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第8部 妄執のハーデス
#108 最終決戦⑰
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杏里はほぼ全裸である。
ブラは零にはぎとられてしまった。
中央部に大きな穴を開けられたショーツも、今はサイドの紐だけで、かろうじて腰に引っかかっている状態だ。
その裸身も、悲惨なことになっていた。
右の乳房を削除された痕は、平らな赤いクレーターと化し、左の乳房には乳首がない。
ショーツの裂け目からのぞく股間には、縦に醜い亀裂が広がり、臓器の一部のような内側を見せている。
「ふう…ああん…」
その杏里を見つめる零の息は、ふいごのように荒く、そして熱を帯びている。
左手で己の乳首を弄りながら、右手を黒いレースのショーツの中に突っ込んで、悶え狂っている。
やおらオナニーを始めた零を見るともなく眺めているうちに、杏里の中にわずかにだが、理性が戻ってきた。
どうしたら…。
どうしたら、この窮地を、逃れることができるのかしら…?
考えるの。
考えなさい、杏里。
右胸の傷口から放射状に広がる激痛に耐えながら、杏里は残る気力を振り絞り、自分を叱咤した。
今、一番ほしいのは、この痛みを消す力。
いや、痛みを打ち消すだけでは足りない。
以前のように、この激痛を快感に変換してしまうことができたら…。
そうすれば、タナトスの能力を全開にして、零を無力化することができるかもしれないのだ。
さっき食べた乳房、あれは、どうなるのだろう?
ふと、そんな疑念が胸に兆した。
ひょっとして、消化される過程で、新たな力を生み出す源になりはしないだろうか…。
そう思ったのだ。
美里の脳漿と血を膣壁から吸収して、触手を得たように。
触手でユウを殺して、性感帯を視認する能力をコピーしたように。
たぶん、食べるだけではだめなのだ。
杏里は唇を噛みしめた。
その証拠に、私の体には何の変化もない。
じゃあ、どうしたら…?
その時だった。
ふいに、意識の底で、あのぎらつく”眼”が開いた。
-まだわからないのかい? いい線、いってるのに-
”声”が響いた。
あの、嘲笑うような”声”が。
サイコジェニー。
かっと目を見開く杏里。
どうして?
なぜ今ここに、サイコジェニーが?
杏里はとっさに、己の内側に神経を集中した。
あなたは、私の敵じゃなかったの?
私はこれからどうすればいいの?
が、ジェニーはそれには答えなかった。
杏里の問いを黙殺すると、ただひと言、こう言った。
-還元するのよー
そして、瞼を閉じると、闇の中へと再び消えていく。
脳内に静寂が戻ってきた。
「還元…?」
口の中で、その言葉を転がしてみる。
どういうことだろう?
だが、それ以上、思考を追っている余裕はないようだった。
「駄目だよ、杏里」
うわ言のようにつぶやきながら、零が迫ってきたのだ。
「何、平然とした顔してるのよぉ…もっと…もっと…苦しまなきゃ」
だしぬけにその左手が伸び、杏里のか細い首をつかんだ。
杏里の喉で、骨が軋んだ。
痛みにまたぞろ涙があふれてくる。
零が、手刀の形にそろえた右手を顔の高さに上げた。
鋭利に尖った爪は、ダイヤモンドでできた凶器さながらだ。
「壊してあげる」
憎々しげに、言った。
そして、無造作に右手を振り下ろした。
ザクッ。
肉を断ち切る音。
そして、すさまじい衝撃。
杏里の下半身が壁に叩きつけられる。
「あぐ…」
食いしばった歯の間から、涎があふれ出した。
零の手刀が、杏里の下腹に突き刺さっていた。
臍の真下に縦に亀裂が入り、そこに零の右手が、ほとんど手首近くまでめり込んでいる。
叫びの形に開いた杏里の口から、だらりとピンクの舌が垂れ下がった。
目尻からこぼれた涙が顎の先で涎と混じり合い、乳房の欠けた赤い穴の中に滴った。
「いいよ、いいよ、その表情」
零は、ハアハア喘いでいる。
喘ぎながら、右手を更に差し込んできた。
どろり。
傷口で、血の塊が膨れ上がった。
腹腔の中で、腹膜を破った零の指が小腸を探り当て、いきなりその一部を握りしめた。
素手で臓器を握られ、杏里は電撃を受けた解剖台の蛙のように硬直した。
「ああ、いい…」
杏里の内臓を、おもむろにかき回し始める零。
そうしながら、左手を首から外すと、杏里の左の乳房の上に移動させる。
「もっと、苦しむのよ、もっと」
5本の指を熊手のように開き、力任せに乳房を握りつぶしにかかった。
ぐにゅり。
零が握りしめた指の間から、挽肉と化した乳白色の乳房の一部がこぼれ出る。
臓器と左の乳房を同時に潰され、杏里の顔から表情が消えた。
電池の切れた玩具のようだった。
今にも眼球が飛び出さんばかりに見開かれた目。
苦痛に歪んだ小さな口。
そこに、牙を剥いた零の顔が情け容赦なく覆いかぶさっていく。
杏里の鼻といわず唇といわず、目につく部位はすべて食いちぎるつもりなのだろう。
杏里が壊れたボロ人形と化すのも、もう時間の問題だった。
ブラは零にはぎとられてしまった。
中央部に大きな穴を開けられたショーツも、今はサイドの紐だけで、かろうじて腰に引っかかっている状態だ。
その裸身も、悲惨なことになっていた。
右の乳房を削除された痕は、平らな赤いクレーターと化し、左の乳房には乳首がない。
ショーツの裂け目からのぞく股間には、縦に醜い亀裂が広がり、臓器の一部のような内側を見せている。
「ふう…ああん…」
その杏里を見つめる零の息は、ふいごのように荒く、そして熱を帯びている。
左手で己の乳首を弄りながら、右手を黒いレースのショーツの中に突っ込んで、悶え狂っている。
やおらオナニーを始めた零を見るともなく眺めているうちに、杏里の中にわずかにだが、理性が戻ってきた。
どうしたら…。
どうしたら、この窮地を、逃れることができるのかしら…?
