激甚のタナトス ~世界でおまえが生きる意味について~【官能編】

戸影絵麻

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第8部 妄執のハーデス

#34 3匹の蛇

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 案の定、ふたりともすでに服を脱ぎ捨てていた。

 気づかれぬよう触手を体内に収納すると、杏里はじっくりとふたりの少女の裸身を観察した。

 杏里より頭ひとつ背の高い純は、一流アスリートのような引き締まった体つきをしている。

 二の腕にも太腿にも筋肉が盛り上がり、腹筋などは見事に割れているほどだ。

  ただ、その分、体格の割に胸は小さく、あまり女性らしさは感じられない。

 うってかわって傍らの唯佳は、着やせするたちなのか、意外にグラマラスな体型をしている。

 筋肉より脂肪の目立つその裸体は、全体的にぽっちゃりしていて、マシュマロのように柔らかそうだ。

 だが、腰や腹に贅肉が目立ち、豊満な分、凹凸に欠けるきらいがあった。

 これが最後のふたりなら。

 すうっと目を細めて、杏里は思った。

 私自身、少し楽しんでみてもいいかもしれない。

 黒板の上の掛け時計に目をやった。

 すでに社会科の時間は終了し、次の自習時間に入っている。

 3時限目が始まるまで、あと30分ほどあった。

 それだけあれば、十分だ。

「やっぱり、あなたは美里先生と同じ匂いがする」

 杏里の顔にじっと視線を当て、よく通る声で純が言った。

「あっという間にみんなをこんなふうにしてしまうなんて…。あなたたち、いったい何者?」

 教室の中は、淫靡な喘ぎ声や吐息で満ちていた。

 生徒たちはそろって床のあちらこちらにうずくまり、うつろな表情で自慰にふけっている。

 中には隣同士絡み合い、実際の行為を始めた男女もいるようだ。

 元々カップルだったというより、欲情に任せて手当たり次第くっついているという、そんな獣じみた印象だ。

 その光景に、杏里はちらっと違和感を覚えた。

 いつもの”浄化”後と、様子が違う。

 浄化の直後って、こんなふうだったかしら?

 が、それ以上考え込んでいる時間はなかった。

「ま、いいわ。あなたがたとえ、何者でも」

 純が長い腕を伸ばしてきた。

 むき出しの杏里の肩をつかむと、くるりと身体を半回転させ、後ろから杏里を羽交い絞めにする。

 純の両手が腋の下を通り、斜め下から杏里の乳房をつかんだ。

「唯佳、あんたもしたいんでしょ?」

 純が唯佳に飛びかけた。

「唯佳がこいつに興味あるの、ずっと前からわかってた」

「そんな…」

 所在投げに杏里の前に佇む唯佳の頬に、さっと赤みが差した。

「好きにしなよ。こいつはあたしたちに犯られて傷つくような、そんなやわなタマじゃない」

 純の指が杏里のふくよかな乳房をゆっくりと揉みながら、鋭い爪の先で乳首を刺激しにかかった。

「あ…」

 ひりつくような快感を覚え、悶えるように身をくねらす杏里。

「あたしは他のやつらとは違う。こう見えても、けっこう経験豊富なんでね。しかも不感症気味だから、そう簡単にはイッたりしないのさ。だから、ここは、唯佳とあたしで、たっぷりこいつを弄んでやろうよ」
 
「い、いいの…?」

 唯佳が探るような目で杏里を見た。

「どうぞ。お好きなように」

 杏里は薄く笑った。
 
「お手並み拝見と行きたいところね」

 意を決したように、唯佳が杏里の股の間に跪く。

 太腿に手を当てると、左右に大きく開かせた。

 杏里のパンティは、極限まで小さく、生地が薄い。

 だから、近くで見ると、局部の形がそっくりそのまま浮き出してしまっている。

「杏里のここ、見たかった…」

 薄い生地の上から割れ目に沿って指を這わせ、うっとりと唯佳がつぶやいた。

 パンティの中央部には、うっすらと縦に染みができている。

 唯佳は人差し指でそこをしきりになぞっているようだ。

「いい匂い」

 純が首筋に唇を当ててきた。

「あん…」

 釣り鐘型の乳房を突き出し、腰を前にせり出して、杏里は喘いだ。

 徐々に高まる興奮の渦の中で、杏里は思った。

 今度は、私の番。

 楽しむ準備はすっかり整っている。

 後はふたりの愛撫に、ただ身を任せるだけ…。
 
 
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