絶対絶命女子!

戸影絵麻

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#10

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 先走りすぎはよくない。
 あの夜の出来事について、少し話を戻そう。
 なぜって、その怪事件こそが本格的な発端だという気がするからだ…。


 都会ではコンビニというと24時間営業が基本って感じだろうけど、うちの店はそうじゃない。
 夜の10時には店じまいしてしまう。
 なんたって、こんな田舎じゃ、夜中なんて誰も外を出歩かないからだ。
 それに、労働力の問題もある。
 店番できるのは、私を含めた家族3人と、バイトの五郎君、そして今から紹介する由羅だけなのだ。
 特に私と由羅は未成年で、法律上深夜勤務は無理である。
 というわけで10時閉店。
 でも、誰からもクレームがきたことなんてない。

 五郎君に代わって遅番の榊由羅がやってきたのは、夜の7時を少し回った頃のことだった。
 由羅は私よりひとつ年上の、高校1年生。
 榊由羅と書いて、「さかきゆら」と読む。
 岐阜市にある、あまり評判のよくない私立高校に通っている。
 評判が良くないというのは、私の偏見ではない。
 今時珍しく番長とかスケ番が闊歩してるって意味で、この界隈では有名な学校だからだ。
 だから、当然由羅自身、バリバリの武闘派である。
 花のJKという気配はどこにもなく、浅黒い肌と、逆立った髪の毛、そして目の周りに塗ったパンダみたいなシャドウがトレードマークの、いかにも田舎のヤンキー予備軍といった感じのコワモテ女子なのだ。
「わりいわりい」
 カウンターの私を見るなり、由羅が悪びれたふうもなくそう言った。
 迷彩色のタンクトップにショートパンツといった格好で、その間からのぞく腹筋は見事なまでに割れている。
 学校帰りにキックボクシングを習っているからである。
 ちなみに由羅がバイトに応募してきた理由は、そのジム代を稼ぐためらしい。
「遅刻分、給料から引くからね」
 冷たい声で言ってやると、
「あんだとお」
 コンビニ強盗みたいにカウンターに身を乗り出し、パンダの眼ですごんできた。
「あ、パワハラ発言。店長に報告するね」
「わかった。わかったって」
 いつものあいさつだから、由羅も長く絡んできたりはしない。
「わかったら、さっさと着替えてきて」
「うざいちびだな」
「ふん、背の高さは変わんないでしょ。体重は由羅のが重いけど」
「ほっとけ」
 
 その時である。
 ギギギギと自動ドアが開いて、ふらりとあの奇妙な客が店に入ってきたのは。





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