夜通しアンアン

戸影絵麻

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第6章 アンアン魔界行

#144 アンアンVS九頭竜②

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 ようやく向こうも準備が整ったのか。
 満を持して、といった感じで、九頭竜が動き始めた。
 キングギ〇ラ3匹分の首を器用に打ち振って、地響きを立てながらこっちに向かってくる。
 あの巨体をどうやって支えているのだろうと、好奇心に駆られて目を凝らしてみると、なんと下半身はキャタピラになっている。
 つまりはあの怪獣、ただのキングギ〇ラ×3ではなく、とてつもなくでかい恐竜戦車でもあるというわけだ。
「行くぞ、阿修羅!」
 アンアンが巨大化した。
「ほいきた!」
 阿修羅が後に続いた。
 連戦のため、ふたりともほぼオールヌードである。
 ふたりの巨大裸美少女が、豊満な胸を揺らして怪獣めがけ、駆け出した。
 出るか? X攻撃?
 固唾を呑んで見守る僕ら。
 アンアンと阿修羅が、空に向かって大きくジャンプする。
 空中で膝を抱え、回転しながらクロスするふたつの女体。
 おお。
 そのシルエットたるや、まさに空中に描かれたXの文字である。
「キターーーー!」
 わけもなく、一ノ瀬が絶叫した。
 と、不思議な現象が起こった。
 すさまじい光が爆発し、一瞬にして、ふたつの影を呑み込んだのだ。
 ハレーションが視界いっぱいにさく裂し、しばらくの間、何も見えなくなった。
「な、なんだ? 何が起きたんだ?」
 少しずつ、視力が戻ってくる。
「うは、あれを見ろ」
 一ノ瀬が言って、腕を伸ばし、前方を指差した。
 光が薄れたその場所に、見上げるような巨人が立っている。
 後光のようにひるがえる真白な髪。
 9頭身の完璧な肢体。
 黄金比に支配され、エロを超越したバストとヒップのシルエット。
 きりりとした美しすぎる横顔には、アンアンと阿修羅、両方の面影がある。
「アンアンと阿修羅が、が、合体した?」
 一ノ瀬がうめいた。
「どうやら、そのようですね。すごいです。素晴らしいです。あのお姿は、まさに地獄に降臨した女神さまです」
 と、これは玉。
 言い得て妙だった。
 大地と天の境に屹立する美の化身。
 それは女神以外のなにものでもなかった。
 しかもあの大きさ。
 今までのアンアンや阿修羅の巨大化の比ではない。
「ほほう、あれが究極の技、X攻撃ですか」
 感心したように、ナイアルラトホテップが言う。
「なるほど、ひとりひとりでは、あの巨大な九頭竜に勝つのは至難の業。しかし、王女ふたり分のパワーが融合すれば、そのエネルギー総量は倍ではなく、累乗になる。だからあの通り、ほぼ九頭竜と同じサイズにまで巨大化できたわけです。ふむ、これは面白いことになってきましたね」
「タキシード仮面さまったら、面白がってちゃ、ダメですよ」
 玉が邪神をたしなめた。
「あの女神さまが負けちゃったら、その時は玉、いよいよ核ミサイルを撃たなきゃなんないんですからあ」
 
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