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第6部 淫蕩のナルシス

#26 悪魔の交尾

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 執拗な愛撫が始まった。
 舌と指を使って、ヤチカが背後から杏里を責め始めたのだ。
 杏里は積極的に腰を振って、その愛撫に応えた。
 これから起こることを考慮に入れれば、どんなに濡れても濡れすぎるということはない。
「もうグチョグチョだね」
 杏里の股間を覗き込みながら、ヤチカがいう。
 襞を引っ張り、クリトリスをいじっている。
 皮を剝かれ、男性器の亀頭に相当する部分を触られると、さすがに痺れるような快感が背筋を貫いた。
「ま、まだよ」
 腰をゆるやかにくねらせながら、杏里はいった。
「まだ、入れないで」
「じゃ、さっきのを使ってみるよ」
 ヤチカが離れる気配がした。
 カチッと音がして、器具のうなる音が聞こえてくる。
 2本同時にスイッチを入れたらしく、音がだぶっていた。
「さあ、これでどうだい?」
 太いほうが、膣に入ってきた。
「あ、」
 杏里はのけぞった。
 次の瞬間、枝分かれした細いほうがアナルに差し込まれた。
「ああ」
 こちらも充分感じるようになっていた。
 悶え始めた杏里の横に膝をつき、
「ここもかわいがってあげなきゃね」
 ヤチカが電動マッサージ器を垂れ下がった乳房に押し当ててきた。
 杏里は首を振った。
 髪が広がり、汗が飛び散った。
 ヤチカがその杏里の髪の毛をつかみ、顔をのけぞらせる。
 顔を近づけると、唇を舌で舐めてきた。
 杏里は誘い込むように口を開けた。
 ヤチカの舌が入ってきた。
 舌と舌を絡め、吸い合った。
 ヤチカの唾液が流れ込んでくる、
 それを、喉を鳴らして飲んだ。
 ヤチカが杏里の舌を唇で挟み込み、強く吸ってきた。
「あう」
 杏里の全身が痙攣し始める。
 腹筋が波打ち、脇の肉が震える。
 舌と乳房と性器とアナルを同時に責められ、体中の神経が発火したかのようだった。
 両手の自由が利かない分、倒錯した官能が杏里を更に興奮させていた。
 私、いじられてる・・・。
 こんなに、恥ずかしい格好で・・・。
 腰をくねらせ、尻を振り、体をよじった。
「い、いく」
 ヤチカに舌を吸われながら、杏里は喘いだ。
「い、いっちゃう」
 膣から生温かいものがほとばしるのがわかった。
「きょう何度目かな」
 ヤチカがくすりと笑い、杏里を解放する。
 器具を抜かれるときの快感で、杏里はまたしても体をびくつかせた。
 はぁはぁはぁはぁ・・・。
 肩で息をしながら。杏里は肩越しに背後を振り返った。
 ヤチカのペニスに目をやる。
 計算通りだった。
 さっきより、かなり大きくなっている。
 それは今や鋭角にそそり立ち、ヤチカの平らな腹につかんばかりに硬くなっていた。
 問題はここからだ。
 痺れの残る頭で杏里は考える。
 あの二股に分かれた先端が、同時に一箇所に入ってくると、やっかいなことになる。
 いくら強靭な杏里の子宮でも、じきに破れてしまうに違いない。
「お願いがあるの」
 ねだるように、杏里はいった。
「あなたの、そのおちんちんなら、同時に2箇所、責められるでしょ?」
「まあね」
 ヤチカがいった。
「それはまだやったことがないけど」
「私、アナルも感じるようになってるから、あそこと一緒に責めて欲しいの」
 ふふふ。
 ヤチカが含み笑いを漏らす。
「とことん淫乱なんだ、杏里ちゃんって」
「あなたの、そのたくましいおちんちんで、埋めて欲しいの」
 杏里は声にせいいっぱい媚をにじませる。
「杏里の、おまんこと、アナルを」
「いいよ」
 ヤチカがいった。
 近づいてくると、やにわに杏里の尻の肉を両手で掴んだ。
 膣の入り口に、硬く熱いものが当たる。
 同時に、肛門にも異物が触れた。
 ぬるり。
 杏里の腰が動いて、襞がヤチカの亀頭を咥えこむ、
「うっ」
 ヤチカが呻った。
 アナルに肉棒の片割れがめり込んできた。
 杏里の体内から、粘液が流れ出す。
 膣内、子宮、そして直腸を守るために、おびただしい粘液が生産されつつあった。
「すごい、よ。杏里ちゃん」
 ヤチカがうわ言のようにいった。
「こ、こんなに気持ちいいの、ほんとに久しぶりだ・・・」
 杏里の膣の中で、別種の生物のように襞という襞が蠢きだしていた。
 挿入されたペニスの亀頭部分をすっぽり包み込むと、じわじわと締めつけにかかる。
 ぴくぴくと動き、濡れ始めた亀頭を舐めまわした。
 それと同時に、肛門の括約筋がもう一方のペニスをがっちりと咥え込んでいた。
 これ以上中に入れさせない。
 ここで勝負をつけるんだ。
「いい、いいよ」
 ヤチカが喘ぐ。
「わ、私も」
 杏里はわざと子猫のような甘えた声を上げる。
「気持ちいいね、ヤチカさんの、おちんちん」
「い、いくよ」
 杏里の尻の肉を掴んだヤチカの両手に力がこもる。
「ああん」
 それに合わせて杏里は大きく右に左に尻を振った。
 膣とアナルのなかで、ヤチカのペニスがこねまわされる。
「う、動かないで!」
 ついに、ヤチカが叫んだ。
「で、出ちゃうよ!」
「一緒に、いって!」
 杏里が叫び返す。
「私だけいくのは、もういや! 一緒にイッて欲しいの!」
 腰を落とし、更にヤチカのペニスに刺激を与える。
 襞でペニスを固定したまま、尻を前後に激しく動かした。
 杏里の子宮の中で、ヤチカの亀頭が爆発するかのように大きく膨らんだ。
「あああああ!」
 ヤチカが絶叫した。
 どくんどくんどくん。
 驚くほど大量の精液が杏里の体内にほとばしった。
 ペニスが抜けた。
 床に崩れ落ちるヤチカ。
 杏里の膣から、どぼどぼと音を立てて白濁した糊状の液体がしたたり落ちる。
 ソファの背もたれを縛られた両手で強く掴んだまま、杏里は、深いため息をついた。
 ー勝ったのだ。

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