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第7部 蹂躙のヤヌス
#39 治療
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「さっき言ってたの、やってみてくれる?」
入ってきたふたりに、冬美が言った。
「いいいけど」
重人がうなずいた。
「でも、やったことないから、うまくいくかどうか、わかんないよ」
その声に、杏里は枕に頭をもたせかけ、ふたりのほうを見た。
重人は相変わらず、白いカッターシャツとだぶついたズボンのままである。
黒縁眼鏡と坊ちゃん刈りのせいで、ギャグマンガに登場するひと昔前の小学生みたいに見える。
その隣に稲盛いずなが佇んでいた。
初めて会った時に比べると、肌の艶もよく、顔つきもふっくらと女らしくなっている。
タナトスとしての経験を積んで、女性ホルモンの分泌が活性化したせいに違いない。
いずなも学校の制服のままだった。
白いセーラー服が、ほっそりした体によく似合っている。
「何する気なの?」
かすれた声で、杏里はたずねた。
砂漠を歩いた後のように、喉が干からびてしまっている。
「僕が”中継器”になって、君の興奮を、いずなに肩代わりさせる。興奮が去れば、それもちっちゃくなって、リングも外れるんじゃないかと思ってさ」
立てた膝の間から、重人が股間を見つめているのに気づいて、杏里はあわてて太腿を閉じた。
「やだ、じろじろ見ないで。この変態」
「失礼だなあ」
むうっと頬を膨らませる重人。
「何も見たくて見てるわけじゃないよ。杏里がそんな恰好してるのが悪いんだろ? 第一、前から言ってるように、僕はまだ第二次性徴期前だから、杏里の裸なんて見ても、何も感じない」
「今はそんなこと言ってるけど、あと1年もしたらどうだかね」
意地悪く杏里はからかった。
「そのうち盛りのついた雄犬みたく、私の後ろ追っかけてくるようになるんじゃない?」
「どうかな。仮に性的興味を覚える時期が来たとしても、杏里はちょっとタイプじゃないって気がするな」
重人はまじめくさった顔でそんなことを言う。
いつもながら、カチンと来る少年だ。
「ふん。それは悪うございました」
杏里が怒ってそっぽを向いた時、その重人が言った。
「ここじゃ、狭すぎる。3人並んで寝られる和室がいいな。隣の10畳間に布団を敷いて、そこでやろう」
10分後。
広い畳の上に敷布団を3人分敷き、その左の端で、裸のまま杏里は仰向けになっていた。
真ん中に寝ているのは重人。
その右側がいずなである。
「いずなちゃん、大丈夫?」
心配になって、杏里は重人越しにいずなに声をかけた。
重人は、この身体のほてりをいずなに移すという。
そんなことが可能かどうかわからない。
でも、もし本当にそれが起こったとしたら…。
「私はいいの」
杏里のほうに顔を向けて、いずなが小さく微笑んだ。
「杏里の役に立てるなら、いずなは何でもするよ」
「あ、ありがとう…」
いつか、いずなと銭湯のタイルの上で交わった時のことを思い出す。
ついこの間のことなのに、ひどく懐かしい思い出になってしまった気がした。
それだけ私が汚れてしまったということなのか。
杏里は自虐的にそんなことを思った。
これで、戻れるのだろうか。
美里に会う前の、あの頃の自分に…。
でも、それでいいのだろうか。
私は果たしてそれを望んでいるといえるのか。
美里先生…。
もう一度、会いたい…。
「行くよ」
そんなことを考えていると、ふいに重人が言って、杏里の左手を握ってきた。
どうやらもう片方の手で、いずなの右手を握っているようだ。
「さ、ふたりとも、目を閉じて。肩の力を抜いて、リラックスするんだ」
言われた通り、目を閉じる。
大きくひとつ息を吐いて、やわらかい布団に身をゆだねた。
そのとたんである。
「ああっ」
突然、いずなが声を上げた。
「くうっ」
ごそごそ身体を動かす気配がする。
驚いて、杏里は薄目を開け、そのほうを見た。
目を閉じて横たわる重人の向こうで、セーラー服姿のいずなが身もだえている。
セーラー服の上から胸をつかみ、両膝を高く立てていた。