考えるの。
考えなさい、杏里。
右胸の傷口から放射状に広がる激痛に耐えながら、杏里は残る気力を振り絞り、自分を叱咤した。
今、一番ほしいのは、この痛みを消す力。
いや、痛みを打ち消すだけでは足りない。
以前のように、この激痛を快感に変換してしまうことができたら…。
そうすれば、タナトスの能力を全開にして、零を無力化することができるかもしれないのだ。
さっき食べた乳房、あれは、どうなるのだろう?
ふと、そんな疑念が胸に兆した。
ひょっとして、消化される過程で、新たな力を生み出す源になりはしないだろうか…。
そう思ったのだ。
美里の脳漿と血を膣壁から吸収して、触手を得たように。
触手でユウを殺して、性感帯を視認する能力をコピーしたように。
たぶん、食べるだけではだめなのだ。
杏里は唇を噛みしめた。
その証拠に、私の体には何の変化もない。
じゃあ、どうしたら…?
その時だった。
ふいに、意識の底で、あのぎらつく”眼”が開いた。
-まだわからないのかい? いい線、いってるのに-
”声”が響いた。
あの、嘲笑うような”声”が。
サイコジェニー。
かっと目を見開く杏里。
どうして?
なぜ今ここに、サイコジェニーが?
杏里はとっさに、己の内側に神経を集中した。
あなたは、私の敵じゃなかったの?
私はこれからどうすればいいの?
が、ジェニーはそれには答えなかった。
杏里の問いを黙殺すると、ただひと言、こう言った。
-還元するのよー
そして、瞼を閉じると、闇の中へと再び消えていく。
脳内に静寂が戻ってきた。
「還元…?」
口の中で、その言葉を転がしてみる。
どういうことだろう?
だが、それ以上、思考を追っている余裕はないようだった。
「駄目だよ、杏里」
うわ言のようにつぶやきながら、零が迫ってきたのだ。
「何、平然とした顔してるのよぉ…もっと…もっと…苦しまなきゃ」
だしぬけにその左手が伸び、杏里のか細い首をつかんだ。
杏里の喉で、骨が軋んだ。
痛みにまたぞろ涙があふれてくる。
零が、手刀の形にそろえた右手を顔の高さに上げた。
鋭利に尖った爪は、ダイヤモンドでできた凶器さながらだ。
「壊してあげる」
憎々しげに、言った。
そして、無造作に右手を振り下ろした。
ザクッ。
肉を断ち切る音。
そして、すさまじい衝撃。
杏里の下半身が壁に叩きつけられる。
「あぐ…」
食いしばった歯の間から、涎があふれ出した。
零の手刀が、杏里の下腹に突き刺さっていた。
臍の真下に縦に亀裂が入り、そこに零の右手が、ほとんど手首近くまでめり込んでいる。
叫びの形に開いた杏里の口から、だらりとピンクの舌が垂れ下がった。
目尻からこぼれた涙が顎の先で涎と混じり合い、乳房の欠けた赤い穴の中に滴った。
「いいよ、いいよ、その表情」
零は、ハアハア喘いでいる。
喘ぎながら、右手を更に差し込んできた。
どろり。
傷口で、血の塊が膨れ上がった。
腹腔の中で、腹膜を破った零の指が小腸を探り当て、いきなりその一部を握りしめた。
素手で臓器を握られ、杏里は電撃を受けた解剖台の蛙のように硬直した。
「ああ、いい…」
杏里の内臓を、おもむろにかき回し始める零。
そうしながら、左手を首から外すと、杏里の左の乳房の上に移動させる。
「もっと、苦しむのよ、もっと」
5本の指を熊手のように開き、力任せに乳房を握りつぶしにかかった。
ぐにゅり。
零が握りしめた指の間から、挽肉と化した乳白色の乳房の一部がこぼれ出る。
臓器と左の乳房を同時に潰され、杏里の顔から表情が消えた。
電池の切れた玩具のようだった。
今にも眼球が飛び出さんばかりに見開かれた目。
苦痛に歪んだ小さな口。
そこに、牙を剥いた零の顔が情け容赦なく覆いかぶさっていく。
杏里の鼻といわず唇といわず、目につく部位はすべて食いちぎるつもりなのだろう。
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