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第1章 転校生
♯1 呪い
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私のマスクはブラジャーに似ている。
なぜなら口を覆う部分がふたつ繋がっているからだ。
だからといって、別に受けを狙っているわけではない。
私には生まれつき口が2つある。
右から見ても、左から見ても口が正面を向いている。
だからこの形でないと、口を隠しきれないのだ。
赤ん坊の頃は、俗にいう”みつくち”という奇形だったらしい。
それが成長するにつれ、完全にふたつに分かれてしまったというわけだ。
理由なんてわからない。
たぶん母のクソDNAが毒を持っていたのだろう。
顔面の奇形以外はきわめて正常だったから、私は小学中学高校と普通の学級に通っている。
物覚えもいいし計算も速いから、先生たちも外見だけで特殊学級行きを勧めるわけにいかなかったのだ。
第一、そんなことは私の母が許さない。
母は体重150キロの化け物である。
いわゆるモンスターペアレントというやつで、怒り出すと手がつけられない。
生活保護で暮らしているくせに、パチンコ屋の常連だし、ネットで競馬もやっている。
以前そのことで生活保護打ち切りの連絡に来た市の職員は、母の逆鱗に触れ、全治2か月の重症を負い、入院した。
そんな下衆な母親が私は大嫌いだったが、残念なことに趣味が共通していた。
美しい物を汚すこと。
母も私もそれが生き甲斐だったのだ。
そして、今になって思う。
それは同時に、私たち母娘にかけられた呪いだったのではなかったのか、と。
なぜなら口を覆う部分がふたつ繋がっているからだ。
だからといって、別に受けを狙っているわけではない。
私には生まれつき口が2つある。
右から見ても、左から見ても口が正面を向いている。
だからこの形でないと、口を隠しきれないのだ。
赤ん坊の頃は、俗にいう”みつくち”という奇形だったらしい。
それが成長するにつれ、完全にふたつに分かれてしまったというわけだ。
理由なんてわからない。
たぶん母のクソDNAが毒を持っていたのだろう。
顔面の奇形以外はきわめて正常だったから、私は小学中学高校と普通の学級に通っている。
物覚えもいいし計算も速いから、先生たちも外見だけで特殊学級行きを勧めるわけにいかなかったのだ。
第一、そんなことは私の母が許さない。
母は体重150キロの化け物である。
いわゆるモンスターペアレントというやつで、怒り出すと手がつけられない。
生活保護で暮らしているくせに、パチンコ屋の常連だし、ネットで競馬もやっている。
以前そのことで生活保護打ち切りの連絡に来た市の職員は、母の逆鱗に触れ、全治2か月の重症を負い、入院した。
そんな下衆な母親が私は大嫌いだったが、残念なことに趣味が共通していた。
美しい物を汚すこと。
母も私もそれが生き甲斐だったのだ。
そして、今になって思う。
それは同時に、私たち母娘にかけられた呪いだったのではなかったのか、と。
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