「いずなちゃん…」
杏里の目の前でいずながオナニーを始めるのに、長くはかからなかった。
入ってきたふたりに、冬美が言った。
「いいいけど」
重人がうなずいた。
「でも、やったことないから、うまくいくかどうか、わかんないよ」
その声に、杏里は枕に頭をもたせかけ、ふたりのほうを見た。
重人は相変わらず、白いカッターシャツとだぶついたズボンのままである。
黒縁眼鏡と坊ちゃん刈りのせいで、ギャグマンガに登場するひと昔前の小学生みたいに見える。
その隣に稲盛いずなが佇んでいた。
初めて会った時に比べると、肌の艶もよく、顔つきもふっくらと女らしくなっている。
タナトスとしての経験を積んで、女性ホルモンの分泌が活性化したせいに違いない。
いずなも学校の制服のままだった。
白いセーラー服が、ほっそりした体によく似合っている。
「何する気なの?」
かすれた声で、杏里はたずねた。
砂漠を歩いた後のように、喉が干からびてしまっている。
「僕が”中継器”になって、君の興奮を、いずなに肩代わりさせる。興奮が去れば、それもちっちゃくなって、リングも外れるんじゃないかと思ってさ」
立てた膝の間から、重人が股間を見つめているのに気づいて、杏里はあわてて太腿を閉じた。
「やだ、じろじろ見ないで。この変態」
「失礼だなあ」
むうっと頬を膨らませる重人。
「何も見たくて見てるわけじゃないよ。杏里がそんな恰好してるのが悪いんだろ? 第一、前から言ってるように、僕はまだ第二次性徴期前だから、杏里の裸なんて見ても、何も感じない」
「今はそんなこと言ってるけど、あと1年もしたらどうだかね」
意地悪く杏里はからかった。
「そのうち盛りのついた雄犬みたく、私の後ろ追っかけてくるようになるんじゃない?」
「どうかな。仮に性的興味を覚える時期が来たとしても、杏里はちょっとタイプじゃないって気がするな」
重人はまじめくさった顔でそんなことを言う。
いつもながら、カチンと来る少年だ。
「ふん。それは悪うございました」
杏里が怒ってそっぽを向いた時、その重人が言った。
「ここじゃ、狭すぎる。3人並んで寝られる和室がいいな。隣の10畳間に布団を敷いて、そこでやろう」
10分後。
広い畳の上に敷布団を3人分敷き、その左の端で、裸のまま杏里は仰向けになっていた。
真ん中に寝ているのは重人。
その右側がいずなである。
「いずなちゃん、大丈夫?」
心配になって、杏里は重人越しにいずなに声をかけた。
重人は、この身体のほてりをいずなに移すという。
そんなことが可能かどうかわからない。
でも、もし本当にそれが起こったとしたら…。
「私はいいの」
杏里のほうに顔を向けて、いずなが小さく微笑んだ。
「杏里の役に立てるなら、いずなは何でもするよ」
「あ、ありがとう…」
いつか、いずなと銭湯のタイルの上で交わった時のことを思い出す。
ついこの間のことなのに、ひどく懐かしい思い出になってしまった気がした。
それだけ私が汚れてしまったということなのか。
杏里は自虐的にそんなことを思った。
これで、戻れるのだろうか。
美里に会う前の、あの頃の自分に…。
でも、それでいいのだろうか。
私は果たしてそれを望んでいるといえるのか。
美里先生…。
もう一度、会いたい…。
「行くよ」
そんなことを考えていると、ふいに重人が言って、杏里の左手を握ってきた。
どうやらもう片方の手で、いずなの右手を握っているようだ。
「さ、ふたりとも、目を閉じて。肩の力を抜いて、リラックスするんだ」
言われた通り、目を閉じる。
大きくひとつ息を吐いて、やわらかい布団に身をゆだねた。
そのとたんである。
「ああっ」
突然、いずなが声を上げた。
「くうっ」
ごそごそ身体を動かす気配がする。
驚いて、杏里は薄目を開け、そのほうを見た。
目を閉じて横たわる重人の向こうで、セーラー服姿のいずなが身もだえている。
セーラー服の上から胸をつかみ、両膝を高く立てていた。
「いずなちゃん…」
杏里の目の前でいずながオナニーを始めるのに、長くはかからなかった。
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