60 / 249
第3章 阿修羅王
#21 アンアン、乱れる
しおりを挟む
それは、あまりといえばあまりにヤバい光景だった。
隣で一ノ瀬がごくりとつばを飲み込み、身体をごそつかせるのがわかった。
「まずいよ、元気、俺、なんか、その、ボッキしてきちゃったみたいなんだけど…」
「うるさい」
僕は一ノ瀬の側頭部に頭突きをかまして黙らせた。
いちいち言われるまでもない。
サマエルに責められるアンアンは、恐ろしくエロチックで、扇情的だった。
十字架にかけられたその豊満な肢体に、何十本にも分かれた魔人の舌がからみついていく。
熟れ過ぎた果実のようなふたつの乳房が、根元からぐるぐる巻きにされ、ぐいぐいと絞られていく。
その頂で痛いほど屹立した乳首を、鎌首をもたげた舌が、その先に開いた口でチュウチュウと音を立てて吸い始める。
「やめろ…」
悶えるアンアン。
「だ、だめだったら、ああ…」
苦しがっているのではない。
明らかに、感じてしまっているのだ。
僕の胸の底で、どす黒い感情がマグマのように沸き上がった。
怒り、ではない。
それは、すさまじいまでの嫉妬だった。
「アンアンを放せ!」
反射的に、そう叫んでいた。
これまで、僕にとって、アンアンはかなり微妙な存在だった。
押しかけ下宿人というか、押しかけ女房候補というのか、正直、どう扱っていいのかわからない、そんな厄介なお荷物みたいなものだったのだ。
それが、変わった。
僕が無意識のうちに、胸の奥の底に押し込めていた裏の感情。
それが一気に表に迸り出た感じだった。
「アンアンは、俺の、俺の…!」
が、サマエルには、僕ら虫けらの声は一切聞こえないかのようだった。
相変わらずいやらしく蠢きながら、舌がアンアンの白い肌の上を這い回る。
やがて一本がアンアンの唇を割り、口の中に潜り込んでいった。
「はうっ」
恍惚となったアンアンの唇の端から、つうっと一筋、よだれが垂れた。
小刻みに痙攣する下腹を下降したもう一本は、今にもパンティに到達しようとしている。
「た、たまんねえ」
一ノ瀬が喘いだ。
一ノ瀬は生まれたままの丸裸である。
見るまでもなく、股間ではあれが天を指してそびえ立っているに違いない。
「くそっ!」
僕はがたがたと身体をゆすった。
このままでは、アンアンが犯されてしまう。
こんなことなら、遠慮せずに、先にこの俺が…。
そう、痛切に後悔したことは、確かである。
だが、手首に食い込んだ戒めは思いのほか強力で、僕の力ではびくともしない。
そうしている間にも、サマエルの舌はアンアンのちっちゃなパンティのクロスの部位に到達し、その隙間に潜り込もうとしている。
「どうだ? 気持ちいいか?」
サマエルがいたぶるような口調で言った。
「もっと気持ちよくなりたいか?」
アンアンは、はあはあ喘ぐばかりだ。
首を縦に振らないのは、せめてもの抵抗のつもりらしい。
「さあ、好きだと言ってみろ。サマエルさま、愛してます、と」
万事休すだった。
ここでうなずいたが最後、アンアンはこの赤い魔人の花嫁決定ということになるに違いない。
それだけは、なんとしてでも、避けなければ…。
「やあん、ああああっ!」
ふいにアンアンが、今まで聞いたこともないような甘ったるい声を発して、がくんと大きくエビぞった。
「くうっ」
僕は歯ぎしりした。
ついに、舌がパンティの中に潜り込んだのだ。
隣で一ノ瀬がごくりとつばを飲み込み、身体をごそつかせるのがわかった。
「まずいよ、元気、俺、なんか、その、ボッキしてきちゃったみたいなんだけど…」
「うるさい」
僕は一ノ瀬の側頭部に頭突きをかまして黙らせた。
いちいち言われるまでもない。
サマエルに責められるアンアンは、恐ろしくエロチックで、扇情的だった。
十字架にかけられたその豊満な肢体に、何十本にも分かれた魔人の舌がからみついていく。
熟れ過ぎた果実のようなふたつの乳房が、根元からぐるぐる巻きにされ、ぐいぐいと絞られていく。
その頂で痛いほど屹立した乳首を、鎌首をもたげた舌が、その先に開いた口でチュウチュウと音を立てて吸い始める。
「やめろ…」
悶えるアンアン。
「だ、だめだったら、ああ…」
苦しがっているのではない。
