた。
窯に投げ込まれた粘土のように、どんどん乾いていくのだ。
やがて表面がうろこ状のかさぶたに覆われると、空気の抜けるような音を発して動かなくなった。
「どうだ。おそれいったか!」
仁王立ちになって見栄を切る阿修羅に後ろから近づき、アンアンがまたその顔を両手で挟んだ。
「ごくろうだった。じゃ、またな」
ぎりぎりぎり。
ぎりぎりぎり。
2回転すると、元のガングロ美少女フェイスが戻ってきた。
「あれ? ちょっと、アンアンじゃない? あんたもう治ったの? ていうか、今わたしに何かしなかった?」
きょとんとしてアンアンを見つめる阿修羅。
「気のせいだって。それより、この化け物の出所を突き止めるんだ。後ろに黒幕がいるはずだ」
「出所は大浴場ですよぉ。温泉のお湯の代わりに蛇口から出てきてました」
と、これは玉。
「草津の湯が、ヘドロになっちゃったんです」
「なら、その水源が怪しいだろう。そこにきっと、何かいる」
「何かって、羅刹たちの一味ってこと?」
「その可能性が高い。あのスライムは、六道地獄のひとつからやってきたに違いない」
六道地獄とは、血の池地獄とか、そのたぐいのことだろう。
でも、その中に、糞便地獄なんてあったっけ?
「いいけどアンアン、着替えたほうがいいよ」
その時、真顔で阿修羅が言った。
「おっぱいもあそこも、葉っぱ、取れかけてるって」
ゴオオオッ!
阿修羅の髪がめらめらと炎のごとく揺らめくと、その背に燃え盛る紅蓮の火の車が現われた。
「でえ!」
炎を食らって、一ノ瀬がでんぐり返った。
「お呼びでごわすか。阿修羅王さま」
出てきたのは、火車だった。
文字通り、火の車輪の形をした妖怪で、スポークの集まる軸のあたりに貌がある。
お世辞にも可愛いとはいいがたい、むくつけきおっさんの顔である。
「ああ。おっさん、出番だ」
阿修羅が背中から火の車を取り外し、水平ににかまえた。
そして大きくステップバックすると、憤怒の形相で、叫んだ。
「ええい! くさい! くさすぎる! これでもくらいやがれ、ウンチスライムめが!」
ハンマー投げの要領でブンブンぶん回すと、いきなり阿修羅が火車を放り投げた。
UFOのように炎の尾を引いて火車が飛び、スライムの身体にずぼりとめり込んだ。
とたんに上がる水蒸気。
「うぐっ、ぐは、ゲボッ」
ただでさえくさいのに、そこに焦げた匂いが加わって、僕は両手で鼻と口を押えて激しくせき込んだ。
涙でかすむ目を上げると、火車の熱で、スライムに変化が現れていた。
窯に投げ込まれた粘土のように、どんどん乾いていくのだ。
やがて表面がうろこ状のかさぶたに覆われると、空気の抜けるような音を発して動かなくなった。
「どうだ。おそれいったか!」
仁王立ちになって見栄を切る阿修羅に後ろから近づき、アンアンがまたその顔を両手で挟んだ。
「ごくろうだった。じゃ、またな」
ぎりぎりぎり。
ぎりぎりぎり。
2回転すると、元のガングロ美少女フェイスが戻ってきた。
「あれ? ちょっと、アンアンじゃない? あんたもう治ったの? ていうか、今わたしに何かしなかった?」
きょとんとしてアンアンを見つめる阿修羅。
「気のせいだって。それより、この化け物の出所を突き止めるんだ。後ろに黒幕がいるはずだ」
「出所は大浴場ですよぉ。温泉のお湯の代わりに蛇口から出てきてました」
と、これは玉。
「草津の湯が、ヘドロになっちゃったんです」
「なら、その水源が怪しいだろう。そこにきっと、何かいる」
「何かって、羅刹たちの一味ってこと?」
「その可能性が高い。あのスライムは、六道地獄のひとつからやってきたに違いない」
六道地獄とは、血の池地獄とか、そのたぐいのことだろう。
でも、その中に、糞便地獄なんてあったっけ?
「いいけどアンアン、着替えたほうがいいよ」
その時、真顔で阿修羅が言った。
「おっぱいもあそこも、葉っぱ、取れかけてるって」
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