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第6章 アンアン魔界行
#51 風雲、阿修羅城③
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元のように5人、まさおに乗って1時間ほど走ると、左手に『道の駅1番」なる看板が見えてきた。
屋根と壁だけの、細長い平屋の建物である。
道路に面したところに縁台が出ていて、色鮮やかな果物が並んでいる。
売り子はトカゲのような顔をしたばあさんだった。
建物の前でまさおを止めると、阿修羅が言った。
「ここからはゲートクリスタルが使えるから、まさおは解放してあげましょう」
「ゲートクリスタル?」
突然出てきたハイカラな名前に僕は目を丸くした。
「転送装置だ。ゲームなんかによく出てくるだろう? ゲートクリスタルは、道の駅同士をつないでいるのさ」
なんでもないことのように、さらりとアンアンが解説する。
「魔界の科学技術って、そんなに進んでるのか? せいぜい人間界の昭和初期って感じだと思ってたけど」
「科学技術というより、超古代からの遺跡だね。みんな、便利だから使うには使うけど、原理がわからないから、発展性がないの」
まさおを野に放した阿修羅が戻ってきて、横から口をはさんだ。
「原理なんてどうでもいいよ。これでもう、恐竜に襲われなくて済む。助かったよ」
小躍りする一ノ瀬。
「でも、これはこれでけっこう面倒くさいんだよ。道の駅は30キロ間隔で点在してるから、阿修羅城へ行くにはざっと100個、飛ばなきゃならないの」
「100個?」
一ノ瀬の目が、点になる。
だから、ナンバーがついているわけだ。
「ばあさん、クリスタル使わせてほしいんだけど」
阿修羅が店先のトカゲ女に声をかけた。
「代金は干し肉でいいかな? もちろん、そのへんの恐竜の肉じゃなくって、本物の哺乳類の肉。アッパーバベル産の上物だよ」
ははあ、と僕は舌を巻いた。
さすが阿修羅、しっかりしている。
その肉って、ガネーシャがせんべつにくれた非常食のことだろう?
屋根と壁だけの、細長い平屋の建物である。
道路に面したところに縁台が出ていて、色鮮やかな果物が並んでいる。
売り子はトカゲのような顔をしたばあさんだった。
建物の前でまさおを止めると、阿修羅が言った。
「ここからはゲートクリスタルが使えるから、まさおは解放してあげましょう」
「ゲートクリスタル?」
突然出てきたハイカラな名前に僕は目を丸くした。
「転送装置だ。ゲームなんかによく出てくるだろう? ゲートクリスタルは、道の駅同士をつないでいるのさ」
なんでもないことのように、さらりとアンアンが解説する。
「魔界の科学技術って、そんなに進んでるのか? せいぜい人間界の昭和初期って感じだと思ってたけど」
「科学技術というより、超古代からの遺跡だね。みんな、便利だから使うには使うけど、原理がわからないから、発展性がないの」
まさおを野に放した阿修羅が戻ってきて、横から口をはさんだ。
「原理なんてどうでもいいよ。これでもう、恐竜に襲われなくて済む。助かったよ」
小躍りする一ノ瀬。
「でも、これはこれでけっこう面倒くさいんだよ。道の駅は30キロ間隔で点在してるから、阿修羅城へ行くにはざっと100個、飛ばなきゃならないの」
「100個?」
一ノ瀬の目が、点になる。
だから、ナンバーがついているわけだ。
「ばあさん、クリスタル使わせてほしいんだけど」
阿修羅が店先のトカゲ女に声をかけた。
「代金は干し肉でいいかな? もちろん、そのへんの恐竜の肉じゃなくって、本物の哺乳類の肉。アッパーバベル産の上物だよ」
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さすが阿修羅、しっかりしている。
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