明らかに、感じてしまっているのだ。
僕の胸の底で、どす黒い感情がマグマのように沸き上がった。
怒り、ではない。
それは、すさまじいまでの嫉妬だった。
「アンアンを放せ!」
反射的に、そう叫んでいた。
これまで、僕にとって、アンアンはかなり微妙な存在だった。
押しかけ下宿人というか、押しかけ女房候補というのか、正直、どう扱っていいのかわからない、そんな厄介なお荷物みたいなものだったのだ。
それが、変わった。
僕が無意識のうちに、胸の奥の底に押し込めていた裏の感情。
それが一気に表に迸り出た感じだった。
「アンアンは、俺の、俺の…!」
が、サマエルには、僕ら虫けらの声は一切聞こえないかのようだった。
相変わらずいやらしく蠢きながら、舌がアンアンの白い肌の上を這い回る。
やがて一本がアンアンの唇を割り、口の中に潜り込んでいった。
「はうっ」
恍惚となったアンアンの唇の端から、つうっと一筋、よだれが垂れた。
小刻みに痙攣する下腹を下降したもう一本は、今にもパンティに到達しようとしている。
「た、たまんねえ」
一ノ瀬が喘いだ。
一ノ瀬は生まれたままの丸裸である。
見るまでもなく、股間ではあれが天を指してそびえ立っているに違いない。
「くそっ!」
僕はがたがたと身体をゆすった。
このままでは、アンアンが犯されてしまう。
こんなことなら、遠慮せずに、先にこの俺が…。
そう、痛切に後悔したことは、確かである。
だが、手首に食い込んだ戒めは思いのほか強力で、僕の力ではびくともしない。
そうしている間にも、サマエルの舌はアンアンのちっちゃなパンティのクロスの部位に到達し、その隙間に潜り込もうとしている。
「どうだ? 気持ちいいか?」
サマエルがいたぶるような口調で言った。
「もっと気持ちよくなりたいか?」
アンアンは、はあはあ喘ぐばかりだ。
首を縦に振らないのは、せめてもの抵抗のつもりらしい。
「さあ、好きだと言ってみろ。サマエルさま、愛してます、と」
万事休すだった。
ここでうなずいたが最後、アンアンはこの赤い魔人の花嫁決定ということになるに違いない。
それだけは、なんとしてでも、避けなければ…。
「やあん、ああああっ!」
ふいにアンアンが、今まで聞いたこともないような甘ったるい声を発して、がくんと大きくエビぞった。
「くうっ」
僕は歯ぎしりした。
ついに、舌がパンティの中に潜り込んだのだ。
0
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
女子切腹同好会
しんいち
ホラー
どこにでもいるような平凡な女の子である新瀬有香は、学校説明会で出会った超絶美人生徒会長に憧れて私立の女子高に入学した。そこで彼女を待っていたのは、オゾマシイ運命。彼女も決して正常とは言えない思考に染まってゆき、流されていってしまう…。
はたして、彼女の行き着く先は・・・。
この話は、切腹場面等、流血を含む残酷シーンがあります。御注意ください。
また・・・。登場人物は、だれもかれも皆、イカレテいます。イカレタ者どものイカレタ話です。決して、マネしてはいけません。
マネしてはいけないのですが……。案外、あなたの近くにも、似たような話があるのかも。
世の中には、知らなくて良いコト…知ってはいけないコト…が、存在するのですよ。
【完結】知られてはいけない
ひなこ
ホラー
中学一年の女子・遠野莉々亜(とおの・りりあ)は、黒い封筒を開けたせいで仮想空間の学校へ閉じ込められる。
他にも中一から中三の男女十五人が同じように誘拐されて、現実世界に帰る一人になるために戦わなければならない。
登録させられた「あなたの大切なものは?」を、互いにバトルで当てあって相手の票を集めるデスゲーム。
勝ち残りと友情を天秤にかけて、ゲームは進んでいく。
一つ年上の男子・加川準(かがわ・じゅん)は敵か味方か?莉々亜は果たして、元の世界へ帰ることができるのか?
心理戦が飛び交う、四日間の戦いの物語。
(第二回きずな児童書大賞で奨励賞を受賞しました)
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる