激甚のタナトス ~世界でおまえが生きる意味について~【覚醒編】

戸影絵麻

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第3部 凶愛のエロス

#15 拷問

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 壁際のキャビネットを動かして、ドアを塞ぐ。
 大人の男ふたりがかりでも動かせないほどの重量だが、黒野零には造作もない。
 骨密度、筋肉の強靭さ、ミトコンドリアの性能、すべてにおいてヒトを上回っているのだ。
 腰に下げたポシェットを開ける。
 ステンレス製のクリップふたつ、極細の針金の束、ゴム紐のついたゴムボールを取り出し、テーブルの上に並べた。
 常時携帯している七つ道具だった。
 手術台のベッドで由羅がうめいた。
 目を覚ましかけているのだ。
 側に行くと、零は右の拳で由羅の鳩尾を力任せに殴った。
 拳が少女の腹に深々とめり込んだ。
 ぐう。
 喘ぎ、
 少女が激痛に顔をしかめた。
 零のパンチはおそろしく重い。
 由羅の下腹は良く鍛えてあり、筋肉も締まっていたが、更に三発連打すると気を失って動かなくなった。
 針金を、糸切り歯で適度な長さに噛み切った。
 気絶している少女の両腕を後ろに回し、腰の辺りで手首を縛る。
 脚が左右に開くように、別々に足首を縛って手術台の脚部に縛りつける。
 最後の仕上げに、口の中にゴムボールをねじ込み、ゴムバンドで後頭部に固定した。
「いい眺め」
 脚を大きく開いて、薄い下着に包まれた股間を曝け出している少女を眺め、零は満足げにつぶやいた。
 セーラー服の前を、メスで縦に切り裂いた。
 白いスポーツブラが現れる。
 力任せに毟り取った。
 小ぶりの乳房がこぼれ出た。
 成熟にはまだ遠いが、それなりに形のいいふくらみである。
 薄青く静脈の浮いた、真っ白い肌。
 薄桃色の乳首がふたつ、つんと誘うように上を向いていた。
 隠花植物のように淫靡な眺めだった。
 足元を這う電気コードをコンセントから抜き、二本ちぎり取った。
 差し込みプラグのついているほうを手に持った。
 断面の側のビニールを剝いて、導線をむきだしにする。
 その先にクリップを取りつけた。
 気を失った少女の乳房を、丹念に愛撫する。
 腋のあたりから乳房のつけ根にかけてをじっくりもみほぐし、徐々に乳首に愛撫の手を近づけていく。
 充分じらしたところで乳首の先端を掌で撫で回し、仕上げに指で二、三度つまんで軽くひっぱると、これ以上ないくらい硬くなった。
 そのはしたないほど尖った乳首を、クリップで挟む。
 クリップには配線コードがつながり、その先はプラグに続いている。
「準備完了ね。さ、どうなるかな」
 零はにやりと笑った。
 異様に扇情的な光景だった。
 セーラー服の少女が両手両脚を針金で縛られ、裸の胸をさらしている。
 口にゴムボールをねじ込まれ、気を失ってがっくりとうなだれている。
 脚は大きく開脚し、白い下着が丸見えだ。
 パンティの生地が薄く、ぴったりフィットしすぎているせいで、割れ目の筋がくっきりと見えていた。
 そこには、大人の女以上に、倒錯したエロスが漂っていた。
 乳首から伸びた2本のコードを、軽く引っ張ってみる。
 勃起し切った乳首が、限界まで引かれて伸びる。
 由羅がうめいた。
 ゴムボールをつめこまれた口の端から、透明な涎が垂れていた。
「いくよ」
 零はささやいた。
 胸がどきどきする。
 興奮で、脚が震えだしそうだった。
 尖った乳首が、セーラー服の裏地に当たって痛いほどだ。
 股間はすでにじっとりと潤い切っており、太腿の内側を膣から溢れ出した愛液が伝うのがわかった。
 零は期待に震える手で、少女の乳首とつながったコードのプラグを、一気にコンセントへと差し込んだ。

 ベッドを覆っていたビニールシートは取り払われていた。
「すばらしいね、キミは」
 看護師と一緒に入ってきた医師は、杏里を触診するなり、感嘆の声を上げた。
 銀縁眼鏡の奥の小さな目が、驚きのあまりまん丸になっている。
 初めて見る、外科担当の初老の医師だった。
「あらかじめ"上"から話は聞いていたが、驚異的な回復力だよ。腕も背骨もすっかりもとに戻っている。この様子じゃ、おそらく内臓のほうも問題なさそうだな」
「診察室の準備はできています」
 若い看護師がいって、車椅子をベッドの脇につける。
「では、私は先に行ってるから、着替えさせたら、つれてきてくれたまえ」
 医師が出て行くと、看護師が持ってきた新しい病衣を取り出した。
「汗びっしょりでしょ。まず、お着替えしましょうね。下着の替えもあるから、心配要らないわ」
 いわれるまま、杏里は病衣を脱いだ。
 下は裸だった。
 尻をずらして、パンティも脱ぐ。
 動くとまだ腰に鈍い痛みが走った。
「ちょっとお体拭きますね」
 看護師が杏里の裸体をガーゼで拭き始める。
 次第に頬が紅潮し、息遣いが粗くなっていく。
「素敵な体ね・・・」
 潤んだ目で見つめてきた。
 杏里はうんざりした。
 この人。
 性懲りもなく、またフェロモンに冒されかけているのだ。
「ああ・・・」
 喘ぎながら、女が覆いかぶさってきたときだった。
 ふいに、黒い影がその後ろに立った。
 鈍い音がした。
 女がベッドの足元に崩れ落ちる。
「あ」
 見上げて、杏里は小さく叫んだ。
 見知った少年が、そこに立っていた。
「杏里・・・」
 少年が、うわ言のようにいった。
「会いたかった・・・」
 目つきがおかしい。
 いつもの彼じゃない。
 少年が、ひきちぎるように制服を脱いだ。
 その下は裸だった。
 続いて、ズボンをかなぐり捨てた。
 奇怪な形状のものが、その股間から屹立していた。
 見覚えがあった。
 蛇のように反り返り、あちこちから棘の突き出た巨大な陰茎である。
 少年が左手でしごくと、見る間に膨張し、1m近い長さになった。
「翔太君」
 杏里は茫然とつぶやいた。
「あなたが、外来種だったの・・・?」
 翔太がうなずき、右の掌を差し出した。
 開いた掌には、痣があった、
 杏里の胸に刻まれたのと同じ、雪の結晶の形をした六角形の黒い痣だ。
 杏里は両腕で胸を隠し、ベッドの上をあとじさった。
 自分が全裸であることを、痛いほど意識しながら・・・。



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