90 / 249
第5章 見えない侵略者
#7 トラップ阿修羅
しおりを挟む
「一寸法師だって?」
思わず吹いた。
それが6番目?
「ふつうさ、ラスボスって、一番強いやつがなるんじゃないのか? 三途の川の渡し守、蠅の王、堕天使、クトゥルフの魔神、破壊神の次が、なんで日本昔話になるんだよ」
だって、一寸法師なんて、どう考えてもHP少なすぎだろ?
僕の抗議に、
「俺が知るかよ。とにかく6番目はあいつなんだ。アンダーバベルでたまに見かけたが、目立たないチンケな野郎だよ。もっとも、目立たないというより、ちっこすぎて見えないってのがほんとなんだけどな」
などとほざいて、阿修羅がくっくと笑った。
「じゃ、ほっとけばいいんじゃないのか。そんな無害なやつならさ」
「やつが無害だという証拠はどこにもない。案外、すごい能力を持っているかもしれん。ただちっこすぎで、よく見えないだけでな」
「とにかく、おまえの推理が正しければ、その一寸法師とやらは、この家の中に居るというんだな?」
「たぶん。おそらく俺のパンティで、この家のどこかに巣作りでもしてるんだろう」
「パンティで巣? なんだよそれ」
「というわけだ。だから元気、まずは俺を手伝え。アンアン争奪戦はその後だ。先に邪魔な一寸法師を成敗しよう」
「まあ、それはいいけど…。で、どうするんだ?」
「この家中に、罠を仕掛ける。いわばトラップというやつだ。近所にホームセンターはないか?」
「あるけど、一寸法師用のトラップが、そんなところに売っているのか?」
「たぶん。まあ、探してみよう。資金は割り勘だ。えさ代も必要だしな」
というわけで、阿修羅が買ってきたのは、昔ながらの金網式ネズミ捕り10個だった。
中にえさをつるすフックがあり、それをネズミが引っ張ると落とし戸が閉まるというあれである。
「こんなのに引っかかるのか? 一寸法師といえども、アンアンに求婚するからには、魔界の貴公子のひとりなんだろう?」
半信半疑でたずねると、
「なあに、魔界の住人なんて、俺以外はたいてい馬鹿さ。前の前のサマエルも、この前のダゴンもそうだっただろう? 魔人というのは、特殊能力を持っている分、自信過剰気味で己の欲望優先なんだ。力で何とでもなると思ってるから、ほとんど何も考えてないんだよ。その意味では、頭の出来は人間のほうがよっぽどましなんじゃないかな」
しれっとした顔で、阿修羅はそんなことを言った。
「そうなのか?」
「ああ、だから、このトラップに一寸法師の大好物を仕掛けておけば、まず間違いなく引っかかるはずだ」
「なんなんだ? その、大好物って?」
「きび団子だ」
阿修羅が胸を張って言い切った。
「日本昔話といえば、きび団子。な、そうだろう? そうじゃないか?」
思わず吹いた。
それが6番目?
「ふつうさ、ラスボスって、一番強いやつがなるんじゃないのか? 三途の川の渡し守、蠅の王、堕天使、クトゥルフの魔神、破壊神の次が、なんで日本昔話になるんだよ」
だって、一寸法師なんて、どう考えてもHP少なすぎだろ?
僕の抗議に、
「俺が知るかよ。とにかく6番目はあいつなんだ。アンダーバベルでたまに見かけたが、目立たないチンケな野郎だよ。もっとも、目立たないというより、ちっこすぎて見えないってのがほんとなんだけどな」
などとほざいて、阿修羅がくっくと笑った。
「じゃ、ほっとけばいいんじゃないのか。そんな無害なやつならさ」
「やつが無害だという証拠はどこにもない。案外、すごい能力を持っているかもしれん。ただちっこすぎで、よく見えないだけでな」
「とにかく、おまえの推理が正しければ、その一寸法師とやらは、この家の中に居るというんだな?」
「たぶん。おそらく俺のパンティで、この家のどこかに巣作りでもしてるんだろう」
「パンティで巣? なんだよそれ」
「というわけだ。だから元気、まずは俺を手伝え。アンアン争奪戦はその後だ。先に邪魔な一寸法師を成敗しよう」
「まあ、それはいいけど…。で、どうするんだ?」
「この家中に、罠を仕掛ける。いわばトラップというやつだ。近所にホームセンターはないか?」
「あるけど、一寸法師用のトラップが、そんなところに売っているのか?」
「たぶん。まあ、探してみよう。資金は割り勘だ。えさ代も必要だしな」
というわけで、阿修羅が買ってきたのは、昔ながらの金網式ネズミ捕り10個だった。
中にえさをつるすフックがあり、それをネズミが引っ張ると落とし戸が閉まるというあれである。
「こんなのに引っかかるのか? 一寸法師といえども、アンアンに求婚するからには、魔界の貴公子のひとりなんだろう?」
半信半疑でたずねると、
「なあに、魔界の住人なんて、俺以外はたいてい馬鹿さ。前の前のサマエルも、この前のダゴンもそうだっただろう? 魔人というのは、特殊能力を持っている分、自信過剰気味で己の欲望優先なんだ。力で何とでもなると思ってるから、ほとんど何も考えてないんだよ。その意味では、頭の出来は人間のほうがよっぽどましなんじゃないかな」
しれっとした顔で、阿修羅はそんなことを言った。
「そうなのか?」
「ああ、だから、このトラップに一寸法師の大好物を仕掛けておけば、まず間違いなく引っかかるはずだ」
「なんなんだ? その、大好物って?」
「きび団子だ」
阿修羅が胸を張って言い切った。
「日本昔話といえば、きび団子。な、そうだろう? そうじゃないか?」
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる