夜通しアンアン

戸影絵麻

文字の大きさ
65 / 249
第4章 海底原人

#1 アンアンと夏休み①

しおりを挟む
 ついにやってきた。
 待ちに待った終業式。
 通知表なんて、この際どうでもいい。
 所詮、大学入試なんてまだ先なんだし、それより高校生活最初の夏休みをいかに充実させるか。
 そのほうが大切に決まっているからだ。
 だけど、正直言って、今年の夏休みは今までとずいぶん勝手が違う。
 ひとり暮らし最初の夏休みといえば解放感オンリーといってよさそうなものなのだが、僕にはあいにく同居人がいる。
 魔界から押しかけてきた魔王の娘、ダイナマイトバディの持ち主、アンアンである。
 アンアンは一見すこぶるつきの美少女だが、残念なことに人間の範疇を大きくはずれてしまっている。
 まず、空を飛ぶ。
 素手で鉄筋コンクリートのビルをも砕いてしまう。
 怒ると空間それ自体に穴を開けてしまうほど、その威力はすさまじい。
 更に時々巨大化することがある。
 そして何よりも問題なのは、残る3人の花婿候補に絶えずつけ狙われていることだ。
 花婿候補といっても、当然のことながら、相手は全員人間ではない。
 これまで倒した3人もそうだった。
 地獄の渡し守、カロン。
 蠅の王、ベルゼブブ。
 神の毒、サマエル。
 みんな、はっきりいって、怪獣みたいなものだったのだ。
 夏休みになって、学校の授業がなくなるということは、僕はそのアンアンと40日間、ずっとひとつ屋根の下で顔を突き合わせて暮らすことになるわけだ。
 これを幸福と見るか不幸ととらえるべきなのか、極めて微妙なところだった。
 だから終業のチャイムが鳴り終わった瞬間、確かにクラスのみんなと一緒に快哉を叫んだ僕だったのだが…。
 その直後、突然の鬱にとりつかれて、机の上にがっくりと沈み込んでしまったのである。

しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

三分で読める一話完結型ショートホラー小説

ROOM
ホラー
一話完結型のショートショートです。 短いけれど印象に残るそんな小説を目指します。 毎日投稿して行く予定です。楽しんでもらえると嬉しいです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

四代目 豊臣秀勝

克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。 読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。 史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。 秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。 小牧長久手で秀吉は勝てるのか? 朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか? 朝鮮征伐は行われるのか? 秀頼は生まれるのか。 秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?

処理中です...