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第6章 アンアン魔界行
#81 アンアン、地底軍艦に乗る⑬
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独鈷というのは『独鈷』と書いて『どっこ』と読む、仏像などがよく手にしている法具である。
阿修羅は今その独鈷を両手に持ち、腰を低くして攻撃の構えを取っている。
彼女の独鈷は如意棒みたく伸縮自在ときているから、そういう長槍みたいな使い方ができるというわけだ。
そこにガランゴロンと派手な音を立てて転がってきたのは、デュラハンが脇に抱えていた頭部である。
それは最後にひとつ大きくバウンドすると、床に尻もちをついていた一ノ瀬の胸に飛び込んだ。
「うぎゃあ!」
その兜を抱きしめて悲鳴を上げる一ノ瀬。
「だ、誰か助けてくれえ!」
「大丈夫ですよ、それ、なか、空っぽですから」
玉が慰めの言葉をかけた時、勝ち誇ったように阿修羅が叫んだ。
「見える! 見えるよ! あいつの弱点が!」
ミニひだスカートを翼のように翻し、ダッシュした。
駆けながら突き出した独鈷の先は、デュラハンの首の断面を狙っている。
馬から落ち、うつぶせに倒れ込んだデュラハンは、今まさに起き上がろうとしているところで、その首の断面部分がちょうど正面ーつまり、僕らのほうを向いているのである。
それをひと目見たとたん、僕にも阿修羅の言葉の意味がわかった。
そこだけ甲冑に覆われていない、もと首があったところ。
そこに開いた穴の底に、”眼”が光っている。
おそらくあれが、この首なし騎士の本体に違いない。
「もらったああっ!」
阿修羅が独鈷を突き出した。
穴に飛び込んだ独鈷の先が、眼球を押しつぶす。
バリッ!
バリバリバリバリッ!
デュラハンの全身から、無数の電光が走った。
しゅうしゅうと蒸気を吹き上げ、のたうち回る甲冑の騎士。
その向こうでは、主人同様、青白い炎に包まれ、馬が燃え上がっていた。
やがてそのふたつの異形は、真昼の亡霊のように実体を失い、しんと静まり返った列柱の間の空気の中に煙のように溶けていってしまった。
「阿修羅さま、グッジョブですぅ!」
玉が笑った。
「アンアンのおかげだよ」
阿修羅が、はにかんだような笑顔でそれに応えてみせる。
そこに、何事もなかったように、アンアンが戻ってきた。
「よし、これであと一匹ってわけだな。ラスボスは、なんだっけ?」
「それなんだよね」
阿修羅の笑顔が強張った。
「メデューサって、知ってる? 目で見ただけで、対象物を石に変えちゃうっていう、やな怪物」
「マジか」
アンアンが、信じられないといったふうに、目を見開いた。
「せっかくここまで来たのに、まったく、やれやれだな。そんなのと、どうやって戦えっていうんだよ?」
阿修羅は今その独鈷を両手に持ち、腰を低くして攻撃の構えを取っている。
彼女の独鈷は如意棒みたく伸縮自在ときているから、そういう長槍みたいな使い方ができるというわけだ。
そこにガランゴロンと派手な音を立てて転がってきたのは、デュラハンが脇に抱えていた頭部である。
それは最後にひとつ大きくバウンドすると、床に尻もちをついていた一ノ瀬の胸に飛び込んだ。
「うぎゃあ!」
その兜を抱きしめて悲鳴を上げる一ノ瀬。
「だ、誰か助けてくれえ!」
「大丈夫ですよ、それ、なか、空っぽですから」
玉が慰めの言葉をかけた時、勝ち誇ったように阿修羅が叫んだ。
「見える! 見えるよ! あいつの弱点が!」
ミニひだスカートを翼のように翻し、ダッシュした。
駆けながら突き出した独鈷の先は、デュラハンの首の断面を狙っている。
馬から落ち、うつぶせに倒れ込んだデュラハンは、今まさに起き上がろうとしているところで、その首の断面部分がちょうど正面ーつまり、僕らのほうを向いているのである。
それをひと目見たとたん、僕にも阿修羅の言葉の意味がわかった。
そこだけ甲冑に覆われていない、もと首があったところ。
そこに開いた穴の底に、”眼”が光っている。
おそらくあれが、この首なし騎士の本体に違いない。
「もらったああっ!」
阿修羅が独鈷を突き出した。
穴に飛び込んだ独鈷の先が、眼球を押しつぶす。
バリッ!
バリバリバリバリッ!
デュラハンの全身から、無数の電光が走った。
しゅうしゅうと蒸気を吹き上げ、のたうち回る甲冑の騎士。
その向こうでは、主人同様、青白い炎に包まれ、馬が燃え上がっていた。
やがてそのふたつの異形は、真昼の亡霊のように実体を失い、しんと静まり返った列柱の間の空気の中に煙のように溶けていってしまった。
「阿修羅さま、グッジョブですぅ!」
玉が笑った。
「アンアンのおかげだよ」
阿修羅が、はにかんだような笑顔でそれに応えてみせる。
そこに、何事もなかったように、アンアンが戻ってきた。
「よし、これであと一匹ってわけだな。ラスボスは、なんだっけ?」
「それなんだよね」
阿修羅の笑顔が強張った。
「メデューサって、知ってる? 目で見ただけで、対象物を石に変えちゃうっていう、やな怪物」
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アンアンが、信じられないといったふうに、目を見開いた。
「せっかくここまで来たのに、まったく、やれやれだな。そんなのと、どうやって戦えっていうんだよ?」
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