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第7部 蹂躙のヤヌス

#43 対抗心

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「仕留めるって…どうやって? 杏里には、何の攻撃手段もないのに」
「別に命を奪おうっていうんじゃない。私はただ、タナトスとして、けじめをつけたいだけ」
 重人の精神感応によって呪縛を解かれてから、少しずつ杏里の中で強くなってきた思い。
 それは、端的に表現すれば、いわば対抗心のようなものだった。
 美里に会いたい。
 その気持ちは変わらない。
 だが、ただ会うだけではつまらない。
 一時的にであれ、性の奴隷にされたあの屈辱を、美里に倍にして返してやりたい。
 その思いが強いのだ。
「でも、現に杏里は手も足も出なかったんだろ? また挑んだところで、同じことになるだけなんじゃ…」
「だから、あなたといずなちゃんの協力が欲しいのよ」
 重人のカッターシャツのボタンをはずしながら、杏里は言った。
「きのうやってくれたあの方法を使えば、いくら彼女のほうが上手でも、きっと返り討ちにできるはず」
「や、やだよ」
 重人の顔がひきつった。
「僕はもう、ごめんだね。あんな色欲地獄みたいなビジョンを見せつけられるのは」
「だから、今のうちに慣れておくんじゃない」
 カッターシャツをはだけて、重人のやせた胸をむき出しにする。
 干しブドウみたいな乳首を見つけると、杏里は無造作にそれを人差し指と親指でつまんだ。
 こよりをより合わせるように揉んでやると、
「はう…」
 重人が喉の奥で奇妙な声を上げた。
 もう片方の手で握ったペニスは、すでに一人前の固さを取り戻しているようだ。
「重人、ここ、弱いんだ」
 クリクリ乳首を弄びながら、杏里は忍び笑いを漏らした。
 干しブドウが早くもアンズほどの大きさに膨らみ、硬く尖ってきている。
「いいわ。先に私が色々してあげる」
「だめ、だよ…」
 重人が喘ぐ。
 かまわずカッターシャツを脱がせると、杏里は少年の裸の上半身に舌を這わせ始めた。
「や、やめて…・」
 悶える重人。
 乳首まで舐め回すと、今度はズボンのベルトに手をやった。
「脱いで」
「え?」
「裸になりなさい」
「で、できないよ…」
「すべて見せるの。たっぷりかわいがってあげるから」
 催眠術にかかったようなものだった。
 尻をずらして自分でズボンを脱ぎ捨てると、重人は杏里の前に立ちあがった。
「ほら、パンツも脱いで。勃起したおちんちん、私の目の前に出してごらん」
「ど、どうなっても、知らないよ」
 恥ずかしそうに腰をくねらせて、重人が下着を脱ぐ。
 杏里と同様、陰毛の一本も生えていない股間から、いきり立ったモノがそそり立っている。
 腹にくっつかんばかりに反り返ったそれを乱暴に握りしめると、杏里はぐいぐいしごき始めた。
 包皮がめくれ、ピンクの亀頭が出たり入ったりする。
 何度か繰り返すうちに、その先端がぬめぬめと光り始めた。
 発熱がすごいのだろう。
 よく見るとかすかに湯気を立てている。
「あ、杏里…」
 重人の尻がすとんと丸椅子の上に落ちた。
 よほど気持ちがいいのか、自分から足を開いて腰を前につき出してくる。
「イってもいいよ」
 杏里は右手でペニスをしごき、左手で右の乳首を責めながら、舌先でもう一方の乳首をつついた。
 乳頭のへこみにに固く尖らせた舌を突っ込み、唇で覆って強く吸ってやる。
「あ、あ、あ、あ、あ」
 重人が震え出した。
 視線が泳いでいる。
 鼻の頭にびっしりと汗の粒を浮かべていた。
 濡れ切った亀頭の表面に強く親指の腹を当て、力を込めてこすってやる。
 乳首を責めていた左手を股の間に回し、睾丸を手のひらで包み込む。
 そのまま、下からゆっくりと揉んでやる。
「い、いく」
 重人が自分から腰を前後に振り始めた。
「まずは美里の家を突き止めて」
 クライマックスに向けて両手をリズミカルに動かしながら、杏里は言った。
「約束してくれれば、もっともっと、気持ちよくしてあげるから」

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